2023/04/04
今回は香港で世界的に有名なギャラリーが集まる複合施設H Queen’sのご紹介をしています。ここまでのお話はこちらを。
さて、香港には90近いギャラリーが存在します。ミュージアムには行くけどギャラリーは敷居が高くて入りづらいという声をよく聞きますが、ギャラリーは誰でも楽しめるアートスペースであり、今を生きる現代アートの作家さんができたばかりの作品を発表する場でもあります。公共の場で本物が見れる最後のチャンスとなるかもしれませんので、行かない手はありません! ぜひこまめに足を運んでみることをおすすめします。
では「香港のギャラリーってどこがあるの?」というときにとても役立つのがHong Kong Art Gallery Association が作っているギャラリーマップ。各ギャラリーでも無料で配布していることがあるので、手に取ってみてください。
Hong Kong Art Gallery Association
https://www.hk-aga.org/
マップのデジタル・バージョンでは、現在開催中の展示会の情報がアップデートされているものもあるのでとても便利です。
H Queen’sにはWhitestone以外にも4つのギャラリーが入居中です。
David Zwirner
5/F – 6/F
David Zwirnerは、ニューヨーク、ロンドン、パリ、香港に拠点を持つ現代美術を扱うギャラリーで、現在70人以上のアーティストや遺産を扱っています。これまでに、さまざまなメディアやジャンルの革新的で先駆的な展覧会を開催してきて、現在活躍する最も影響力のあるアーティストたちのキャリア形成に貢献してきました。さまざまな国際的なアーティストたちの長期的な代理権をも保持していることで、アート界にも影響力があるギャラリーです。
Rirkrit Tiravanija: The Shop
March 20—May 6, 2023
本展は、中国から世界へ向けて発信された最も成功した書籍シリーズの一つ、中国の作家、劉慈欣(リウ・ツーシン)氏のSF作品「地球往事」(「三体」)から大きなインスピレーションを得ました。Tiravanija(ティラヴァンジャ)氏は、展示室の入り口に香港でよく見られる傘の修理工場を再現。観覧者はその店内を入ってお店の裏口を通っていくと、全く違う世界に身を置くことができます。そこには拡張現実やロボットなど、時間、空間、現実の知覚に働きかけるちょっと奇妙でユニークな体験ができるはず。
店の奥に進んでみよう
▶︎香港のギャラリーで作品の写真撮影はできる?
基本的にギャラリー内での写真撮影は可能です。ただし、他の入場者の邪魔になるような撮影の仕方や、衣装を伴うようなイベント用の撮影、大掛かりな撮影などは、許可が必要、または撮影ができません。
TIP!
インスタ用に撮影してもOK!タグ付けしてあげるとなお喜ばれます。
Pace Gallery
12/F
Paceは、20世紀と21世紀の最も重要なアーティストや遺産を数多く取り扱う、現代美術の先駆的ギャラリーです。アート界に欠かせない存在であるPaceは、世界9カ所に拠点を持ち、アジアでは2008年に北京でスタートし、その後香港とソウルに拡大しています。
Zhang Xiaogang: Lost
Mar 21 – May 4, 2023
大変印象に残る肖像画で有名な、中国の現代アーティストZhang Xiaogang(ジャン・シャオガン)氏の作品は家族写真をもとに肖像画を描くことで近代の中国社会を表現してきました。アメリカ、グッゲンハイム美術館も所蔵。香港でもM+のUli Sigg ギャラリーにて「Big Family No. 17 (1998)」を見ることができます。
今回は彼の新作の「Light」シリーズでは、繊細な光のパッチを描いています。この瞑想的で静謐なタッチの新たな試みは静物画に焦点を当てたものです。
”Light No.5”2022
ギャラリーではアーティストの過去の書籍やカタログも見ることができます。
今回、紙に油絵を描いた「Jump No.6」(2022年)と、キャンバスに油絵を描いた「Jump No.8」(2022年)も展示されます。人物はジャンプというより、重力の影響を受けず、空気の中に浮遊しているように見えることで、現代生活の激動や人の魂の重さを表していると受け取れるかもかもしれません。
▶︎ギャラリーと美術館の違いは?
美術館は教育や啓蒙、後世に受け継ぐ美術作品保護のために作品を収集しています。作品を有料で見せるだけでなく、学芸員による特別展などを行って作品をより理解し、学べる機会を提供しています。(参考:5月14日までM+で開催中の特別展草間彌生回顧展「Yayoi Kusama: 1945 to Now」をご覧ください。)一方ギャラリーは、販売目的に作品を展示しています。そのため入館料は必要ありません。ただし、販売を目的としたアートバーゼルのような場合では、高額な入場料を支払って入場する必要があります。それぞれのギャラリーには太いパイプラインを持つアーティストがいることもあり、得意とするジャンルに違いがあります。
TIP!
ギャラリーで見れる作品は購入できます。
Hauser & Wirth
15/F – 16/F
http://www.hauserwirth.com.hk/
Hauser & Wirthは、1992年にチューリッヒで設立された近現代美術の国際的なリーディングギャラリーです。世界的な視野を持つファミリービジネスであるHauser & Wirthは、過去25年の間に世界7カ所に拠点を持ち、70人以上のアーティストやエステートの代理店を務めるまでに成長しました。
Rashid Johnson: Nudiustertian
20 Mar – 10 May 2023
アメリカのシカゴ出身で、現在はニューヨーク在住のRashid Johnson(ラシード・ジョンソン)氏の新作展。彼はこれまでに絵画以外にも、彫刻、映画、写真、パフォーマンス、インスタレーションなどジャンルを超えて発表しています。今回は大きなサイズの絵画などで、自身と世界の葛藤を表したものが出展されました。タイトルのNudiustertianとは、一昨日やごく最近の過去に関連するという意味。作品は2018年から現在までのまさにコロナのStay Homeの時期に制作されたものです。個人的な進化と芸術的な進化の両方を追跡すると同時に、時代精神を映し出すものでもあります。
Seascape “Walk on By”2022
「海景画」シリーズでは、キャンバスをニュートラルホワイトやプルシアンブルーの油絵具で完全にコーティングし、手漕ぎボートを思わせる形状にひっかいたものです。彼はこれらの形状を自己の器と捉え、現代においての自律性、独立性、個人主義の感覚を託しているそうです。
Triptych “Land of the Free”2022
3枚の連作はコロナ禍での心や状況の移り変わりを表したとも。
▶︎アーティストに会いたい!
お気に入りのアーティストに会って直接質問したり、トークショーを聴きに行きたい場合は、まずはメーリングリストに登録してお知らせを受け取り、アーティストが在廊するかどうかをチェック。初日は高い確率で在廊の可能性があります。わからない場合は、臆せずギャラリーに直接問い合わせてみましょう。トークショーがある場合は座席数に限りがあるので、お知らせがきたらすぐにRSVP(出席を連絡)を! アーティストはサインや記念撮影に応じてくれるはず。
TIP!
メルマガでのお知らせを見逃さず、すぐにRSVP(出席を連絡)を!
Tang Contemporary Art
10/F
https://www.tangcontemporary.com/
Tang Contemporary Artは1997年に設立され、バンコク、北京、香港に約3,000平方メートルの展示スペースを持っています。毎年、20以上の個展や国際的な現代アーティストのグループ展を開催。アジアで最もアカデミックで先駆的なアートギャラリーのひとつであり、国際的なトップレベルのコンテンポラリーアート・プラットフォームの創造に取り組んでいます。
Jigger Cruz Solo Exhibition : Resembling Utopia
2023.3.20 – 4.30
著名なフィリピン人アーティスト、Jigger Cruz(ジガー・クルス)の新しい個展「Resembling Utopia」は、未知への内なる旅であることを宣言しています。知識欲に駆られ、計画なしに本能的に航海する冒険家のように、彼のこの新シリーズは、全く新しい探検を象徴しています 。自身の絵画制作の過程で「私の絵はどんどん迷子になっていき、最終的には “絵画 “という従来のカテゴリーを超えた存在になる」と述べています。
Artist:Jigger Cruz
”Lost Metaphor in Visual Orgasm” 2023
Curator: Michela Sena ”Lost Metaphor in Visual Orgasm”2023
今回の展示会でとても象徴的な作品。画材そのものに挑戦し、対象を表現するのではなく、額縁を含めたオブジェを作ることを目的に絵を描いています。彼の芸術の目的は、現実を再現することではなく、より魅力的なものへと変化させることです。
▶︎オープニンングパーティーに出席したい!
オープニングのカクテルパーティーに出席したい場合は、まずは各ギャラリーのメーリングリストに登録しましょう。大好きなアーティストが来る場合はウェブサイトもこまめにチェック。一般に公開する場合は両方で告知されるので、出席したい場合は、RSVP(出席を連絡)するか、ふらっと寄っても大丈夫な場合がほとんど。
TIP!
オープニンングパーティーに出席したい場合はメーリングリストに登録しよう。
Pop Up Gallery: 特設展示
HART: POSTMODERN TALES
20 MAR – 29 APR 2023
2018年以来、香港の文化・現代アートシーンの繁栄に貢献しているHARTは、芸術的分野でのコラボレーションなど、アートの可能性の深さを香港で広げるプラットフォーム。この度の「Postmodern Tales」は、HARTのディレクター、ヴェラ・ラム氏がキュレーションする第2回オフサイト展です。HARTのアーティスト・イン・レジデンスの新作を展示しているほか、香港を拠点とするコンテンポラリークリエイターによるアーティストメイドの出版物も取り揃えています。展示作品は、ビジュアルアートやデザインなど様々な媒体にまたがっており、香港の現代アートを様々な角度から解釈しています。
Vaevae Chan(ヴィーヴィー・チャン)の作品。陶器でできた携帯ケース。アーティストは日本のアニメやカンフー映画からインスピレーションを得たそう。
▶︎ギャラリーの先々スケジュールはどうやったらわかるの?
ギャラリーの新作展示はギリギリまで公表しないことが多いのです。それはやはり競合ギャラリーや、アーティストの作品のお客からの争奪戦などが考えられます。現在開催中の展示が終わりそうな時期には次回の発表があることが多いので、目を光らせておこう!
TIP!
メーリングリストに登録して常に目を光らせておこう!
ギャラリー紹介(2)
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