2020/11/15

 

香港式ミルクティー、香港での呼び方は「港式奶茶」(ゴン シック ナイ チャ)。香港独自の紅茶の入れ方で得た独特な風味で有名になりました。このミルクティーのルーツは、戦争と密接な関係があり、戦争が無ければこのミルクティーも誕生しなかったはずです。

 

なぜ150年間、香港はイギリスの植民地だったのでしょうか? きっかけは「アヘン戦争」。清の時代(約1840年)、イギリスは中国の良質な茶葉を輸入していましたが、じきに一方的な輸入ばかりで貿易赤字となりました。そこで、清の人々はアヘンを吸引する文化があったので、イギリスがインドで生産したアヘンを中国に輸出して貿易バランスを取ろうとしました。しかし、中国のアヘンが莫大になり過ぎてしまっため、イギリスのアヘンを輸入禁止したことがきっかけで戦争が勃発、中国は敗戦。結果として江寧条約(南京条約)で1842年に香港をイギリスに割譲しました。

 

香港はイギリスの植民地になって、香港市民はイギリス人の習慣を真似し、高級茶葉を買えない庶民は、安い茶葉をブレンドして用いていました。その後、香港は人口急増、高度成長して、国際大都市になり、イギリスの「アフタヌーンティー」の習慣はしっかりと香港の食文化に残り、紅茶は香港人好みの煮だす手法で、濃いめの紅茶として生まれ変わりました。

 

尚、1950年代に流行した長期保存が出来る高脂肪分「エバミルク」(無糖練乳)を加え、そのエバミルクのおかげでミルクティーの舌触りが滑らかなになりました。この滑らかさは広東人の好みでもあり、濃いめの紅茶は眠気覚ましとして、そして栄養価値が高いエバミルクのおかげで、高度経済成長期の香港労働者たちにとって、ピッタリな飲み物になり、一気に人気の飲み物になったのです。

 

香港ミルクティーの特徴としては、さまざまな紅茶パウダーをブレンドしているので、複雑な味構成なんです。最近、香港の友人から頂いた “teaddicts”さん( https://www.lashan-teaddict.com.hk/ )の Teaddict HK Breakfast Tea ブレンドは香港の本場の味に似てると思いました。渋みもなく、紅茶の香りが豊かで、おすすめです。わたしは何度も日本にある紅茶をブレンドしてみましたが、懐かしい香港の味を出すのは難しかったです。でも、このブレンドのおかげで、昔ながらの香港ミルクティーの味を簡単に再現出来て、感動もひとしお。

最近香港ではミルクティーのニーズはコーヒーブームの影響で減少しています。ミルクティーは香港文化のひとつで、この文化の衰退を食い止めるには、まずは若者に紅茶文化に興味をもってもらうのが必須。さらにその市場自体に若者が魅力を感じているかが重要なポイントになっています。「山浪」(https://www.facebook.com/MtWaves/)というボトル・ミルクティーの会社は、香港のミルクティーの文化が無くならないように商品開発をして、本場の味を次世代に受け継ぐように努力しています。

 

香港ミルクティーのきっかけは戦争だった。時々思いますが、もし戦争が無ければ、今の香港はどのような場所になっていたのでしょうか?

 

Tips ⇒  珈琲用のネルドリップがあればより作りやすくなりますよ。

 

材料 (2カップ分)

<道具>

小さいやかん

ネルドリップ

ティーポット

厚みがあるティーカップ

<材料>

軟水……………………………………… 450g

Teaddict HK Breakfast Tea茶葉…..10g

エバミルク………….. ………………… 70g

牛乳………………………………………. 30g

きび砂糖/白砂糖……………………… 10g

 

<作り方>

1.蓋なしでやかんに軟水を沸騰させる。

2.茶葉を全て入れ、3分程弱火でフツフツ煮る(沸騰するかしないかの間の感覚)。

3.火を止め、蓋をして3分ほど蒸らす。

4.ティーカップを温める。エバミルク35gと牛乳15gときび砂糖5gをあらかじめカップに入れる。

5.ネルドリップをティーポットに載せ、3の紅茶を高い位置からティーポットに注ぎ入れる。同じ動作を4回繰り返す。

6.濾した紅茶を再びやかんに戻し、更に弱火で2分加熱する(沸騰しないように)

7.150g熱い紅茶をティーカップに入れ、出来上がり。

 


雲姐(ワンジェ)

料理研究家。香港に生まれる。幼少期、平日は祖母、週末は料理が趣味だった父の手料理を食べて過ごす。オーストラリアへ移住を経て、結婚を機に日本へ移り20年以上。中国国際薬膳師、発酵食品ソムリエ、発酵ライフアドバイザーの資格を持ち、中華圏および日本の食文化への造詣も深い。現在は、日本の人々に香港料理を伝えるべく東京で活動中。

人在東京 Prime Kitchen Labo

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