2023/01/31

はじめまして。香港に住んで早10年になるさきといいます。
香港には駐在妻として東京から引っ越してきました。小学生と中学生のママをしながら、専業主婦を経て、現在フリーランスの仕事をしています。
2022年は、わたしにとって人生最大の試練の年でした。香港での離婚、そして39歳で大腸がん発覚というショッキングな出来事があったのです。


今回このコラムを始めたのは、がん発覚までのいきさつや香港での治療、考えたことなどをシェアして、読んでくださる方の参考や励みになったらいいなと思ったからです。とは言っても、昨年の話なので、まだ渦中にあるわたし自身の心の整理と記録としても書いていきたいと思います。
これからどうぞよろしくお願いします。

2022年2月頃、なんとなく卵巣あたりに痛みを感じはじめました。2週間ほど様子をみて痛みが収まらないので、プライベートクリニックの婦人科で検査してみることにしました。この時の結果は全く問題なし。痛みも数週間ほどで収まりました。
3月、今度はお腹の少し上の方が痛くなることが何回か続きました。ストレスかな? と思う程度でしたが、ある夜、数分おきに胃のあたりを絞られるような激しい痛みを感じて、怖くなり、パブリック病院の救急へ駆け込みました。
幸いあまり混んでいなかったので、すぐにドクターに見てもらい、痛み止めの注射の処置。不思議なもので、病院についた途端に痛みがやわらいだのを覚えています。やはり、これは精神的なものなのか? と思いつつ、次の日から全く問題がなく、普通に過ごしていました。


しかしこの頃から、下腹をキューっと絞られるような痛みが数日に数回続いたり、毎日感じることもあったりと、おさまっては戻り、の繰り返しでした。
5月になると、さすがにもう一度ドクターに診てもらおうと思い、今度は内科に行きました。そこでは、お腹の痛みの原因となる病気の可能性を説明されました。ストレスだったり、胃腸炎だったり、もっと大きな病気だったり、婦人科系だったり、いろんな可能性が挙げられました。とりあえず、炎症がないかがわかる血液検査だけをしました。
結果は問題なし、ストレス性のものだと診断を受けました。この時わたしは、2年以上続く泥沼離婚の真っ最中で、人生で一番くらいのストレスを感じていたので、この診断には正直、納得でした。そして、なんとなくではあるけれど、ストレスを感じる日に特に痛みがでていたような気がしました。


症状は変わらぬまま、7月になり、日本へ3年ぶりに一時帰国をしました。日本に着いて数日間はかなり腹痛に苦しまされました。この時も離婚のことでかなりのストレスを感じていたので、そのせいだと確信していました。数日経つと、ほぼ痛みもなく日常生活を過ごせるようになりました。

夏も終わり、長く続いた離婚調停もついに成立し、解放的な気持ちで新学期を迎えます。
お腹の痛みもこの頃からびっくりするほどなくなりました。ああ、やっぱりストレスだったんだ! 心配していた家族にもそう話していました。


そして、前回の健康診断から1年以上経つので、予約することにしました。今回は、お腹のこともあったので、基本パッケージの他、婦人科検診、婦人科系腫瘍マーカーも追加。
数週間で結果が出て、絶句でした。総合評価G……。今までで一番悪かったんです。
その原因は、まさに便潜血陽性。便潜血? 便に血が混ざっていたことなんて今までにないし、少なくとも肉眼で見えたことはない。すぐさまインターネットで検索すると、大腸がんや痔などの文字が……。でも大腸がんと診断されるのが、便潜血で陽性になった人の2パーセントほどとのこと。じゃあ、大丈夫かな? という気持ちがある反面、なんとなくこの時嫌な予感もしていました。
すぐさま専門医の予約をとり、大腸内視鏡検査とCTスキャンの予約を入れてもらいます。幸いわりと早くとれ、CTスキャンが先で、その数日後、内視鏡検査。人生初でした。
香港では日本と違って、基本が全身麻酔で、前準備も日本よりかなり厳しい。検査三日前から果物、野菜などの繊維質はNG。前日はポカリスエットのみ。そして、前日の夕方から下剤を混ぜた水を3リットル飲んで、腸内洗浄をしなければなりません。つらいけど、デトックスをしているんだと思うようにして、乗り切りました。


そしていよいよ大腸内視鏡検査。人生初の全身麻酔。腕の血管から白っぽい液体の麻酔薬を入れられます。看護師さんが、「なにか楽しいこと想像してくださいねー。冬はどこか旅行行きますか?」と話しかけてきて、「日本へ行きますー」と答えた途端、眠りに入りました。
1時間くらいたったでしょうか。目が覚めて、あれ? まだ始まってないのかな? と思ってキョロキョロしていると、担当ドクターが来ました。担当ドクターは同年代の優しそうな女性医師。なんだか深刻そうな顔をしています。「さきさん、大腸に異常が見つかりました。手術が必要になります」と彼女から告げられたのです。

つづく



福山さき

2012年、東京から香港に移住。フリーランスインストラクター。小学生、中学生のママ。趣味は、料理とピアノ。


 

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2 件の意見

  • Nozomi より:

    コメントありがとうございます。福山さきさんが予約したのは大腸カメラ専門のDr. Pang Hing Yan, Sandyだそうです。(編集部より)

  • sumiyo より:

    はじめまして。香港にすんでいます。最近血便があり気になってこのブログにたどり着きました。検査をうけた病院教えていただけますか。

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