2023/02/15

お年玉：お年玉は、新年を祝うために贈られる金品のこと。（Wikipedia 「お年玉」の項より）

新年快樂！恭喜發財！身體健康！

新暦だけでなく旧暦(農曆)でも新年を迎え、うさぎ年、始まりましたね！

今年もウサギのように茶餐廳を跳び回っていきますので、よろしくお願いします！

今年は土日とつながって、カレンダー通りだと長めの5連休となった旧正月。年中無休でがんばる街の茶餐廳もさすがに旧正月はお休みするところが多く、「年廿九」や「年三十」(旧正月前々日、前日)には「收爐」(爐を収める≒仕事納め)して、「初三」「初四」(旧正月3日目、4日目)に「啓市」(新年営業開始)するところが多い印象です。旧正月休みが長いところだと1週間以上お休みなんてお店もあり、羨ましい限り。一方で、正月休みなしでフル営業するお店もあって、この時期に香港で過ごす人の強い味方になってくれたりもします。

新年、それはわたしたちにとっても、茶餐廳にとってもおめでたい時期。仕事始めの日に単身者が会社の既婚同僚からたっぷり利是(お年玉)をもらうように、茶餐廳の店員さん達も、新年になると胸ポケットが赤い袋でいっぱいになっている様子がちらほら見られます。

店員さんたちに利是を渡しているのは、何も店長やオーナーだけではありません。むしろ多いのは常連客による利是。新年最初の営業日から数日間は、あちこちで「新年快樂！」「生意興隆！」といった声とともに常連さんが店員の皆さんに利是袋を渡して回る光景が見られ、普段はちょっと無愛想な店員さんも、この時ばかりはニコニコ「多謝！多謝！」と笑顔で応えてくれます。

外食をする機会が多い香港。人によっては週に何日も同じお店で食事をすることもあり、そういった常連さんからすると、茶餐廳は単なる飲食店ではなく家のような存在であり、その店員さんはまるで家族や親戚のような感覚になるのでしょう。

そんな店員さんとの関係性をより強くする利是。お世話になる店員さんに感謝の意を示しておくことで、普段から頼んでもいないのに大盛りになったり、スープが出てきたりするVIP待遇が受けられるかもしれません！

新年の茶餐廳でもうひとつ気になることといえば「加價」。そう、値上げのことです。毎年ありとあらゆるものが値上がりしていく香港、茶餐廳だけ値段が変わらないなんてことはあり得ず、相対的には手頃ながらもじわりじわりと高くなりつつあります。

値上げのタイミングは様々ですが、やはり一番多いのはこの新年の時期。お休みの間にメニューを張り替えて、年だけでなく価格も新たにして「啓市」するお店をよく見かけます。日本だと値上げをする時はお知らせを出して周知を図ったりしますが、香港では、こと茶餐廳では値上げを告知するお店は少なく、みんなしれっと、気づかないうちに上げてきます。例年だいたい飲み物が1ドル、食べ物でも1〜2ドルくらいと値上げ額だけを見ると大したことはないのですが、チリも積もればなんとやら、毎年値上げしていくところにつらさがありますね…。

気がつけば15ドルくらいだった奶茶(ミルクティー)が20ドルに、数年前は40ドルあればお腹いっぱいになれたセットメニューがに今では50ドル札プラス小銭が必要となったりと、わたしたちの懐事情を直撃する値上げ。そんな値上げの見分け方のひとつは、店に貼られたメニューにあります。この時期にメニューが新しく張り替えられていたり、紙の色が変わっていたりしたら要注意。いつもと同じメニューを頼んでいても、去年と今年でなんかお会計が違うなー、という経験、ありませんか？

茶餐廳で食べる人の立場からは決してうれしくはない値上げですが、手頃な値段でたくさんのお客さんに食べてもらってようやく利益が出る(であろう)茶餐廳にとっては、世界経済を取り巻く環境の厳しい変化から身を守る、数少ない手段の一つでもあります。わたしが常連になっているお店で「値上げしたね？」と聞くと「あいやー！そうなのよ！ウクライナ情勢のこともあって小麦粉が高くって。」なんて話が飛び出すことも。なんてことない茶餐廳も、良くも悪くも世界と繋がっているんです。

ひとつの家であり、ひとつの経済でもある茶餐廳で、今年は常連客になってみませんか？

akiramujina

九龍を拠点に「茶餐廳愛好家」を勝手に名乗り、ほぼ毎日茶餐廳や冰室に足を運んでいる在港日本人。
趣味は旅行と茶餐廳めぐり。コロナ禍で旅行ができない今は年100店以上の茶餐廳訪問と、年300杯以上の港式奶茶を目標にしています。
どこへでも行くフットワークの軽さが自慢ですが、どこへでも食べてばかりいるせいで自身の重さが悩み。
TwitterとInstagramでも食べ物の話ばかりしています。

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