2020/03/15

~わたしたちのカラダは食べたものでできています~
本物の食材を求めて。日本の伝統調味料をお伝えするコラム。

日本の伝統食で免疫アップ~梅干しってすごい!

 

今だからこそ食べてほしい、日本の優れた伝統食材、梅干しをご紹介します。
昔から利用されてきた梅の殺菌力!

おむすびやお弁当に梅干しをいれておくと防腐効果になる。これは皆様がご存知のことだと思います。梅の効果は平安時代の医学書 医心方でも記載があるように、1000年以上前から現在まで変わらず伝えられています。

もともとの梅干しのルーツは漢方薬。梅の原産国は揚子江の奥といわれ、日本には奈良時代に漢方薬として伝えられました。戦国時代には、武士の携帯食兵糧として、梅肉を丸めて薬(丸薬)がつくられていました。山の中などで水が不衛生なときに梅の殺菌力を利用し、また水がない時に唾液をだしのどの渇きをいやすために重宝されていたといわれています。

明治時代には、伝染病のコレラや赤痢が流行ったときに梅干しが非常に効力を発揮、日清戦争時代には軍医である柴田多吉が外地で伝染病にかかった兵士に梅肉エキスを与えて完治させました。日露戦争では陸軍の軍事食として日の丸弁当が正式採用されています。他にも戦時中、ジャングルの中で唯一生き残った部隊は、隊長が兵士に一日一粒の梅干しを食べさせていたそうです。このような梅にまつわる話が日本にはたくさんあります。それだけ梅の殺菌パワーはすごいということですね。

日本の伝統的抗生物質といえば、梅干し!
ウイルスが嫌いとする食べものが酸と塩気です。強力なクエン酸を持つ梅干しと塩気(良質な塩で漬けていることが前提)のきいた梅干しは強力な殺菌食材!梅干しは酸っぱいからこそ、梅の薬効あり。だから甘い梅干しを食べると意味がありません。この梅の酸っぱさ「クエン酸」、胃液にも負けない殺菌力があるといわれています。この梅を梅干しで漬込むことにより、梅の実の持つ香気成分により抗菌パワーがアップするのです。梅のさわやさかのこの香りはリラックス効果もあるので、病気で沈みがちな気持ちをやわらげるのにいいですね。

梅は三毒を断つ!
さらに昔から「梅は三毒を断つ」といわれています。三毒とは「水毒・食毒・血毒」のこと。
「水毒」は、体内の水分の汚れ(リンパ液、細胞液など)、「食毒」は暴飲暴食などの食べ物の過不足からの身体への影響、「血毒」は字のままに、血液の汚れとなります。食事を整え、血液状態をよくし、細胞の状態を良く保つのは、健康なカラダの基本。これが乱れると、様々な細菌やウイルスにもかかりやすくなるということ。梅干しを毎日の食事にとりいれることは、身体の健康状態を保つことにつながります。

梅の栄養素は、カルシウム、鉄分、カリウム、リン、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルが豊富です。それらが細胞に働きかけて、水毒(細胞内の水)を入れ替え、身体を整えてくれます。梅に含まれているクエン酸が疲労物質を分解、エネルギー代謝もあげてくれます。食事とともに梅干を食べることで、食べたものを効率よくエネルギーに変えてくれます。梅干しの酸っぱさは、酸性と思いがちですが、アルカリ食品です。血液が酸性に傾くと、いわゆるドロドロ血となり、万病のもととなります。梅干しをはじめ、海藻や野菜、豆などの日本の伝統和食食材には、アルカリ食材が豊富です。

梅干しを食べた時の唾液が大切!
口内やのど、気管が渇いていると、ウイルスがそのまま体内に入り込みやすくなります。まずは体内にいれないよう、粘膜を潤しておくことはとても大切。そして唾液(唾液のもつ酵素)で殺菌できたら強力ですね。できれば自力で噛んで唾液を出したいところですが、梅干しの力も借りて唾液を出せる身体にしましょう。

喉の殺菌には梅酢をつかいましょう!
私は毎日のうがいに梅酢を使用しています。香港教室の生徒さんたち、洗面所に梅酢が置いているのをかなり不思議がっていました(笑)が、今では、皆さん日本で必ず購入してきています(600円くらいと安い)。梅酢というのは、梅干しをつけたときにでる、梅のエキスのこと。殺菌力があるのに、自分にとっていい菌は生かしてくれる優れもの。しかも安心安全でさっぱりとおいしいのでお子様にもおすすめです。

機内など、外出には梅酢スプレー
私のおすすめは、梅酢でつくる喉スプレー。
飛行機に乗る時や人ごみに出る際は必ず持参し、うがいのできない状況時にスプレーしています。
以前、生徒さんのだんな様で喉が弱い方に、梅酢スプレーをお伝えしました。会社にも持参して、喉が気になる時に使用したところ、喉風邪から高熱が出なくなったそうです。もうひとつ飛行機に乗る時のおすすめは、ずっと梅干しをなめておくこと。種になってもずっとなめておきます。出かける際にパクッと一粒、気持ちもしゃきっと、梅の香りで爽やかに、マスクの不快さも軽減します。

【梅酢スプレーのつくりかた】
梅酢を15~30mlのスプレーボトル(できればガラス瓶がおすすめ)にいれ、2~3倍の水をいれるだけ。早く使い切る方がいいので、少な目につくります。

梅醤番茶・梅肉エキス
他にも様々な梅の使い方があるのでご紹介します
【梅醤番茶】体温の低下、冷えは免疫を下げてしまいます。梅醤番茶は三年番茶のカテキンのもつ抗菌作用に、梅や醤油、生姜も入り、血流を改善しながら身体をアルカリにしてくれる優れもののお茶。身体の冷えや貧血があるとき、身体が酸性に傾いたなという飲酒の後など、朝一杯のむのがおすすめです。

【梅肉エキス】魚やお肉などの動物性過多の方、塩の摂りすぎが気になる方には、青梅を煮詰めた酸味のある梅肉エキスというものもあります。梅肉エキスは梅干しよりも殺菌力が強く、整腸作用にもすぐれており、また腸内環境を整え、免疫力をあげてくれます(次回のコラム参照)。かなり酸っぱいので耳かきひとさじくらいをなめます。

 

梅干しは昔から伝わる日本の伝統民間療法。梅干しは常備しておくことが大切。教室にいっぱい備蓄して、みなさまにおわけしています。帰国の際には、ぜひ梅干しもご一緒に!

梅干しを選ぶときは良質の塩で、伝統製法でつくられた、酸っぱい塩気のきいた梅干しを選びましょう。
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~毎日のごはんで身体を調える~ 国際薬膳師・マクロビオティック講師KYOKO
薬膳マクロビオティック教室では、多角的視点で、体調・体質・季節にあわせた食材の選び方や調理法を学びます。生徒さんの様々な体調の質問を皆で読み解き、身体の声が聞こえるようになることが目標です。日々の体調管理、免疫アップは毎日のごはんが大切。砂糖を使わず、野菜そのものの味、甘味を活かす調理法で、身体と味覚を整えていきましょう。

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