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2025/12/01

2025年11月26日、香港の大埔エリアで発生した大火災は、深刻な被害をもたらし、多くの香港人の心と生活に影響を及ぼしています。心から哀悼の意を捧げます。不安や悲しみの中にある方々に、少しでも心の安らぎが訪れることを願って、まずは現段階で可能な支援をさせていだだきました。今後も継続したいと考えています。


MIRROR 結成7周年の曲『DNA is U』。香港の往年の名作CMを元にしたMVで、香港人にとっては懐かしさを掻き立てる内容です。

 

今回の火事を受けて、身近な人たちの行動もさまざまでした。支援のため現場に向かったり、SNSで情報を発信したり、逆にSNSから距離を置いたり。即座に動く勇気ある人もいれば、立ち尽くして真摯に考える時間が必要な人もいます。どちらも同じように誠実な応答で、どんな反応も正解。それはMIRRORのメンバーたちであっても同じです。SNSなどで意思表示をする、しないという判断を含めて、それぞれのメンバーがそれぞれの理念や感情の中で、火災の悲劇に向きあっているようです。一般人のわたしたちと同様、どれも正解です。


「One and All」は皆が一体となって困難に立ち向かい、支え合い、一緒に進んでいこうというメッセージが込められています。

 

MIRRORは火災の2日後、28日にアジアの音楽界で大きな影響力を持つMAMA AWARDS(以下、MAMA)への出演が決まっていました。これは韓国発祥の賞で、K-POPのグローバル化とともに成長、今では名実ともにアジアで最も注目される音楽賞です。ここに出場することはアジアでの基盤を確実なものにするとともに、さらに大きな舞台への足掛かりになるとも言われています。この大きなチャンスに向けて、メンバーはもちろん、ファンも大きな期待を抱いていました。

しかしながら今回の火災を受け、MIRRORはMAMAを欠席するという決定が下されました。出演中止は彼ら自身、そして所属会社にとっても、世界的舞台での露出という貴重なチャンスを逃す大きな痛手。しかし、多くの犠牲者と被災者を出した大火災の直後に華やかなパフォーマンスを行うのは「不適切」と判断したのでしょう。また、メンバー自身も精神的にパフォーマンスへ集中するのは難しかったはず。ファンとしては残念ではありますが、社会的にも、そして出演者本人たちにとっても、深く配慮された英断だったと言えるでしょう。


MIRROR初の英語歌詞の楽曲「RUMOURS」。日本デビュー告知としてこの曲の大型ポスターが東京・渋谷にも張られました!

 

外的要因による活動制限で思い出されるのが、2022年夏。日本で開催される世界のトップアーティストが集う夏の祭典「SUMMER SONIC」(以下、サマソニ)にMIRRORの出演が決まっていた時のことです。このサマソニでMIRRORは、海外進出を視野に入れた英語歌詞のスタイリッシュなシングル曲「RUMOURS」を披露し、華々しく日本デビューを飾るはずでした。しかしながら、直前に起きた彼らのコンサート中の事故のため、日本行きを含め出演はキャンセルとなり、日本デビューは白紙となったのです。このサマソニ出演が実現していたら、日本でもMIRROR旋風が巻き起こっていたはず。返す返すも残念ではありますが、ここでちょっと視点を変えて、MIRRORの歴史を振り返ってみましょう。

せめてBABY MIRRORはサマソニに!と連れて行ったときの写真。皆、楽しんでいた様子。ⒸLinda Hung-Hom

 

デビュー後人気が上昇傾向に乗ったあたりで、社会情勢不安とコロナ禍でイベントが軒並み中止の憂き目に。さらに、ようやく音楽活動が再開できるようになった矢先の2022年、コンサートで大事故が発生し、全ての活動を数カ月にわたって全てキャンセル、自粛。大切な仲間であるダンサーが重傷を負ったこの事故で、メンバーが負った心の傷はいかほどか。そんなゼロ、いえ、マイナスの状態から僅か3年。不可抗力で出場はかないませんでしたが、今回のMAMAは再び手にした世界の舞台へのチャンスでした。生き馬の目を抜く芸能界、千載一遇のチャンスに一度も巡り遭えず、消えるアーティストも多い世界で何度も大きなチャンスがやってくるのは稀有なことだと言えるでしょう。


デビューソング「一秒間」。さて、この7年で一番変化(成長?)したメンバーは誰でしょう?

 

今回のチャンスがやって来た理由は、3年の間彼らが常に高みを目指してきたからに他なりません。ワールド・ツアーを成功させ、歌にもダンスにも邁進。この3年でアーティストとして飛躍的にレベルアップを果たしました。チームとしてだけではなく、一人ひとりも確実にスキルアップしています。


個性豊かな12人が一緒に活動を続けるにはチームスピリットが大切。多様な人々が共に生活する香港も同様かもしれません。

 

困難に遭遇しても必ず乗り越えるMIRRORの姿に、香港が重なって見えることがあります。比較的短い歴史の中で様々な試練を受け、でもその都度、強く逞しく立ち上がる香港の人たち。飛躍し過ぎた見方かもしれません、でもMIRRORはそんな香港の姿を鏡のように映しているように思えてなりません。

「七転び八起き」という言葉がありますが、何度苦難に見舞われても、MIRRORは立ち上がり、試練を乗り越えてきました。その度に新たに輝きを増していきます。そんな彼らにチャンスは必ず巡ってくるはず。頑張れMIRROR! 応援しています。


紅磡リンダ(ほんはむ りんだ)
20年にわたる英国生活、広告代理店勤務、編集者稼業に終止符を打ち、2019年に香港に移住。
移住とともに人生初めてアイドルに目覚め、Mirror 沼に沈没。沼から鏡(ミラー)越しに見える、新しい香港を発見する毎日を送る。現在、大学院生として香港の歴史(特に映画の歴史)を学んでいるが、そのきっかけがMirrorだったことは、教授には内緒。

Instagram 紅磡リンダ【星版】hunghom_linda_qedan


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