2025/05/01
日本では「香港アカデミー賞」とも呼ばれ、その年に制作された優秀な香港映画作品をたたえる「香港電影金像獎(Hong Kong Film Awards)」。第43回目の授賞式が4月27日、尖沙咀の香港文化センター(香港文化中心)にて華々しく開催されました。グランドシアターで行われた授賞式には今年の映画界を盛り上げた監督、女優、男優、プロデューサーなど、香港を代表する映画人が大集結。また、往年の名優、トニー・レオン(梁朝偉) とカリーナ・ラウ(劉嘉玲) ご夫妻、音楽界からはMirrorのイーダン・ルイ(呂爵安) も登場。レッドカーペットを華々しく彩りました。(敬称略)
左)『お父さん』にカメオ出演したMirrorのメンバー、イーダン・ルイ。右)トニー・レオンとカリーナ・ラウご夫妻。Ⓒ Hong Kong LEI
話題作、名作ぞろいと言われた今年のノミネート作品。最終的に『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』(原題:九龍城寨之圍城)が9部門、『ラスト・ダンス』(原題:破・地獄)は5部門、『お父さん』(原題:爸爸)は3部門の受賞となりました。
受賞ハイライト
最優秀作品賞:『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』
作品賞は、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』が受賞。話題作が多かった今年、賞の行方が注目されていましたが、銀幕の女神がほほ笑んだのは、香港だけでなく海外でも大ヒットを記録した本作品に。
最優秀主演男優賞:ショーン・ラウ(劉青雲)『お父さん』
誰が獲ってもおかしくないと、注目を集めていた主演男優賞は、『お父さん』のベテラン俳優ショーン・ラウがマイケル・ホイ(許冠文)、レイモンド・ラム(林峯)、ネオ・ヤウ(游学修)、アーロン・クオック(郭富城)を抑えて受賞。4度目の最優秀主演男優賞の受賞となりました。
最優秀女優賞:ミシェル・ワイ(衛詩雅)『ラストダンス』
新婚の彼女は旦那様を伴って授賞式に参加。出演作品『ラスト・ダンス』のセリフを引用したスピーチは感動的でした。旦那様の目にもうれし涙がキラリ。
左)最優秀女優賞:ミシェル・ワイ 右)最優秀主演男優賞:ショーン・ラウ Ⓒ Hong Kong LEI
最優秀監督賞:ソイ・チェン(鄭保瑞)監督『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』
ソイ・チェン監督が、『命案』に続いて2年連続で最優秀監督賞を受賞! 『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』について「最も撮りたい題材ではなかった」と激白するも、「最も専門的で情熱を注いだ方法でこの映画を完成させたいと思った」と彼の仕事哲学を語った受賞スピーチでした。
最優秀監督賞を受賞したソイ・チェン監督(と、豪華な背景:『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』出演のフィリップ・ン(伍允龍)、レイモンド・ラム 、ラウ・ワイミン(劉偉明)など)Ⓒ Hong Kong LEI
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』9部門で最優秀賞受賞の快挙!
日本人アクション監督谷垣健治も受賞!
香港のみならず日本でも大ヒットとなった『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』は9部門で最優秀賞受賞という快挙。作品賞、監督賞、撮影賞、編集賞、美術賞、視覚効果賞、音響効果賞、衣装デザイン&メイクアップ賞、そして日本人として注目したいのがアクション設計賞受賞を受賞した谷垣健治!
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』については別記事でじっくりお伝えしますのでお楽しみに! こちらではレッドカーペットに集結したそうそうたるメンバーの動画をどうぞ!↓
ⒸHong Kong LEI
個性的な作品群ががっつり食い込み、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の賞独占を阻止
今年の受賞で印象的なのは『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の快進撃と同時に、個性的な作品ががっつり主要部門に食い込んだ点。『ラスト・ダンス』は5部門、『お父さん』は3部門を獲得しました。
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の強力ライバル『ラスト・ダンス』は5冠
Hong Kong LEIコラム「ぴーちくぱーちく」でも取り上げた『ラスト・ダンス』が受賞した5部門は以下の通り:
最優秀主演女優賞 :ミシェル・ワイ
最優秀助演男優賞:チュー・パクホン(朱栢康)
最優秀スクリーンプレイ賞:アンセルム・チャン(陳茂賢) 、チェン・ワイケイ(鄭緯機)
最優秀歌曲賞 :《普渡眾生》 テレンス・ラム(林家謙)
最優秀作曲賞 :チュ・ワンピン(朱芸編)
『ラスト・ダンス』製作メンバー Ⓒ Hong Kong LEI
授賞式ではこの映画の製作チームの絆の固さが丸わかり。チームの一員の受賞が発表される度に、他のメンバーが自分のように喜んだり、涙を流したり。観ている方の目も思わずウルウルに。
左)最優秀女優賞:ミシェル・ワイ 右)最優秀スクリーンプレイ賞を受賞したアンセルム・チャン監督 Ⓒ Hong Kong LEI
特筆すべきは、当日のレッドカーペットでおどけた姿を見せていた助演男優賞のチュー・パクホン 。わたしたちの前でもマイケル・ホイとコンビを組んでこんなサービスをしてくれました。『ラスト・ダンス』の俳優ふたりによる豪華版ダンスをご覧ください~!
ⒸHong Kong LEI
そんな彼も、自らの受賞を知るとアッという間に涙目に。嗚咽を漏らしながらのスピーチでした。彼はその後、共演のミシェル・ワイが主演女優賞を受賞した時にも男泣き。(劇中の兄妹、両方賞を獲得!)顔をくしゃくしゃにして涙を流す姿が、ちょっぴりコミカルでそれがまた皆の微笑みを誘ったのでした。
助演男優賞のチュー・パクホン Ⓒ Hong Kong LEI
『お父さん』は一家で仲良く受賞
実際に起こった殺人事件をベースに、殺人犯の父親の心の動きを描いた『お父さん』は映画の中の父親役、母親役、子役の1家3名が受賞しました。
それを受けて、最優秀助演女優賞を受賞した母親役のジョー・コク(谷祖琳 は夫役を演じたショーン・ラウ(劉青雲)に「わたしたち家族を大切にしてくれてありがとう」と本当の家族でもあるようなあたたかいメッセージを送りました。
映画『お父さん』一家。最優秀主演男優賞のショーン・ラウが父親役、イーダン(左端)は大人となったディラン君(右端)の役を演じたのでした。Ⓒ Hong Kong LEI
最優秀主演男優賞、ショーン・ラウ は映画界の帝王と呼ばれるほどの超ベテラン俳優。受賞ステージでは喜びの涙を流していたフィリップ・ユン(翁子光)監督に「泣かないで」と、難しい設定の問題作に果敢に取り組んだ監督に気遣いを見せると同時に「特に父に感謝する。『あの父』に感謝する!」と自分の役のモデルとなった父にも感謝の気持ちを示しました。
最優秀新人男優賞は、撮影当時まだ16歳だったディラン・ソウ(蘇文濤) 。以下のそうそうたるメンツを抑えての受賞となりました:
●『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』のラウ・ワイミン(劉偉明) 。56歳、本業は小説家、作詞家の文化人。
●『ラスト・ソング・フォー・ユー』(原題:久別重逢)に出演の人気ボーイズバンドMirrorメンバーのイアン・チャン(陳卓賢)
●『私たちの話し方』(原題:看我今天怎麼說)で、演技デビュー、本作で香港唯一の聾者の俳優になったとも言われるマルコ・ン(吳祉昊)
●『寄了一整個春天』に出演、最近英バンドColdplayの香港コンサートで彼らに選ばれて共演を果たしたマーフ(邱彥筒) 。人気バンドCollarのメンバー。
最優秀新人男優賞のディラン・ソウ Ⓒ Hong Kong LEI
『Four Trails』ロビン・リー監督が新人監督賞!
そして外せないのが、Hong Kong LEIコラム「ぴーちくぱーちく」でも取り上げた《Four Trails》ロビン・リー監督が最優秀新監督賞を受賞しました! スピーチでは何度も「小さいスケールの映画を作るつもりだったのが、こんなにBigになるなんて」と繰り返し述べ、驚きを隠せない様子でした。
最優秀新監督賞のロビン・リー監督 Ⓒ Hong Kong LEI
過去1年間の映画の総決算、成績表とも言える金像賞。接戦の今年は、興味深い結果となりました。もう来年が楽しみですね!
取材・文・写真:紅磡リンダ(編集部)
Special Thanks: Hong Kong Film Awards
Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。
コメントをありがとうございます。コメントは承認審査後に閲覧可能になります。少々お待ちください