2025/11/06
1993年に創設された和太鼓集団「倭-YAMATO」。今までに55カ国と地域で5,000回以上のパフォーマンスを行い、約800万人にも及ぶ観客を魅了し続けてきた彼らが、ここ香港にやってきました!
©Hong Kong LEI
公演『火の鳥』では、11人の和太鼓奏者たちが、色彩豊かな衣装を身にまとい、まさに火の鳥、不死鳥のように体力の限界を超えて鮮やかに和太鼓を打ち鳴らします。
今回、Hong Kong LEIでは、倭-YAMATO代表の小川正晃さん、また、メンバーの大野健太さんと三浦寧々さんに、普段の練習や、香港公演について、また舞台『火の鳥』への想いについてお話を伺いました。ぜひインタビューを読んでから、公演に足を運んでください!
香港文化センターにて。©Hong Kong LEI
倭-YAMATO代表:小川正晃氏
奈良県出身。京都精華大学美術学部を卒業。ガラス工芸家を志す中、和太鼓と出会い、その魅力に引き込まれる。現在、倭-YAMATOで演奏されるすべての太鼓音楽を作曲、また振付、舞台美術、演出も自ら手がけている。日本の伝統と現代的な表現を融合させた力強く美しい舞台は、世界各地で高く評価されている。
インタビュー
― 倭-YAMATOの皆さんは、和太鼓を始めとする楽器演奏の技術のみならず、その並々ならぬ体力や体全体を使った表現が魅力です。普段、どんな体力作りや練習をしているのですか?
大野さん:明日香村にいるときは、毎朝6時に起きて10キロくらい走ってから、午前中はずっと体力トレーニングです。腹筋、背筋、腕立て伏せ、あとは締太鼓(10キロ以上あるそうです)を使ってウェイトトレーニング。これだと、ツアー中道具がなくてもできますから。
LEI:女性陣もですか?
三浦さん:もちろん、同じようにトレーニングです。
小川さん:女性の方が強いくらい。(笑)
大野さん:それから午後は、ずっと太鼓のトレーニングですね。
写真左から、メンバーの大野健太さん、三浦寧々さん、倭-YAMATO代表の小川正晃さん ©Hong Kong LEI
― 全員が息をぴたりと合わせるのに、何か秘訣があるのでしょうか?
小川さん:嫌なところも含めてわかりあえる、そういうことを目的として、明日香村に一緒に住んでいます。音を合わせるというより、気持ちが一つじゃないとあかん。音が一つになったとしても、心が一つじゃないと一体感は出ない。それが和太鼓の面白さかな。
写真提供: Asia+ 2025 (Genta Ogawa)
― 香港にいらっしゃって、どんな印象をもたれましたか?
大野さん:香港は初めて来たんですが、おいしいものをいっぱいいただきました。シュウマイ、ワンタン、大きいお皿で「鴨!」とか。(笑)
三浦さん:鳥が一羽ドカン!と。頭もついて出てきて。トサカも食べてみました。(笑)
小川さん:食べ物もそうだけど、香港のエネルギー感はすごいね。生きてるな! って感じが。こっちも、すごいエネルギーないと生きていかれへんな! って。
大野さん:道を歩いていてもグイグイ来る感じですね。
―『火の鳥』に込めた想いを教えてください。
小川さん:2023年に30周年を迎えるにあたり、その前の2019年くらいから、何が運命でここまでやってこられたのかと思い『天命』という舞台を考えていたんです。ところが突然コロナになり、2年間全く仕事がなくなりました。
自分たちには続けていく運命(さだめ)があると信じていたのに、コロナで全てがゼロになり「これで終わるんかな」って思いました。でも、世界中で多くの人がすごい状況の中で生きながらえるのを目にし、倭-YAMATOにできる事は、再び飛び上がるエネルギーをとにかく届けることだ、と思ったんです。
いろいろ困難もあると思いますけど、『火の鳥』を見たみなさんが、打ちひしがれずに、自由に大空に羽ばたく元気が出れば、と願っています。
写真提供: Asia+ 2025 (Genta Ogawa)
― 最後に、観客の皆さんに一言お願いします。
小川さん:『火の鳥』の次の公演として、今『人の力』というのをやっています。昨今、AIとか騒がれていますけど……「何がChat GPTやねん。AI、AIって偉そうにしやがって」って思っています(笑)。和太鼓って、人間にしかできへんし、人間やからズレることもあるし、鼻水も出るし。だから共感し合えるんです。それから、コロナ禍で、多くの人々に助けられ、また多くの人々が再生する力を目の当たりにして、自分たちも元気をもらいました。そういう人の力ってやっぱりすごいんです。今の時代だからこそ、和太鼓をぜひ、見てください。面白いから。
©Hong Kong LEI
写真やビデオの技術がどんなに向上しても、劇場で演者たちの息遣いを間近で感じる体験には到底代えられません。
和太鼓という、何世紀にもわたる日本の伝統文化。そこに巧みな音楽構成、そして現代の舞台技術を融合させた今回の舞台『火の鳥』。和太鼓集団「倭-YAMATO」による、情熱ほとばしる力強い演奏に、古代から受け継がれる日本の鼓動をぜひ感じてみてください。彼らの生の演奏に触れて劇場を後にする時、体の奥から元気が湧いてくることでしょう!
倭-YAMATO 「火の鳥」香港公演
日時:11月7日(金)、8日(土)ともに19:30 から
場所:香港文化会館
チケット価格:$520, $420, $320, $220*(*視界制限あり)
大人気のため、ほぼ完売していますが、各公演日の朝10時より、視界制限のあるHK$220のチケット26枚、および、予約されていない車椅子席がこちらのサイトで販売されます。
なお、8日の15時から、香港文化会館のピアッツァで、公開演奏も予定されています。(無料)
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