香港の「楽しい」をいっぱい詰め込んだ情報サイト

2026/09/20

Website:香港日本人学校Global Class

聞き手:大西望
編集:野津山美久


〈目次〉

〈中学部グローバルクラス新設を牽引〉
〈オーストラリアでの出会いで教員を志す〉
〈学ぶことは楽しいと伝えたい〉
〈乾さんに3つの質問〉


〈中学部グローバルクラス新設を牽引〉

香港日本人学校は、開校60周年を迎えた私立の小・中学校だ。現在300名以上の児童・生徒が、自然豊かな大埔の校舎で学んでいる(※)。同校は、世界の日本人学校の中でも長い歴史を持ち、日本の教育を基盤としながら、国際都市・香港ならではの教育活動を展開している。

2027年4月には、中学部グローバルクラスが始動予定で、その立ち上げを中心となって進めているのが、同校教員の乾麻里子さんだ。

4月、小学部グローバルクラスで授業開きをする乾さん。

乾さんは、2021年に香港日本人学校に赴任し、小学部グローバルクラスで担任や主任を務めてきた。小学部グローバルクラスは10年前に設置されたクラスで、バイリンガル教育の一つであるイマージョン授業と、探究型学習「グローバルスタディーズ」を特色としている(詳細は別記事へ)。日本人としてのアイデンティティーを育みながら、世界で活躍できるグローバル人材の育成を目指す教育は、設置当初から香港で子育てをする保護者の注目を集めた。今も人気の高いクラスで、「小学部卒業後もこの学びを継続させたい」という保護者の声がある中、2025年に中学部グローバルクラス新設プロジェクトがスタートしたのだ。

現在、乾さんは開設準備の真っただ中。

「探究学習と英語教育は、子どもたちがこれからの社会を生きていく力になるとわたしは信じています。中学部グローバルクラスでは、その力を最大限に伸ばすカリキュラムを作りたいと思っています。また、世界に触れることで選択肢を増やし、未来を広げてほしいという思いから海外研修の導入なども進めています」

はつらつとした笑顔で語る乾さんからは、新しい挑戦への意欲と、春に迎え入れる子どもたちとの学校生活への期待が伝わってきた。

「日本の英語教育の発展に貢献できる教員になりたい」という思いで教員の道を選び、大阪府の公立中学校勤務を経て来港した乾さん。今回のプロジェクトに携わったことで、香港で教育者としての経験をさらに積もうと決意を固めたという。

〈オーストラリアでの出会いで教員を志す〉

乾さんは、ホームステイ受け入れを積極的に行う家庭に育った。外国人と交流する機会は多かったものの、どちらかというと英語は苦手だったという。

ホームステイに来たアメリカ人留学生と小学2年生の乾さん。

そんな乾さんが英語教員を志したのは、学生時代に行ったオーストラリアがきっかけだった。

英語は苦手でも海外に興味があった乾さんは、高校時代に2週間のオーストラリア研修に参加。そこで日本語や日本文化を英語で教えている日本人教師と出会った。

「その先生の授業がとても面白くて! 先生みたいになりたい、将来は教員もいいなと思い始めたんです。その時に英語の楽しさも教わりました」

大学3年時には1年間休学し、再びオーストラリアの先生のもとへ。今度は日本語教師のアシスタントとして、英語での教室運営や日本語指導のノウハウを学んだ。その中で、異なる文化や人をつなぐ架け橋となる先生の言語教育の在り方に魅力を感じ、「こんなふうに言葉を学ぶことを楽しいと思える環境を、英語教育でもつくれないだろうか」と思いを巡らしたという。

オーストラリアでの経験を胸に乾さんは大学へ戻り、英語教員になるべく教員免許を取得した。

オーストラリアで日本語クラスの生徒たちの卒業式を見届けた。一番左が恩師の畑井先生。先生の指導で、生徒たちが楽しみながら日本語を身につけ、どんどん話せるようになっていく姿に驚いたという。

その後、大阪の中学校で約8年間、多忙な教員生活を過ごした。英語教員として経験を積む中で、乾さんは次第に「もっと英語教育について学びたい」という思いが強くなったという。海外ではどのような英語教育が行われているのか。一度日本とは違う教育環境に身を置き、新しい教育や考え方に触れたい。そんな思いから、新しい挑戦の場として選んだのが日本人学校だった。

 

〈学ぶことは楽しいと伝えたい〉

コロナ禍の2021年、3週間のホテル隔離を経て香港日本人学校へ赴任。同僚たちの手厚いサポートのおかげで、香港生活はすぐに楽しくなったという。

職場には日本各地や海外の日本人学校から集まった経験豊かな教員が在籍し、「子どもたちのために何ができるか」を日々意見交換する環境があった。また、多様なバックグラウンドを持つ同僚の働き方や教育観からも刺激を受け、授業づくりや子どもたちと向き合う時間をより大切にするようになった。

プライベートでは、学生時代にやっていたヒップホップダンスを再開。ダンススタジオに通い、気の置けない香港人の仲間ができた。さらに今年は、教職の専門性を高めるため大学院へ入学。

所属しているダンスチーム。外国人は乾さんだけ(写真前列右から4番目)。LGBTQ+のオリンピック開会式や香港Pop Culture Festivalなどでダンスを披露。

まさに躍動する日々を送る乾さんは、香港での気づきをこう語る。

「教員は教える仕事だからこそ、自分自身も学び続け、考え方も生き方もリフレッシュした方がいいと思っています。これは、香港の生活でインスパイアされたことです。子どもたちにも、学ぶことは楽しいよと伝えたい。学ぶことで自分の可能性が広がりますから。大人になっても前向きに学び続けてほしいです」

将来は、香港日本人学校で培ったイマージョン教育や探究学習、自身が構築に携わった中学部グローバルクラスのカリキュラムを日本へ広げ、日本の英語教育に還元していきたいと考えているという。

「香港日本人学校は、未来を見せてくれる場所です。子どもたちの未来の可能性を見られると同時に、自分自身がここで出会った教育や人、考え方によって、『こんな教育がしたい』『こんな教員になりたい』という理想、以前よりはっきり見えるようになりました。人生を変えてくれた場所だと思っています」

※香港日本人学校は、1966年にハッピーバレーに香港校が、1997年に別校舎の大埔校が開校2026年4月から2校が統合し、大埔校で授業が行われている。

 


〈乾さんに3つの質問〉

Q1 一時帰国の際は何をしていますか?

大阪の実家へ帰って、甥っ子や友達と会うのが楽しみです。香港日本人学校で同僚だった先生と会うこともありますよ。一人旅も好きなので、香港からヨーロッパに旅行へ行って、日本を経由して香港へ戻って来たりもします。

スイス一人旅で、美しい街並みに感動したというチューリッヒにて。

Q2 香港での生活は英語で問題ないと思いますが、広東語は話したりしますか?

わたしの広東語は少少(シウシウ)レベルです。ダンスレッスンは広東語で行われるので、日常会話よりもダンスに関する広東語の方が分かります。広東語と大阪弁は、喋り方とか感情の出し方、スピードが似てる気がします。街の雰囲気も似てるので、すごく地元感があります(笑)。

 

Q3 中学部グローバルクラス新設に向けて活動する中で大変だったことはありますか?

教員は教えることが仕事ですが、新設プロジェクトはそれ以外の仕事(広報や研修制度の計画や手配など)がメインで、どうやって進めたらいいか分からずに困った時はありました。でも、分かりません! いま困ってます! と周りにアピールすると、皆さん‶先生″なので(笑)すぐに教えてくれたり助けてくれたりしました。また、保護者の方々からたくさんの励ましや期待の声もいただき、本当に多くの方に支えていただいていると感じています。だからこそ、このプロジェクトを絶対に成功させたいと思っています。

コメントをありがとうございます。コメントは承認審査後に閲覧可能になります。少々お待ちください

1 件の意見

  • 畑井淳一 より:

    G’day mate, Mariko. Thanks so much for your “life story” including a nostalgic photo. It was great to realize how much you studied, learned, and grew up to be a fun-loving, exploring, and challenging teacher for students! Congratulations on your success to have started the brand-new course in Hong Kong. I’m sure that it can be the inspiration to Japanese English education! I really hope so!!!!! hahaha

    「架け橋となる」「言葉を学ぶことを楽しいと思える環境を英語教育でもつくれないだろうか」「教員は教える仕事だからこそ自分自身も学び続け、考え方も生き方もリフレッシュした方がいい」「子どもたちにも学ぶことは楽しいよと伝えたい。」 Splendid!
    「分かりません! いま困ってます! と周りにアピールする」 Respecting and learning are so important for our growth and the world peace! No worries, mate, Fight & Guts! Jian

意見を投稿する

Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。

Translate »