2020/01/12
~わたしたちのカラダは食べたものでできています~
本物の食材を求めて。日本の伝統調味料をお伝えするコラム。
~甘味について~ 味醂(みりん)について知ろうⅡ
みりんは和食には欠かせない調味料。時節柄、おせち料理には大活躍です。
当教室でも大晦日恒例のおせち料理をみんなでつくります。調味料は全て伝統製法のものを使用。白砂糖を使わずに本物のみりんで味付けするおせちは、甘味が上品で食べ疲れしません。生徒さんたち、ダンナ様たちにも、甘すぎないから食べやすいと大好評です。
【料理で活躍する本みりん】
本みりんの原料は蒸したもち米、米麹、焼酎(もしくはアルコール)です。もち米のでんぷんやタンパク質が分解されていく熟成過程で糖類やアミノ酸、有機酸など、自然に甘味や旨味がつくられ、おいしい本みりんとなります。みりん風調味料は、グルタミン酸など化学的な旨味を添加し本みりんに似せたものに過ぎず、味の深みが全く違っています。
本みりんが料理でどんな役割があるかをみてみましょう。
①つやと照り
本みりんと砂糖をくらべると、本みりん独特の甘味成分が加熱されることで膜をつくるために、食材の表面に、砂糖よりも照りやつやをだすことができます。そのため、素材がパサつきにくくおいしさを保ってくれます。砂糖では本みりんのようなつや、照りはでてきません。
②深いうまみ、コク
本みりんの原料であるもち米が熟成過程で生むアミノ酸やペプチドなどの甘味や旨味成分が、料理に深いコクと旨味を与えます。アミノ酸が旨味や風味を、有機酸が酸味など複雑な味をだし、様々な糖類が上品な甘みとなります。
③味の染み込み
本みりんはアルコール分を含んでいるため(前回のコラム)、アミノ酸などの旨味成分や糖類などの甘味など、味の分子が細かく浸透しやすいため旨味やコクがでてきます。また料理の味付けが素早く均一に仕上がります。アルコールは加熱され蒸発するので、素材の旨味やコクだけが残ります。
③臭み消し
調理にアルコールをいれると臭みが飛びます(酒蒸しやワイン蒸しなど)。本みりんもアルコールを含むので、食材の臭みを蒸発させる際に臭みを飛ばしてくれます。本みりん独特の成分も消臭に効果があるといわれています。
④荷崩れの防止
本みりんの糖類とアルコールが、肉や魚のもつ筋繊維が崩れるのを防ぎ、野菜のでんぷん流出を防ぎ、食材の旨味成分を外に逃がさない効果があります。
⑤甘さの違い~みりんは上品な甘み
これは前々回のコラムに書いた茶色い甘味全般にいえますが、白砂糖の甘い成分はショ糖(単糖類)のみで強い甘みに対し、本みりんはもち米が発酵される際にブドウ糖やオリゴ糖など何種類もの糖が含まれているため(多糖類)、甘さにまろみと深みがあります。
この単糖類、多糖類の違いは、身体への影響がとても大きいのですが、それは今後のコラムで詳しく書いていきますね。
みりん(本みりん、みりん風調味料)は値段の差が大きな発酵調味料です。
素材、発酵期間、発酵方法により値段の差がでてきます。高いからおすすめするわけではなく、高い=適正価格であるということ。例えば以前お伝えした醤油など、伝統製法の杉桶で長期間仕込むと家賃も人件費もかかります。日本の伝統的な製法は、日本に伝わる伝統食文化です。わたしたち消費者が日本の食文化を守るために、昔ながらの製法でつくってくれている製造者さんの調味料を買うことは、食文化を守るということ。いつも生徒さんに「寄付をするのも大切だけど、正しく作ってくれている製品や食材を買うのも寄付になる」とお伝えしています。できる限り日本の食文化を守るために、我々消費者の意識、視点を変えて見ることも大切ですね。
教室では、砂糖を使わず、野菜そのものの味、甘味を活かす調理法で、身体と味覚を整えていきます。お砂糖なし料理は、お子さんの心と身体、味覚形成にもおすすめです。
まずは、毎日のごはんから、砂糖を控えて、食材の味を活かしてみませんか?
~毎日のごはんで身体を調える~ 国際薬膳師・マクロビオティック講師KYOKO
毎日のごはんが、明日の自分をつくる。薬膳マクロビオティック教室では「料理+考える力」を大切にしています。多角的視点で、体調・体質・季節にあわせた食材の選び方や調理法を学びます。生徒さんの様々な体調の質問を皆で読み解き、身体の声が聞こえるようになることが目標です。
Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。
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