2025/02/14
前回ご紹介したtea round、「香港茶文化の多様性と創造性を発見しよう」というテーマ通り、試したいお茶、話してみたい人たちが大集合、全3日間通ってしまいました。
去年よりパワーアップ
今年は場所が地上広場になり、広く、動線も良し。いろいろ試飲する準備万端、自作の茶杯を持って行きました。ワンショット分の茶葉がいろいろ売られているのも嬉しいポイント。去年の茶席でおいしかった白茶専門のブランドで、4gの一級梅占白牡丹(白茶)を買ってみました。詳しい淹れ方をはじめ、産地の村、海抜まで表記されています。土日の午後からはかなり混み合い、2日目にして茶葉が売り切れているベンダーもあり、大盛況でした。
飲みきりサイズのお茶・ロゴ入り茶杯で試飲
今年のお茶席
最初の茶席で入れられたのは、24年ものの鉄観音。中国の国家標準(中国国内での茶の品質、製造方法、分類、検査方法などを統一する規格)によると、特定の条件下で5年以上貯蔵され、自然発酵と熟成を経て独特の香りと味を形成したものを、「陳香型鉄観音」と定義しています。このお茶はりんごのようなフルーティーな香りがし、熟成されたまろやかさがありました。
2席目は台湾茶。桂花白茶と紅茶で、台湾の水と近い硬度の水を用意してもらったそうですが、もう少し硬度がある水だとお茶のキャラクターがさらに引き出されるとのことでした。
3席目はレアティー茶席。淹れてもらったのは、アフリカマラウイのLapansi Antler’s。鹿の角のような形をした茶木の茎部分のお茶で、高原で作られている希少なお茶だそうです。フルーティーな香りに甘い余韻。調べてみるとアフリカの中でもマラウイは良質な紅茶の生産量が、ケニアに次いで多い国だったんですね。紅茶も飲んでみたくなりました。
お茶小物、茶器
最後の茶席は、香りと記憶がテーマ。まずお香を楽しみ、お茶は鳳凰単叢の黄枝香。香りに集中できるように黒い茶杯でした。
「普段どんなお茶を飲んでいますか?」と隣の人に聞くと「30年くらいのプーアール生茶かな」。すごい人だなと思っていたら、新星茶荘の社長さんでした。どんな人と同席するか、お茶会の醍醐味です。
茶席の様子
鳳凰単叢がずらり
10種類の鳳凰単叢のブランドテイスティング。同時に淹れられた単叢とレンゲが並びました。参加した老師たちは試飲はしません。レンゲについた香りをそれぞれ確認しています。フローラルなもの、フルーティなもの、焙煎の香りが強いもの・・・。確かに同時に比較してみると、それぞれに個性が際立っています。これだけの単叢茶を同時に比較できる貴重な体験ができました。
試飲もちょっとしたお茶席です・ブラインドテイスティング
大切な想いをお茶と共に熟成させよう
今年は封茶にも参加してみました。発起人の老師たちのスピーチや詩の中、封じる2024年梨山炭焙烏龍茶と2012年易武麻黒プーアール茶が振舞われました。
想いや願いを書いて、お茶と共に封じる。数年後、お茶が熟成され、味が深まるように、わたしの想いもまた変化しているのでしょうか。お茶を飲みながら、ゆっくり想いを巡らせていると、こんな時間を日々なかなかとることがないのに気づきました。日頃ノートに思いついたことがあれば、書き留めるようにはしているのですが、今年からそんな時間をもう少し増やそうと思いました。
最後に、老師たちにサインをしてもらえるということで、茶缶を持って各老師の元へ向かいました。
葉老師は、一人一人に異なるメッセージも書いている様子。それは、それぞれの名前を読み込んだ「藏頭詩(折句)」を即興で詠んでいるのでした。そしてわたしが詠んでもらった詩は
「千里相會有緣時 佳茗品名随時有 子需開心佳茗馨」
意味は
「遠く離れていても、縁があれば会える時が来ます。その時には一緒にお茶を飲みましょう。そして香り高いおいしいお茶で心を満たしましょう」
という感じでしょうか。この3日間で、一緒にお茶を飲みながら、言葉を交わした人たちの顔が思い浮かびました。良いお茶を飲んだ後の余韻のように、温かい気持ちが心に広がるのを感じながら、帰路につきました。
烏龍茶の封茶セット・詩を書く葉老師
Chikako
トロント、NY、シンガポール、今は香港に在住。
各地のライフスタイルや食文化にインスパイアされた器を製作してきた。
香港では中国茶器を楽しくコツコツ製作。
お茶のワークショップも不定期に活動中。
IG : cnycstudio
お茶のワークショップIG : sound_and_tea_room
Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。
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