2023/10/15
現在の香港国際空港がランタオ島に移動する前、九龍城近くに街の頭上スレスレを大きなエアクラフトが行き来する啟德(カイタック)空港がありました。香港のど真ん中にあったためとても便利だったのですが、離着陸は滑走路13へ着陸する際に、大きく機体を傾け九龍仔公園上空近辺で機体を右旋回させ、ビル群すれすれの高さを飛行する「香港アプローチ(香港カーブ)」で搭乗者の度肝を抜くと有名だったそうです。こういうわけで騒音などの問題もあり、1998年に国際空港は現在の場所へ移動し、啟德空港は73年の歴史に幕を閉じました。
それ以来、長年空港跡地は更地となったままで、開発地域としての始動の時を待っていました。この開発地域の1つのプロジェクトとして、およそ70万平方フィートのおしゃれな新ショッピングモール「AIRSIDE(エアサイド)」がオープンしました。今回はこの新しいモールとこの地域の歴史をご紹介しましょう。
目次
〈1〉
啟德空港跡地にできたモール
40以上の飲食店が楽しめる
Dog Lover 必見!
啟德空港が学べる体験型展示
香港のモール初!飛行機の実物展示も
〈2〉
啟德空港跡地は開発地域
開発した南豐集團とモールのこだわり
南豐集團とは?
環境に優しいがテーマ
啟德空港跡地にできたモール
AIRSIDEへのアクセスは、新しく開通したMTR屯馬ラインの啟德駅下車、C出口から直結しておりとっても便利です。
新蒲崗(サンポーコン)地区や湾仔から移動した税務局(Inland Revenue Centre)へも歩道橋でつながっています。開発地域とはいえ、この辺はローカルなエリアで、今回オープンしたショッピングモールはちょっとモダンすぎるのではないかと思ってしまうほど。
AIRSIDEは、190万平方フィート、47階建ての複合商業ランドマークで、その中に70万平方フィートの広大な多層ショッピングモールが入っています。AIRSIDEは、アート、エコ意識、低炭素ライフスタイルを通じて、人間と自然のつながりを育む「全体性」というユニークで新しい都市型ライフスタイルをコンセプトとしています。モール内には合計6,000平方フィートの都市型農業スペースがあったり、アートの専門家チームによってキュレーションされたその名も啟德空港跡地にふさわしい「GATE33」ギャラリーを含む、1万平方フィートを超えるアートと文化の専用スペースもあるんですよ。
「AIRSIDE(エアサイド)」とは、航空業界で使われる用語で、空港の税関や出入国審査場だけが立ち入れる制限区域を意味します。この新しいランドマークの名称は、かつて啟德空港として使用されていた場所へのオマージュとして選ばれました。
取材した日は、ソフトオープニング初日でした。さすが新しい情報に敏感な香港の人々。思ったよりも賑わっていました。
新装開店には必ずと言ってよいほどある花輪。とても華やかですね!
40以上の飲食店が楽しめる
さて、魅力的な食のパラダイスとして、AIRSIDEモールには40以上の飲食店があり、多様で国際的な料理で食通を魅了すること間違いなしです。魅力的なアジア料理から世界の美食、郷土料理、ブティック・ベーカリー、インスタ映えするカフェ、ティーハウスなど、あらゆる味覚が楽しめます。
日本からは抹茶天国「nana’s green tea」に加え、北海道の焼肉レストランとして高い評価を得ている「KAGURA」があります。ここではオーガニックの「みらい牛」を使った本格的な焼肉が味わえるとあって一度は訪れてみたいところ。西洋ステーキハウス「Chef’s Cuts」、韓国バーベキューと釜山の伝統料理「ユックミジョンダム(유명진의 육미정담)」、看板メニューのローストダック専門店「Ah Bu Duck」、コンテンポラリーな中国料理「LUNA」なども見逃せません。
そしてTea Chateauの最新店舗は、香港初の手作り紅茶専門店。茶職人が丹精込めて作り、ブランドの厳選した茶葉カプセルと天然のモンクフルーツ甘味料で淹れた、こだわりの手作りドリンクの数々。一度はトライしてみてくださいね。
Dog Lover 必見!
さらに、ペットフレンドリーなショッピング・デスティネーションとして、飼い主と家族の一員であるわんちゃんの両方のニーズに応えてくれるペット専門店があります。イルコルポグループ初のペットグルーミング&ケアサービスの「HOLA il colpo Hair & Pets」では、ペットとオーナーのためのヘアサロンとして一緒にヘアカットを楽しむことができます。
また、上質な日本製ペット用品とフォトジェニックな浴衣を取り揃えた和風ペットブティック「All Japan Pet」や、高級猫用おやつやおもちゃ、しつけサービスなどを取り揃えた猫専用エンターテインメントスペース「Purr’Licious」、セルフサービスのペットケアやリハビリ施設、ペット交流スペースを備えた空港をテーマにしたペットショップ「Ruff & Fetch」などが軒を連ねます。
また、オープン記念期間中は、ペットをテーマにした様々なアクティビティが開催されます。AIRSIDEを訪れる人々は、愛するペットとの楽しい時間を過ごすことができますよ!
AIRSIDEには香港の最大規模のMUJIがコーヒースタンドを設置して開業しているほか、City’superも今後オープンする予定です。
啟德空港が学べる体験型展示
航空機の展示に加え、没入型フライト・シミュレーション体験を通じて非日常的な冒険の旅に出たり、モール内のさまざまなスペースで開催されるワークショップや展示会に参加したりすることができます。
オープン記念の一環として、来場者がソアリングのスリルを味わえる特別な飛行体験ゾーンも設置されています。忘れられない瞬間を写真に収めるために綿密に設計されたフォトスポットのほか、来場者は爽快なフライト・シミュレーションに挑戦したり、ドローン・サッカーを体験することができます。
その他、啟德空港の歴史を紹介する「Desire to Fly」と呼ばれる展示も2023年11月12日まで行われています。びっくりするような貴重なコレクションの数々。ぜひ訪れてみてください。展示会場は2カ所に分かれてます。
今回最も目を引く啟德空港の歴史や功績を紹介した貴重な展示は、モールの2階アトリウムにある「アイデア・クラウド」展示スペースから始まり、3階のGATE33ギャラリーへと続いています。
キャセイパシフィック航空と香港飛機工程有限公司の協力により、200点以上の歴史的展示品が公開されています。その中には、飛行日誌、旧空港の写真、旅行ポスター、フライトマップ、古い搭乗券などが含まれ、啟德空港の豊かで輝かしい歴史を物語っています。また、21人の才能ある地元アーティストやコレクターによるビジュアル・アート作品、インスタレーション、インタラクティブ・デザインは、人間が生まれながらに持っている自由に飛び立ちたいという憧れを表現しています。
当時の啟德空港へ思いを馳せてメッセージを送るコーナーも。
香港のモール初!飛行機の実物展示も
もう1つ、ぜひともご覧いただきたいのが地上階に設置された、香港のショッピングモールで初公開となる実物の単発機「ビーグル・パップ100」(識別名:G-AWEC)。
この飛行機を操縦したのは、香港の飛行機好きで知らない人はいない伝説のチン兄弟、ドミニクとフランシスで、イギリスから14カ国を30日間かけて横断するスリリングな旅をしました。1972年1月8日の夜、彼らは啟德空港への着陸に成功し、香港の3つの航空記録と1つの世界記録を打ち立てました。AIRSIDEモールを訪れる航空ファンは、この飛行機を間近で鑑賞し、写真に収めることができます。
取材当日にはこの飛行機の持ち主であり、記録を打ち立てたご本人も登場。多くの人の質問に答えていました。
啟德空港跡地の開発とモールのこだわり
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