2024/02/19
恭喜發財!!の掛け声が勇ましいドラムの音と共にあちらこちらから聞こえ、カラフルなライオンの華麗なダンス、白菜キャッチで喜ぶ人々の姿に心が躍る旧正月。皆さんの中には、ご家族が香港を訪れたり、はたまた、ご家族に会いに行ったりと、家族で過ごす久しぶりの時間を満喫された方も居ることと思います。
我が家は、2023年の3月から仕事の関係で、夫は日本、わたしと子どもたちは香港で生活してきましたが、この度、約一年の別居生活を経て、再度、一緒に暮らすことになりました。離れ離れの生活を始めた当初は、子どもへの影響や生活面など、初めての試みに心配も多々ありましたが、「家族」とは何か、何をもってして家族は「家族と成る」のかについて考えるきっかけにもなりました。「家族」の定義は、心理学的知見に立てば、血縁や同じ世帯を一にしているかと言う点ではなく、家族の成員である家族メンバーの関係性の質やその機能に着目します。
今回は、心理学的観点から見た「機能的な良い家族」とは何かについて触れつつ、家族が短期的に離れて暮らす際に我が家で工夫した点について書きたいと思います。
ある家族心理学の研究によると、現代化によって家族の形態や、家族を意味する法的な範囲が変わったとしても、「良い家族」には一定の法則があることが分かっています。まず、良い家族はそれぞれの家族メンバーが自由に意見を言える点です。誰か一人だけが常に物事の決定権を持つのではなく、ある時は父や母が、ある時は親が子どもの意見に耳を傾けるといったように、力関係のバランスが取れていること。これは、家族が離れていても変わらないと実感しました。我が家でも、子どもの習い事、学校のイベント、休み中の旅行、「そこに居ないから話さない」ではなく、何か物事を決める際には夫の意見も聞くことで、家族メンバー皆が決定権を持てるように配慮しました。
また、「良い家族」には、家族メンバー二者間の親密さも重要であることが分かっています。父母間、父子間、母子間、兄弟間、姉妹間など、家族メンバーの二者間の親密さを高めることが、ひいては家族全体の親密性を高めることに繋がります。我が家では、家族全体でビデオ通話をする時間を設けつつ、「今日はAちゃんとパパ」、「今日はBちゃんとパパ」など、二人だけで会話が出来る時間を確保することも心掛けました。子どもがいると、どうしても夫婦二人で会話することは難しくなるので、仕事のミーティングのように、「何曜日の何時」とお互いに約束をして話すことも大切と感じました。
そして、一人一人の家族メンバーが家族以外の社会といかに繋がっているかという点も、機能的な「良い家族」に見られる特徴であることが分かっています。一人一人が、学校や部活、習い事、ママ友コミュニティーなど、家族以外に繋がれる場所や人があることで、家族が閉鎖的な場になることを避けられます。
久しぶりの再会でファミリーハイキング
コミュニケーションには、直接的と間接的があります。離れていると、直接的なコミュニケーションは、言わずもがな、ビデオ通話になってしまう訳ですが、実際のふれあいやスキンシップが不足するからこそ、言葉で伝えることの大切さも痛感しました。相手への興味や関心を言葉できちんと伝える。「今日はなんだか顔色が良いね」とか、「おしゃれしてどこに行ってたの?」などの声掛けが夫からあると、「スクリーンを通して本当に分かるのか!?」と半信半疑ながらも、気に掛けて貰っている事実が嬉しかったりするものです。
一方で、間接的コミュニケーションとして、時間を決めてテレビ電話をつけっぱなしにすることもしました。生活と言うのは空気のように流れていくものです。常に身構えたやり取りではなく、その時間に一緒に存在するという事も大切。ビデオ電話をした際に、相手に「今、こっちは忙しいんだけど!」と言われる時もあると思います。そんな時は、会話をせずとも、ただ時間を共有するだけで意味があります。また、離れている家族メンバーがあたかも居るかのように、会話の中に登場させることも、我が家ではよくありました。例えば、夫が子どもたちとよくやっていた遊びをわたしが代わりにやってみたり、ある時は子どもが「パパだったらこんな風に言うかもね」などと、父親を会話に登場させる。「子どもが小さくてパパ・ママのこと分からないから」、「相手がいま、ここにいないから」ではなく、居ないからこそ、会話に登場させることで、その相手への親和性を高めることができます。
後は信頼関係、詮索しない、干渉しない、といったところです。
我が家の別居生活は一年弱で終わりを迎え、それぞれに得るものがあったと感じています。それは、短期間だからであり、長期に渡って離れ離れに暮らすというのは、家族として非常に難しい選択肢であることは事実です。今、事情により家族が離れて暮らさなければならない方、今後、離れて暮らす可能性のある方にエールを送るとともに、少しでも参考になればと思います。
河合 まり絵
臨床心理士。日本ではスクールカウンセラーとして、不登校児童や別室登校児童、発達に偏りのある児童への心理的サポートや、精神科クリニックで、パニック障害、PTSD、うつ病、摂食障害などの個別カウンセリングを実施。リワーク外来では、精神疾患などで休職中の患者に対し集団療法を、また、復職後の企業内フォローアップ・カウンセリングを実施。刑務所内では、グループ矯正教育をするなど、教育、医療、産業、司法の分野で臨床経験を積む。香港に移住してからは、3児の子育てに追われるも、縁あって精神科クリニックに復職。
OT & P Healthcare/ Mind WorX Clinic
MindWorXはOT and P Healthcareが運営する精神科専門のクリニックです。
中環駅(セントラル)から徒歩2分の場所に位置しており、簡単な日本語を話せる医師と、日本人の臨床心理士が在籍しておりますので、薬の処方と共にカウンセリングを並行して受けることが可能です。投薬はしたくないけれど、カウンセリングを受けたいという方もご相談下さい。
以下のようなことでお困りの方は、是非、一度、ご相談下さい。
・夜、なかなか眠りにつけない、または、朝、早くに目が覚めてしまいすっきりしない
・不安や心配な気持ちがいつも頭を離れない
・過度に食べ過ぎてしまう、または、食欲がない
・子育てに疲れている
・コロナ禍でストレスが溜まっている
・夫や妻、パートナーや他者との関係に悩んでいる など
初回予約の際に日本語でのサポートが必要な方は、marie.kawai@otandp.comにemail を頂ければ、日本語での対応が可能です。
Mind WorX Clinic
OT&P – Internationally Accredited Medical Clinics in Hong Kong (otandp.com)
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