2024/05/14
今回は、お茶屋さんでの丁寧な対応や、お茶好きな地元の人との交流エピソードを少し書いてみたいと思います。
システム明快、いつでも歡迎光臨な有名店
銅鑼灣(コーズウェイベイ)にある新星茶荘さんは、お茶席がいくつもある広いスペースに、お茶や茶器が整然と並べられています。中国だけでなく、日本のヴィンテージの茶器などもたくさんあり、茶器好きはこれらも見ていて楽しいものです。お茶には値段や詳細が明記されていて、「免費試飲(試飲無料)」とあるお茶は、快く丁寧に蓋碗(蓋付きの茶器)で淹れて試飲させてくれます。こちらのスタッフはとても気さくでフレンドリーな方ばかりで、茶友と茶会をしているかのような感じがしてしまいます。
スタッフが丁寧に淹れてくれます 新星茶荘
ヴィンテージの茶器たち 新星茶荘
上環の有名な福建茶行さんのお茶マスター楊老師(楊先生)は、とても優しい笑顔と物腰で、丁寧にお茶の説明をしてくれます。量り売りで少量でも気軽に買えるここのシグネチャーティーは、60時間の自家焙煎の鉄観音。「焙煎の時間の違うお茶を飲み比べてみる?」と奥で茶壷(小さな急須)でお茶を淹れてくれます。甘い余韻が続く美味しいお茶ですが、つい楊老師に会いたくなってお茶を買いに来てしまいます。さらに自称貓奴(猫のしもべ)としては、可愛らしい白猫のゆきちゃんがお店に出て居る日には立ち寄らずにはいられません。
優しい笑顔に会える福建茶行
ドアを開けたらすぐテーブル、老闆の部屋状態のお店
予測不可能な展開に遭遇するのもお茶屋さん巡りの醍醐味です。
ふと通りがかった、棚にお茶や個性強めな茶器がびっしりなお店。お茶などはちょっと雪崩れかけています。店内には、個性的な老闆(店主)が一人テーブルに座っています。一旦お店に入ってしまったら、老闆と距離が近いです! ドアを開けるのにちょっと勇気が必要です。目が合ってしまいました。入りましょう。
とても小さなお店なので、老闆のお部屋にお邪魔します状態です。老闆が今飲んでいたお茶を一緒にいただいていると、近所のお客さん? お友達? が来店、ハローとわたしの隣へ。
「エッグタルト持って来てん、食べへん?」。老闆「僕、今甘いもんいらんわ、あなた2つ食べてや」。わたし「・・・ではいただきます」。
プーアール茶の熟普(熟茶)と生普(生茶)どちらが好きかと聞いてみると、お客さん「生普? わたし香港人だけど知らないし飲んだことないわ」。やはり香港人にとって馴染みがあるのはレストランでも出てくるプーアール茶熟茶なのですねえ、などと話し、お茶を飲み続けること数時間・・・。飲み終わるや否や、お勘定へどうぞの圧が飛んでくるローカル飲食店が多い香港で、こんなに長居させてもらうことなどあるでしょうか。それともわたしが空気を読み間違っているのでしょうか。そろそろそれでは、おすすめの大紅袍(だいこうほう/烏龍茶)を購入して・・・と申し出ると、違うお茶のパッケージのものが。老闆「あ、中身とパッケージとは一致してないから」。なんで?!
過ごすこと、6時間
ある週末、茶友と工業ビルの中にある、プーアール茶ブランドの店へ。
工業ビルなので、広大なスペースです。入ると立派な祭壇があり、ブランド名もドーンとあります。倉庫のようにお茶がぎっしり。街路樹の緑が見える窓辺の大きなテーブルにはたくさんのお茶や茶器。ここの主の女性に質問すれば、その回答や、いかに推しのお茶がいいのかという熱いトークが流れるように続きます。凄腕セールスレディです。
いろんなお茶が登場します
この日はどうやら常連のお茶愛好家の方達が集まっている日でした。そんな皆さんに暖く歓迎されてわたしたちもご一緒することに。お茶のコースを取って勉強している方、シェアするためにお茶を持ってきた方、注がれ続けるお茶を飲みながら、皆それぞれに熱いお茶への思いを語ります。
気がつけば外はすっかり暮れて、なんと6時間も過ごしていました。オール広東語だったので、頭は疲労困憊、流石にお茶を飲みすぎ、お茶酔い(空腹やお茶を飲みすぎたときに起こる不快感)してしまい、茶友たちとディナーに直行したのでした。
このようにお茶屋さんでは店主以外にもお茶好き仲間と出会い、思いがけず楽しい時間を過ごすことがあります。次回は「お茶飲んで行き」から始まった「工夫茶」のレッスンのエピソードです。
Chikako
トロント、NY、シンガポール、今は香港に在住。
各地のライフスタイルや食文化にインスパイアされた器を製作してきた。
香港では中国茶器を楽しくコツコツ製作。
お茶のワークショップも不定期に活動中。
IG : cnycstudio
お茶のワークショップIG : sound_and_tea_room
Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。
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