香港の「楽しい」をいっぱい詰め込んだ情報サイト

2025/03/29

みなさんこんにちは!香港の3月はアート月間。何百ものエキサイティングなイベントや舞台、アート展示会などが開催されています!

せっかく香港にいるのだから是非参加してみませんか? アートはちょっとよくわかないから苦手という人も、もしかしたらアートを見ることで気持ちに変化が出たり、楽しくなったり、刺激を受けたり、自分の頭がガチガチだったかもとか気がついたり、視点の変化や、美しいものに触発されて癒されたりするかもしれません。

今回はまず、今週末に終わってしまう二つの大きな展示会、アートセントラル&アートバーゼルの展示の模様を簡単にご紹介します。どちらの展示会も入場料が必要な作品販売が目的の展示会です。かなり大きな作品もたくさんありますが、「もし自分の家に飾るとしたら?」「どんな作品だったら手元におきたいと思う?」「これからきっと価値が出そう」なんて主観的に妄想しながらまわってみると面白いですよ。理解に苦しむ作品があったら、迷わずギャラリーのスタッフに聞いてみましょう。「これは何を表現しているのですか?」「なぜこんな色使いをしているのですか?」などなど。特に現代美術は、コンセプチュアルアートとも言われていて、作品の「アイデア」や「概念」がその価値の中心とされるスタイルでもあり、作品があなたに問いただしているのに気づくと、ハッとすることもあるかもしれません。


アートセントラル 詳細記事はこちら

3月26日から30日の間で開幕されるアートセントラル。巨匠、靉嘔(Ay-O)や写真家の細江英公作品もしっかりありますが、創造力が爆発した実験的で面白い作品も多いです。子ども連れなら断然こちらをおすすめします。とても広いのでまわるのも大変ですが、バーゼルよりは歩きやすく(笑)フレンドリーな雰囲気です。

こちらは台湾出身のアーティストによって制作された磁器製の彫刻。販売価格がUS$18000。

今回日本から出展しているお二人のアーティストにお話を伺いました。

画家、西垣肇也さんによる3連作の和紙と金箔を使った作品。この作品は3面にわたって香港からインスピレーションを得て制作したそう。真ん中は香港を象徴する高層ビル。そして左側はビクトリア湾を表しています。この3連作にはストーリーがあります。右キャンバスの自然豊かな緑のある場所で龍が生まれ、原発の放射能汚染など様々な試練を経て左側キャンバスでは、龍がゴジラへと変化しています。ゴジラが吐く火炎は金箔で表され、この迫り来る危機を気が付かず呑気に過ごしている人間も画面の中に描かれている、世紀末の予感すら暗示しています。

油絵出身の西垣さんは、日本画の手法を独学で学んだそう。それゆえに、日本画の枠を飛び越えた発想で作品制作して、通常日本画家がやらないことをしているそうです。例えば、キャンバスに貼った和紙に柿渋で描いた場所があります。西垣さんは「時が経つと変化しますが、その変化をも楽しんでほしい。日本人の精神でもありますね。」と語りました。

彼の作品は現在、新進気鋭のギャラリーが集まる地域、黄竹坑(金鐘から二駅目)にあるwamono art ギャラリーにて個展を開催中です。もしもっと見たい方はぜひ足を運んでみてください。5月17日まで。

 

そうしてもう1人、香港のThe Gallery by SOILより、ユニークな作品を制作する日本のアーティストを発見! こちらはなんと漆を使った彫刻で、伊能一三さんの作品です。少し丸みを帯びた形状や、漆なのにマット調でテキスチャーのある質感などとても温もりを感じます。

かわいさと太々しさを合わせもったような憎めない猫ちゃんの彫刻作品(笑)。胴体が太いのが愛嬌がありますね。重そうに見えますが、実はとても軽いのだそうです。

彼の息子さんを題材にした作品。伊能さん(写真)ご本人とそっくりですね!(笑)東京藝術大学大学院美術研究科漆芸専攻を卒業後、 漆の現代美術作家として国内外で活躍されています。何年もかけて制作した作品10点あまりを今回持ち込まれたそうです。「漆の作品は足したり削ったりが自由で、いつまででも納得するまで手をかけていられるからとても楽しいです。展示会のような締切がないと制作を終わらせられないんです」と笑顔で語っていらっしゃいました。

こんな風にアーティストの方とお話ができると楽しい!これが展示会の醍醐味でもあります。

アートセントラルも会場はとても広く、なかなか見応えがあります。疲れた時に休める場所もあるので休み休みまわりましょう。

会場内に設営されたちょっとおしゃれなカフェ。




アートバーゼル 詳細記事はこちら

こちらも3月26日から30日の間、アートセントラルと同時期に開幕されているアートバーゼル。今年は昨年に比べるとギャラリー数も、展示作品数も、来場者数も多そうな印象を受けました。今年はあちこちから日本語が聞こえます!会場のサイズからするとアートセントラルの2倍以上。とにかくスケールが大きくて圧巻ですが、今のアートのトレンドを肌で感じることができます。比較的大きな絵画が多く、今年は大小様々なインスタレーションと、デジタルアートも例年より多かったです。

展示会場はコンベンションセンターの1階と3階で行われています。1階だけでもかなりの広さなので、歩きやすい靴と、すでに冷房が効きすぎなところがあるので、羽織るものを持っていくのがおすすめ。またバックパックサイズの鞄は持って入れませんので、クロークに預けることになります。

歩いても歩いても展示会場が続くバーゼル。ついつい歩き進んでしまいますが、ぜひ足を止めてじっくり作品と対話してみましょう。

ギャラリーの入り口。門構えが目立っていました。

草間彌生さんの作品はあちこちで見られました。近づいてよーく見ると細かな丸がぎっしり!

そして会場でも一際目を引いた作品のひとつ。

現在81歳のベティ・マフラーの作品「Healing Country」です。現在も意欲的に制作活動を行なっていて、展示作品は昨年から今年にかけて描かれたものです。彼女は南オーストラリアに住むアボリジニの女性アーティストで、作品は彼女のルーツや文化的意味を表現しています。また、彼女自身がナンカリという身体的な治療だけでなく、精神的・霊的に癒すアボリジニの伝統的なヒーラーでもあることから、キャンバスには自然や土地へのスピリチュアルなつながりも描き出しています。この作品は、アボリジニの土地への深い感謝と、自然との調和や関係性を表現しています。

 

絵画作品に呼応するように制作された彫刻も。

立体的な絵画もよく見られました。

ロイ・リキテンスタインの作品

日本のギャラリーや日本人アーティストの作品も多数見られました。

草間彌生さんの作品

日本人アーティストのAtsushi Kogaさんは、高校卒業後にアイルランドに渡り、National College of Art and Designを卒業。現在はダブリンを拠点に活動しています。絵画でよく描かれるかわいいうさぎのキャラクターが有名。しかしいつも何か物言いたげで、どこか物憂げ。少々ダークで風刺的表現をも併せ持っていて、今、アイルランドを中心に世界中で高く評価されています。今回はそんな彼の彫刻も発見しました。


今回ご紹介したのは、ほんの一部ですが、1年に1回しかない大規模な展示会の雰囲気をお伝えできたら嬉しいです。アートは皆さんが自由に受け取り、自由に解釈できるものです。堅苦しい説明や解釈は無しで、ただただ自分に正直に「好きか」「嫌いか」だけ受け取りに足を運んでみると、自分が好きなものってこんなのなんだって新たな自分発見ができるかもしれません。香港だからこその展示会ですので、今年は無理でも来年ぜひ計画してみてくださいね! 今回は3月30日までです。

アートセントラル 詳細記事はこちら
アートバーゼル 詳細記事はこちら

 

コメントをありがとうございます。コメントは承認審査後に閲覧可能になります。少々お待ちください

意見を投稿する

Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。

Translate »