2024/07/01

６月はMirrorファン全員狂喜の「見面祭」と呼ばれるイベントがありました。「面を見る」という言葉通り、Mirrorのメンバーと近距離で合うことができる、握手会のようなイベントです。今回の目玉はメンバーが直接ギフトを手渡ししてくれるプライスレス・モーメント。そのギフトは日本風の「お守り」でした。この時示唆的だなと思ったのは、以前、「推し」の定義をライターの横川良明さんが「あえて言えば『お守り』」としていたのを「『推し』の科学」で読んでこの定義に共感を覚えていたからです。

推し活をする人の心理を的確に分析したこの名著、作者の久保（川合）南海子さんは、お守りは、その効能やご利益を知らない人にとってはただの布の袋。でも「信じる心」を投射すると、この袋が大切なものになり、生きていく力の源にもなりうると記しています。まさにその通り！ 多くの鏡粉にとってMirrorは、毎日が良い日になると信じさせてくれたり、新しことに挑戦する勇気をくれたりするお守りなんだろうと思います。

「見面祭」で自分の推しとの濃密時間を過ごし、お守りとともに幸せな６月を過ごしていた鏡粉（Mirrorファンの愛称）たち。そんな矢先、爆弾が投下されました。メンバーの一人のガールフレンドのインスタグラム（以下、IG）が暴露されたのです。そのメンバーにガールフレンド（GF）がいることは発表済の、周知の事実。問題は、その彼女の人となりです。露出度の高い服を身にまとった姿、一般人とは思えないセクシーすぎるポーズ。モテ自慢話、知人に悪態をつき、口悪いコメントを連発……そんなIGの投稿が多数、マスコミに流出したのです。推しが幸せであればとGFとの仲を応援していたファンも、GFの上品と言えない言動に嫌悪感を覚えたようです。

ファンの中には大きい傷を負った人も。当該メンバーのIGフォロアー数も大幅に減りました。推しが問題を起こした時、赤の他人であるファンが傷付くのはなぜなのか。「自分の好きな人が、ゴシップの餌食になっているのが辛い」「醜聞が邪魔して、推しが大衆に誤解されるのが悲しい」「推しのことは長く応援して、よく知っているつもりだったのに、彼が自分の知らない意外な一面を持っていて、今までの時間は何だったのかと虚しくなった」「素敵な推しだと友人に自慢していたのに、それが間違いだったとたしなめられた」「推しが長年のファンより、問題のあるGFをかばうように受け取れる発言をしたので落胆した」など、理由は様々です。

そもそもMirrorはタレント養成事務所出身ではありません。トレーニングされたアイドルとは違い、芸能界ズレしていない姿、そして自由度の高い行動が魅力の一つ。所属会社もこの点を理解してか、「イメージ管理のための厳しい情報管理」そして「厳格なリスクマネジメント」を敢行していません。会社の管理が緩やかなことで、これまでもいくつかの醜聞が露呈しましたし、2022年の事故も、もがき苦しみながらも乗り越えてきました。いくつかの問題と向き合う、彼らの葛藤の様子は「調教你MIRROR」という番組で視聴できます。今回の問題もきっと乗り越えられると信じていますが、Mirrorのグループとしての性格上、今後も多くの問題が発生する可能性は否定できません。

この写真から早数年。これからも応援し続けます。© 2024 MakerVille Company Limited

そんな時、ファンを辞めてしまうのか、あるいは継続するのか。ファンはそのたびに思い悩むことになると思います。ある人は「女性スキャンダルは嫌」とファンを辞め、ある人は「プライベートと仕事は別」と、ファンを継続するかもしれません。どちらの選択も正解なんだと思います。それはその人が潜在的に持っている価値観、今回の場合であれば「恋愛関係に関する価値観」に基づいているからです。こういった、自分が潜在的に持っている価値観をMirrorによって再確認したということなんだと思います。Mirrorを通して、自分自身を見直せるなんて、Mirror（鏡）だけに、こちらも示唆的だと思いませんか？

自分の無意識を映す鏡になってくれてありがとう、Mirror!

紅磡リンダ（ほんはむ りんだ）
20年にわたる英国生活、広告代理店勤務、編集者稼業に終止符を打ち、2019年に香港に移住。
移住とともに人生で初めてアイドルに目覚め、Mirror 沼に沈没。沼から鏡（ミラー）越しに見える、新しい香港を発見する毎日を送る。

Instagram　紅磡リンダ【星版】hunghom_linda_qedan