2024/03/28


我が家には現在、ヨガのトレーニングに励んでいる者がいます。夫です。
毎日、家の中や外で3時間ほど、ヨガをトレーニングし、座学の一環として、アーユルヴェーダやヨガ哲学などについても勉強しています。
自宅でオンラインレッスンを受講している時は、わたしの耳にも自然とその教えが聞こえてくるわけですが、なるほど、聞けば聞くほど、心理学と通ずるものがあると感じます。
わたし自身も、ヨガのレッスンは、細々ながら10年ほど、生活の中に取り入れてきました。最初は、運動不足解消や、身体の凝りをほぐすために始めたヨガでしたが、段々と分かって来たのは、心理学の世界とヨガの世界の共通点についてです。
心理カウンセリングとヨガ、どちらもストレス解消や気持ちを落ち着かせる事に役立つという事は明白ですが、どうやら、それだけではない共通点がありそうです。そこで今回は、心理士から見たヨガと心理の世界との共通点について考察してみたいと思います。
現在は、「ヨガ」と一言で言っても、運動量の多いパワーヨガや、温めた部屋で行うホットヨガ、天井から垂らしたハンモック状の布を用いて行うエアリアルヨガ、はたまた、水の上にパドルボードを浮かべて行うサップヨガなど、色々な種類のヨガが流行っています。
また、「流派」と言う意味でも、数多くの種類があるようですが、最も伝統的なヨガは「ハタヨガ」と呼ばれるものだそうです。伝統的なヨガとしてまず思い浮かべるのは、深呼吸をしたり、身体をストレッチさせ、幾つかのポーズをゆっくりとした速度で行っていくというものではないでしょうか。
こうした伝統的なヨガの動作は、ストレス状態を緩和させ、精神的な揺れを落ち着かせる効果があり、ヨガで言うところの、「心を収める」為に日々、修練を重ねます。
カウンセリングの目的も、ストレス状態や混乱状態を治めるために、自分自分の心の動きを知り、自分自身と上手に付き合う訓練を重ね、健全な状態を取り戻すこと。その為の方法論として、ヨガは身体を動かし呼吸を整えると同時に集中瞑想し、カウンセリングは自分と向き合う、と言う作業に従事する訳です。

目的を達成するための方法として、ヨガにもカウンセリングにも共通している具体的なエクササイズ、それが呼吸法と軽いストレッチです。
こうした運動は、副交感神経を優位にし、リラックス効果を得ることが出来ます。カウンセリングの中でも、不安が強かったり、怒りの統制が悪い場合には、呼吸法や軽いエクササイズを取り入れることがあります。
漸進的筋弛緩法と呼ばれる方法は、まさに、ヨガの最後に取る「シャバ―サナ(屍のポーズ)」。一度、身体に力を入れてから、全身の筋肉を緩める、わたしはこのポーズの時に、眠りの世界に落ちていくかのような深いリラックスを感じることがよくあります。寝る直前の「無」の状態、意識と無意識の間の領域に入ることが出来ます。

また、ヨガの教えの中で繰り返し言われるのは、他の人と比べたり、ポーズがきれいに取れているかを気にするのではなく、自分の身体の感覚に集中し、瞑想状態を保つこと。
これはカウンセリングでも同じで、「今、ここ」に気持ちを向けることを大切にします。今の自分の身体の状態、気持ちの状態に集中し、瞬間瞬間の自分に着目することを促します。その為には、過去への後悔や未来への不安が出てきたとしても、そうした観念や執着を「捨てる」ことを繰り返さなければいけません。

そして、ヨガと姉妹関係にあるのが、「アーユルヴェーダ」と呼ばれる、インド古来から伝わる伝統医学。中国で言うところの、中医学ですが、この教えの中では、人間の体質や体格と性格との関連性を説いています。
こうした、体質や体格から、性格傾向や行動特徴との関連性を見出し、病気の予防に役立てる視点も、心理学と通ずるものがあります。ヨガの教えには、インド古来の哲学や宗教などの観点も入っているため、学術的に学ぶとなると、生涯をかけて追及していくことになるのではないかと思いますので、上述したような教えは、ヨガの教えの表面的な部分に留まります。

しかしながら、人の心を扱う者として、ヨガに関しては素人目から見ても、多くの心理学のエッセンスが含まれていると感じるため、非常に興味深く感じています。
もし、カウンセリングには抵抗がある、と思われる方は、まずはヨガの世界から、自身との向き合い方を探ってみるのも良いのではないでしょうか。
我が夫は、今朝も、夜が明ける前から何処かでヨガをしている事でしょう。



河合 まり絵

臨床心理士。日本ではスクールカウンセラーとして、不登校児童や別室登校児童、発達に偏りのある児童への心理的サポートや、精神科クリニックで、パニック障害、PTSD、うつ病、摂食障害などの個別カウンセリングを実施。リワーク外来では、精神疾患などで休職中の患者に対し集団療法を、また、復職後の企業内フォローアップ・カウンセリングを実施。刑務所内では、グループ矯正教育をするなど、教育、医療、産業、司法の分野で臨床経験を積む。香港に移住してからは、3児の子育てに追われるも、縁あって精神科クリニックに復職。

 

OT & P Healthcare/ Mind WorX Clinic
MindWorXはOT and P Healthcareが運営する精神科専門のクリニックです。
中環駅(セントラル)から徒歩2分の場所に位置しており、簡単な日本語を話せる医師と、日本人の臨床心理士が在籍しておりますので、薬の処方と共にカウンセリングを並行して受けることが可能です。投薬はしたくないけれど、カウンセリングを受けたいという方もご相談下さい。

以下のようなことでお困りの方は、是非、一度、ご相談下さい。
・夜、なかなか眠りにつけない、または、朝、早くに目が覚めてしまいすっきりしない
・不安や心配な気持ちがいつも頭を離れない
・過度に食べ過ぎてしまう、または、食欲がない
・子育てに疲れている
・コロナ禍でストレスが溜まっている
・夫や妻、パートナーや他者との関係に悩んでいる など

初回予約の際に日本語でのサポートが必要な方は、marie.kawai@otandp.comにemail を頂ければ、日本語での対応が可能です。

Mind WorX Clinic
OT&P – Internationally Accredited Medical Clinics in Hong Kong (otandp.com)
6/F Century Square, 1 D’Aguilar Street, Central, HK
中環徳己立街1號世紀廣場6樓
Tel: +852 2468 3577
Fax: +852 2111 3850
Appointment WhatsApp: +852 6339 2639


 

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