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2026/05/01

香港映画界で最も権威のある映画賞「香港電影金像奨」(以下、香港アカデミー賞)。第44回目の受賞式が4月19日、香港文化中心で執り行われました。今回は受賞のハイライトを、レッドカーペット、報道ルーム、そして授賞式後の打ち上げパーティーの様子とともにお知らせいたします!

ⒸLinda Hung-Hom

受賞ハイライト

今回は、『風林火山』、そして『再見UFO』の2作品がそれぞれ8つ、5つと多くの賞をさらった点! 両作品ともに撮影から数年も経った後に、さまざまな事情のため「お蔵入り?」と思われていた作品です。長い間、待った後の受賞だけに、関係者一同の喜びもひとしおだったに違いありません。

今回の香港アカデミー賞、主要な賞は以下の通り。受賞の一覧はこちらの公式サイトからどうぞ。

  • ●最優秀作品賞:『再見UFO』
  • ●最優秀監督賞:パトリック・レオン(梁栢堅):『再見UFO』
  • ●最優秀脚本賞:コン・ホーヤン(江皓昕)、エイミー・チン(錢小蕙):『再見UFO』
  • ●主演男優賞:レオン・カーフェイ(梁家輝):『シャドウズ・エッジ』(原題:捕風追影)
  • ●主演女優賞
  • フィッシュ・リウ(廖子妤):『私の愛のかたち』(原題:像我這樣的愛情)
  • ●助演男優賞
  • アレックス・トー(杜德偉):『風林火山』
  • ●助演女優賞
  • ミシェル・ワイ(衛詩雅):『再見UFO』
  • ●最優秀新人賞
  • エリザベス・タン(鄧濤):『ガールフレンズ』(原題:女孩不平凡)

 

『風林火山』が8部門を受賞!

『風林火山』一同  ⒸLinda Hung-Hom

今回、最も多くの賞を受賞したのは『風林火山』。この部門で初ノミネートでの受賞となった「最優秀助演男優賞」のアレックス・トー(杜德偉)。プレゼンターから自分の名前が呼ばれるやいなや、隣に座っていた奥様の頬にキスした姿が印象的でした。

右:ジュノ・マック(麥浚龍)監督   左:助演男優賞受賞のアレックス・トー ⒸLinda Hung-Hom

 

受賞後のインタビューが行われる報道センターでは、人気DJの阿正(黃正宜)がLEGO®のブランド大使として、レゴのを添えた花束をアレックス・トーに贈呈! ちなみに下の写真に見える像は、香港アカデミー賞のシンボルとも言える「香港電影金像奨女神像」ですが、こちらもレゴで再現されています。高さは2.2メートルで、香港にただ一人のレゴの認定プロビルダーの方の手によるものだそう。遊び心溢れる演出に、報道陣も大盛り上がり!

ⒸLinda Hung-Hom

そうそう、遊び心溢れるといえば、今回の授賞式の演出には楽しい仕掛けに溢れていました。中でも印象的だったのは、MIRRORのメンバー、ロックマン・ヨン(楊樂文)、アンソン・コン(江※生)、ギョン・トウ(姜濤)の3名をプレゼンターとした「視覚効果賞」の発表です。バスケが大好きなギョン・トウが、「バスケの試合放映でよく見かけるキスカム(Kiss Cam)」をしようと提案し、観客席のセレブカップルたちをキスカムに映し、キスを要請したのです。嬉し恥ずかしの数名を経て、実際の夫婦である女優のミシェル・ワイと旦那様のキスで大盛り上がり。次にカメラが向かったのは、なぜかフィッシュ・リウ(廖子妤)とカルロス・チャン(陳家樂)……? お二人ともパートナーが隣に座っているのに? 実はこれ、二人が恋人役を演じた作品『私の愛のかたち』(原題:像我這樣的愛情)に掛けてのジョーク。そんなきわどい笑いを取った後、因果応報とばかりにカメラは彼らの元に。最後はアンソン・コンとギョン・トウがBL風にキス(の真似)をするという大サービスでした。爆笑とともに大いに沸いた観客を前に、受賞者である『風林火山』チームも笑顔でトロフィーを手にしました。

左から:ギョン・トウ、ロックマン・ヨン、アンソン・コン ⒸLinda Hung-Hom

 

また、2023年3月に亡くなった坂本龍一が『風林火山』の「最優秀オリジナル映画音楽賞」(最佳原創電影音樂)を受賞! ジュノ・マック監督は坂本龍一にこの映画の音楽を依頼した際、既に体調を崩していた坂本龍一が、6時間も休まずピアノを弾き続けてくれたというエピソードを語り、尊敬の念を贈りました。

また、マック監督は報道ルームでインタビューに応じ、『風林火山』には5時間の「完全版」があり、これをストリーミング配信する計画があることを明かしました。日本ではまだ公開が未定の本作品、ストリーミングに期待したいですね!

参考:『風林火山』が獲得した賞
最佳男配角、最佳攝影、最佳剪接、 最佳美術指導、最佳服裝造型設計、 最佳原創電影音樂、最佳音響效果、最佳視覺效果

 

注目の『再見UFO』は5部門で受賞!

2019年の香港アジア映画祭でオープニング作品として華々しく上映されたものの、2025年末まで劇場公開が叶わず「幻の映画」とも言われた『再見UFO』。今回の授賞式では見事、作品賞、最優秀監督賞を始めとする5部門で賞を獲得しました!

『再見UFO』チーム。受賞式後の打ち上げパーティーにて  ⒸLinda Hung-Hom

 

「Mayday! Mayday! 緊急事態発生!『再見UFO』チーム全員、ステージに集合!」と映画の中の印象的なセリフを使って作品賞受賞のスピーチに臨んだのはプロデューサーのエイミー・チン(錢小蕙)。作品の制作スタッフだけでなく、映画の舞台となった公団住宅「華富邨」とその住人達にも敬意を示しました。

この作品で「最優秀監督賞」に輝いたパトリック・レオン監督は、過去に3年間も仕事がなかった辛い時期もあったことを明かした上で、同じ香港映画に携わる同志に「どうか諦めないで」とエールを贈りました。

左写真:左から パトリック・レオン監督、プロデューサー・脚本のエイミー・チン、プロデューサーのボニー・ウォン、右写真:左から ジャー・シャオチェン(賈曉晨) とフィアナ・ウォン(黃淑蔓)ⒸLinda Hung-Hom

 

また、この映画のテーマソング『華富1號』も最優秀映画歌曲賞を受賞。歌手フィアナ・ウォン(黃淑蔓)が壇上スピーチで、父への感謝を述べたシーンでなぜか俳優チュー・パクホン(朱栢康)がもらい泣き。実の父に代わってカメラに抜かれてしまいました! そう言えば泣き上戸の彼、去年のアカデミー賞でも号泣していましたね!

左から:作曲のツイ・チンハン(崔展鴻)、フィアナ・ウォン、作詞のレオン・パクキン(梁栢堅)はなんと監督と中国名が全く同じ! ⒸLinda Hung-Hom

 

参考:『再見UFO』が獲得した賞
最佳電影、最佳導演、最佳編劇、最佳女配角、最佳原創電影歌曲

 

【新人賞】

新人賞の栄冠を手にしたのはエリザベス・タン(鄧濤)。これまでテレビドラマや音楽MVで存在感を見せてきた彼女が、満を持して挑んだ初主演映画『ガールフレンズ』(原題:女孩不平凡)で、見事に受賞です! 彼女が演じたのは、同性愛の女性という難しい役柄。監督自身の経験をもとにしたドキュメンタリー色の強い作品で、エリザベスは繊細な心理を丁寧に表現し、その演技力で観客を魅了しました。

左:エリザベス・タン 右:『ガールフレンズ』の主題歌を歌った歌手、パンサー・チャン(陳蕾)ⒸLinda Hung-Hom

エリザベスはスピーチで、「映画の未来は希望に満ちていると信じています」と語り、さらに「今でもUFOを信じています!」とユーモアを交え、『再見UFO』への敬意を示し、会場は笑顔と拍手に包まれました!

ⒸLinda Hung-Hom

レッドカーペットでの気品あふれる姿も印象的でしたが、打ち上げパーティーで見せたリラックスした笑顔は超キュート。次作、MIRRORのアンソン・コン(江※生)との共演も控えており、彼女の快進撃は続きそうです。

 

【助演女優賞】

昨年の主演女優賞に続き、ミシェル・ワイ(衛詩雅)が今年は『再見UFO』で助演女優賞を手にしました。今年はさらにベストドレッサーも受賞! 授賞式でも新婚の夫と幸せな姿を見せた彼女は、まさに人生の絶好調! しかしスピーチでは、撮影当時の7年前は迷いや不安を抱えていた時期だったことを告白。しかも、この役はもともと別のキャストが演じる予定だったんです。低迷期、運命の巡り合わせで彼女のもとにやって来たこの役が種となって、7年の時を経た今、大きく花咲きました。人生、本当に何が起こるかわからないですね!

左:シースルーのドレスで今年のベストドレッサー賞も受賞。右:LEGO®大使の阿正も彼女を祝福!ⒸLinda Hung-Hom

 

【主演女優賞】

助演女優賞はフィッシュ・リウ(廖子妤)。『私の愛のかたち』(原題:像我這樣的愛情)での受賞です。女優を目指し、マレーシアから単身香港にやって来てから苦節14年。ようやく苦労が報われました。

愛嬌ある笑顔、すました表情、どちらも素敵なフィッシュ・リウ
ⒸLinda Hung-Hom

 

受賞での喜びと動揺を隠しきれなかった彼女、頭が真っ白になってしまい、お礼を言うべき人を忘れてしまいました。オロオロと頭に浮かんだ順に恩師の名前を挙げつつも、最後まで出てこなかった名前はパートナーの「小野」こと俳優ロー・ジャンイップ(盧鎮業)。観客からの助け舟があり、最後にやっと思い出しました。報道ルームでのインタビューでも記者にこの「うっかり」を突っ込まれたフィッシュ。「ちゃんと用意したのに~!」と、カンペを取り出し、周囲を笑わせました。面白いのは、このカンペが隠された場所。2段になっているドレススカート、切り返しの部分にどうやらポケットが隠れている様子。涙をぬぐった布も、この部分に収納されるのを目撃しました。エレガントなドレスにも、こんな実用的な面もあるんですね!

左:スカートの切り返し部分をゴソゴソするフィッシュ。右:こちらが持っていることを忘れてしまったカンペ。ⒸLinda Hung-Hom

 

【主演男優賞】

映画業界に入って44年。この業界で過ごした年数が「香港アカデミー賞」と同じ年数のレオン・カーフェイ(梁家輝)が『シャドウズ・エッジ』(原題:捕風追影)で受賞しました。授賞式では涙ぐむ姿を見せましたが、その後報道センターでは「あれは妻に見せるためだよ!」と照れ笑いしていました。主演女優賞のフィッシュ・リウとの微笑ましいツーショットをどうぞ!

ⒸLinda Hung-Hom

 

【セレブたちの日本語コメント!】

親日家が多い香港、日本語を話せる方も多いのですが、俳優の中にも日本語ができる方がたくさん! 今回、Hong Kong LEIに日本語を披露してくれた面々を紹介します。

まずは映画『夜王』のフランチェスカ役で一躍注目を浴びたケイ・チョイ(蔡蕙琪)。レッドカーペットでHong Kong LEIが日本のファンへのコメントをお願いすると、「香港映画を観てください」と呼びかけ、周囲の記者を巻き込んで大歓声! このことは翌日、記事としても取り上げられました。こちらからどうぞ。

ⒸLinda Hung-Hom

映画『夜王』で流暢な日本語を披露したライエイ・タン(鄧麗英)。超小柄できゃしゃで愛くるしい彼女の日本語の実力は相当なもの。この日は、授賞式でちょっと緊張している気持ちを日本語で語ってくれました。隣のマンディー・タン(譚旻萱)が『ほんとに日本語しゃべってる!すごくない?』と感心している様子もかわいらしい!

ⒸLinda Hung-Hom

ちなみに、『再見UFO』の主題歌で「最優秀映画歌曲賞」を獲得した歌手、フィアナ・ウォン(黃淑蔓)はアカデミー賞授賞式の2日前、日本語検定試験の3級に合格したばかりですが、今回はコメント取れず。残念。

日本語能力検定試験の3級に合格した歌手、フィアナ・ウォン(右)。左は『再見UFO』に出演のジャー・シャオチェン(賈曉晨)ⒸLinda Hung-Hom

 

音楽バンド「朱凌凌」。プレゼンターとして登場した彼らも日本語で香港映画をアピール。ユーモアあふれる彼らの「アイシテル」、ご堪能ください。

左から:ヨン・ワイロン(楊偉倫)。クリス、(陳文進)、チュー・パクホン(朱栢康)、マイケル・ニン(白只)、チュー・パクヒム(朱栢謙)ⒸLinda Hung-Hom

MIRRORのメンバー中、日本語が美しいと定評があるのがギョン・トウ(姜濤)。「日本語のコメントを!」と無茶ブリすると、困惑気味の、母性本能を揺さぶる笑顔でレシーブ! そこに隊長が、すかさず「ミンナ、ハラヘッタ」とナイスなトス! そして最後にアンソン・コンがクールに「わたしはアンソンです」というアタック! デビュー8年目のMIRROR、熟練の素晴らしい連携プレーを見せてくれました。しかも日本語で。感無量。ありがとうございました。

ⒸLinda Hung-Hom

過去1年間の映画の総決算、成績表とも言える金像賞。今年も納得の受賞あり、意外な展開あり、手に汗を握りましたね。こうして話している今も香港の映画館では魅力たっぷりの映画が何本も上映されています。一本でも多くの香港映画が日本で上映されますように! そして来年も楽しい香港アカデミー賞の授賞式が開催できますように!

 

(人名のカタカナ表記は、基本、既存の作品で使用されている表記に従いました。表記に揺れがある場合や既存の表記が確認できない場合は、便宜上仮のフリガナを付しています。また、本文では敬称を省略しています。)

取材・文:紅磡リンダ(編集部)

 

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