2024/04/01

2024年３月12日。この日はMirrorにとって記念すべき日となりました。そう、この日こそMirror初の海外ツアーの初日。デビューから５年。満を持して彼らが世界に羽ばたいた日なのです。
世界ツアー初日は英国、ロンドンです。イギリスは20年を過ごした、私にとっては第２の故郷。歴史的なこの日のMirrorの雄姿をしっかり瞳に焼き付けたい！あら、よーく考えればロンドンの銀行の用事、友人へのあいさつ、済ませなくてはならない雑用もいくつかあるような・・・。など、色々理由を捻出して、久しぶりのイギリス旅行（推し活付き）に行ってまいりました。

ロンドンでの会場 はBon Jovi、Prince、Rolling Stonesなども演奏したO2アリーナ。場所に不足はありません。もともとここは「ミレニアムドーム」と呼ばれ、21世紀の幕開けを記念して再開発エリアに建設された大箱です。コンサート会場を中心にアウトレットやショッピングモール、レストラン街を擁しています。
そしてMirror のコンサート当日。小さな街といったこのエリアは、まるまるMirrorのカラーに染まりました。会場の最寄り駅の地下鉄駅で下車すると、耳に入るのは広東語オンリー。ホームの壁面にはMirror メンバーのポスターが掲示され、興奮気味の鏡粉がその前で写真撮影。駅から会場までのオープンエリアでは各メンバーのFCが応援グッズを配布。会場内外に点在するコンサートの電子ボードにはMirrorが映り、そこでも記念撮影するファンたち。香港で見慣れた日常がロンドンで再現されていたのです。コンサート前の腹ごなしのレストランでも、ちょっと一杯のパブでも、中に入ればそこは鏡粉一色。Mirrorの巨大パネルがお客を迎えるお店もありました。さらに駐車場にはメンバーのMVを流したデジタルトラックまでお目見え。そう、そこはまるで尖沙咀の様を呈していたのでした。

さすが歴史的に香港と縁が深い英国、香港人が多いのだなあと感心していましたが、実際ファンたちと話してみるとその背景は実に多種多様。現地ロンドンのみならず、英国全土、欧州各国、それに加えて北米からもファンはやって来ていたのでした。
例えばJさんは1990年代に香港からカナダへ移住。Aさんは数年前にロンドンに移住。Sさんは1950年代に英国に移住したご両親を持つ香港系イギリス人です。Aさんは数年前にお子さんの教育のため、アメリカに移住したとか。ドイツのバイエルン州、オランダからのファンにもお会いしました。見た目には同じ東洋人、香港にルーツを持ち広東語を話す彼女たちですが、置かれた状況や国籍、現居住地は実に多種多様。
これはまるで1950年代の政治的不安、1997年の香港返還時、そして数年前のデモ後など、歴史に大きな動きがある度に移住という選択肢を選んできた香港人の、移民の歴史を見ているようだなあと感じました。香港をいろんな理由で後にした彼女やその家族たち。様々な背景を持った彼女たちが、Mirrorという絆で一つに結ばれロンドンの街に集結したのです。

かつて1970年代にはブルース・リーが世界にカンフーブームを巻き起こしました。白人優位の空気が流れる時代、ブルース・リーが香港の血が流れたヒーロー[1]として登場。圧倒的に強くて、かっこいい彼は東洋人だけでなく、白人にとっても憧れの対象となり、当時白人社会でマイノリティーとして生きる華僑たちに自信と希望を与えたという話[2]を思い出しました。2020年代の今、香港が置かれた状況は全く異なりますが、海外で生活する彼女たちの誇りとなっているのがMirrorの様です。香港を飛び出して海外で生活する彼女たち、自分たちのルーツがある地には、こんなにかっこいい12人のヒーローがいるんだと思うことが、色々あるであろう日常生活の心の拠り所になっているのかもしれません。

これからも大きく羽ばたいてね、Mirror!

※ご参考までに、今回のロンドンコンサートの様子が分かるドキュメンタリー動画も貼っておきます。

[1] ブルース・リーの父は香港人、母はドイツ系オランダ人と中国人の血を引いている。

[2] Dr. Aaron Han Joon Magnan-Park on Mooc (2023)

紅磡リンダ（ほんはむ りんだ）
20年にわたる英国生活、広告代理店勤務、編集者稼業に終止符を打ち、2019年に香港に移住。
移住とともに人生で初めてアイドルに目覚め、Mirror 沼に沈没。沼から鏡（ミラー）越しに見える、新しい香港を発見する毎日を送る。

Instagram　紅磡リンダ【星版】hunghom_linda_qedan