2024/06/13

 

5回に渡り、香港の老舗の歴史にまつわるお話を香港老舖記錄冊 Hong Kong Historical Shopsさんとのコラボでご紹介したいと思います。香港老舖記錄冊さんは、Facebookなどで香港の歴史的なお店を独自で取材して発信しています。香港文化の象徴として老舗の存在は欠かせない、老舗が存続していくことが香港の文化を盛り立てることだと言います。香港を愛するHong Kong LEI編集部のわたしたちもまた、昔から愛され続けている香港で誕生した商品が、どんな会社によって作られ、どんな背景で誕生したのか、また、どんなところで、どんなふうに作られていたのかなどを垣間見たくなりました。題して「香港オタクのための愛すべき香港老舗の歴史をたどる」です。でも長いのではしょりまして(笑)「香港老舗の歴史をたどる」と命名いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。


さて、今回ご紹介するのは中国茶の専門店、源茂興記茶莊。70年の歴史がある老舗中の老舗であり、猫とともにお店を続けてきたお茶屋さんです。九龍城塞の取り壊し、空港移転などにより経営も打撃を受けましたが、商品の品質の良さでお客様から支持されています。


店名:源茂興記茶莊 – 九龍城
創業:1954年
事業内容:ティーハウス(卸・小売)
住所:九龍市南港路31号G/F
商品:中国茶、ティーポット、ティーセット
撮影:@chilllifehk

源茂興記は潮州で創業し、その後香港に進出、上環、深水埗、九龍城、旺角に4つの支店を開き、商品の供給は皇后大道西にある工房が一元管理していました。この工房の面積は3,000平方フィートを超えていましたが、再開発のために閉鎖され、各支店が独自の工房を立ち上げ、それぞれ独立して運営しています。
九龍城店は1954年にオープンし、現在は劉(ラウ)兄弟が経営する2代目となっています。当初は南角道32號地下にありましたが、1970年代に現在の場所に移転。改装は最小限にとどめたため、旧店舗の趣は保たれています。

営業形態は大きく変わっています。創業当初は、小売りと卸売りが半々で、卸売りの顧客は主に茶屋、商店、オフィスなどでした。スーパーマーケットの台頭で小売市場が席巻すると、店舗や事務所の数は激減。
その結果、茶葉の流通ルートは狭まり、さらに茶店の納期は半年にも及ぶため、利益率は低く、貸倒れのリスクもあったため、源茂興記は卸売りではなく小売りに注力することを選択しました。
しかし、その道のりは平坦ではありませんでした。1990年代、九龍城塞の取り壊しと空港の移転によって、この地域の人の流れは激減。幸いなことに、源茂興記のお茶製品は評判がよく、他の地区に移転してもお客は定期的に来ているので、なんとか不況をしのいでいます。店頭には 2匹の猫店主がいて、新参者も古参者も関係なく平等に接するので、南角路の「親善大使」となっています。

店がオープンした当初、源茂興記はすでに猫を飼っていました。というのも、店の周辺にはレストランが多く、衛生的とは言い難く、通りや路地にはネズミが出没していたからです。歴代の猫店主たちはネズミが店に侵入しないように最善を尽くしてきました。
今は「貓仔」と「貓囡」と名付けられた店主がいます。この2匹の猫は「老舗貓」とも呼ばれています。その名から分かるように、源茂興記は間違いなく香港で最も古い店のひとつで、70年近く営業しているのです。

その他の店内の写真はインスタをご覧ください。

お茶の包装紙は、昔から変わらぬデザインが印刷され、船のロゴが入っています。さらに、クラフトの紙袋も今でも使用されています。これは、見栄えが良いだけでなく、保湿したり、日差しを遮ったりすることで、劣化を防ぐことができるため、重宝されています。
茶荘の鉄観音は焙煎された後、棚に並べられる前に一定期間放置されます。焙煎工程は工房が担当し、茶葉の加工や茶餅の保管管理はスタッフが行っています。

 

LEIには、中国茶の魅力と香港にある中国茶のお店を紹介するコラムがあります。源茂興記茶莊の写真も第1回にちらっと登場しますのでご覧ください。

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