2017/11/14

本物の調味料が大好きな筆者が、日本の伝統調味料をお伝えするコラム
陰陽と身土不二でお味噌の好みを見よう

お味噌で季節と身体のバランスを取る

香港は国際色豊かな街。外国人のだんな様を持つ生徒さんも多い中、ハーフの長女はお味噌汁が好きなのに次女が嫌い、西洋人のだんな様がお味噌汁を飲まないという話をよく聞きます。これを「陰と陽」「身土不二」という考え方で見てみましょう。「陰と陽」は、香港在住の方にはなじみのある東洋思想です。白と黒の大極図などで見たことがあると思います(図)。陽は「温める・
引き締まるエネルギー」、陰は「冷やす・ゆるめるエネルギー」、男性と女性、太陽と月、火と水など、自然界には必ず相対性があるという考え方です。この陰陽を用いてバランス(中庸)を取るのが薬膳やマクロビオティックのお料理の考え方の基本となります。

お味噌を「陰陽」で見ると、身体を温める陽性の赤いお味噌と、身体をゆるめる陰性の白いお味噌、中庸寄りの茶色の麦味噌などになります。前回のコラムで赤味噌(八丁味噌)を食べる愛知県は有名武将が輩出されているとご紹介しましたが、まさに八丁味噌は武将の、京都の白味噌は雅なお公家さんのイメージといったところでしょうか。

では「身土不二=身体と土(季節や環境)は影響し合い、分けられないものである」という考え方から見てみましょう。たとえば麦味噌でも、気候が温暖な長崎県では陰性気味の甘め、冬が寒い福井県は色も味も濃く塩味が効いた陽性の麦味噌が多いです。これは縦に長い日本の気候風土により、身体が必要としている味噌が違うということが考えられます。

香港は暑く、湿気の多い街ですが、冷房などの生活環境、仕事も多種多様ですし、家族の性格や体質、体調もさまざま。もちろん国籍や性別、年齢によって食の好み(お味噌も)は違ってきますね。
元気余るお子様や西洋人のだんな様は熱がこもりやすいタイプが多く、白味噌のポタージュや冷汁にすると熱がこもりにくいので、おいしく飲んでくれます。体調を見てお味噌の種類を変えてみたり、お味噌を隠し味に使うのもおすすめです。

お味噌だけではなく、食の好みもわかるのがこの「陰陽」と「身土不二」という考え方。ぜひお子様やだんな様はどういうタイプでどんな味が好きだろう?と観察してみてください。家族の味覚から体調がわかるかもしれませんね。

医食同源を学ぶ
薬膳&マクロビオティックedu+u kitchen 講師Kyoko


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