2023/06/15

 

袪濕老黃瓜湯
(ホイ サップ ロー ワォン グワァー トン)
【体内の余分な湿気を追い払うための香港スープ : モーウィスープ】

 

最近、東京は雨が多いです。ジャージャー降りの雨が多いと同時に、気温も高くなり、ジメジメしてスッキリしないです。こういう高温多湿の気候は香港生まれの自分には身体が慣れてるところもあります。香港は半分以上がこういう天気ですから。逆に、香港に行ったら、ショッピングセンター、バスの中、タクシーの中、地下鉄の中、室内街に行くと、キンキンに冷房が効いているのが普通です。

香港からの観光客が日本に来て1番慣れないことは冷房が効いてない環境です。一番苦情が多いのは電車の中は息苦しく、ショッピングモールの冷房は弱いこと、などなど。

わたしが香港にいた小さい頃、梅雨といえば当たり前のことでした。外に出ると蒸し暑いし、室内だとエアコンがかかっていて寒いです。家の中では祖母は出来る限りエアコンを付けず、扇風機だけ回して、ベッドの上に「竹シーツ」を敷いて、接触冷感により涼快感を得て寝るようにしました。

こういう季節になると身体の温度調節機能もおかしくなりがちです。人の身体に適した湿度は40%~70%と言われてますが、香港での夏の平均湿度は毎日90%以上ですので、長期間蒸しあつい日々は確かに辛いです。

そういう時期に、「袪湿」(ホイ サップ)という広東語フレーズがよく耳に入ります。「袪湿」とは湿気を追い払うということです。漢方医学の中に、「湿」は一つの邪気です。「湿邪」といいますが……「湿邪」ってなに?

「湿邪」に侵されると、上手く汗が出せない、体内の水代謝は悪くなり、怠くなったり、夏バテしやすく、食欲の低下、冷え、下痢、むくみ、などの様々な体調不良を招いてしまいます。湿気っているポテトチップスをイメージしたらわかりやすいかもしれない。体内に湿気が多いと重だるくスッキリしないです。

「湿邪」にやられ易い時期に香港のおばあちゃんの知恵を借り、体内の余分な水分を追い払いましょう。

夏になってくると「老黄瓜」(ロー ワォン グワァー)という瓜は香港の市場でよく見かける大き目の瓜の一つです。日本の本土側にはないものですが、沖縄県(宮古島、石垣島など含む)に行ったら、よく売られているものです。 沖縄では「モーウィ」という名前で売られてます。「老黄瓜」は成熟して収穫適期になると色が茶色になり、表面にメロンのような網目が現れる。果肉は薄い黄緑色で、食感はシャキシャキしてます。香港では9割以上は「老黄瓜」をスープにします。

「老黄瓜」は体内の余分な湿を取り除く働きが抜群で、香港人は飲んだことがない人はいないと言っても過言ではないと思います。この瓜スープと組み合わせる他の材料は大体乾物の豆が多いです。乾物の豆も体内の水はけを良くさせる働きがあるので、一緒に煮込むと相乗効能があるといわれています。

余談ですが、うちの祖母はこの瓜を買ってきて保存の為でも、絶対冷蔵庫にいれなかったです。祖母は文字など読めない人でした。生活上の経験により、冷蔵庫に入れて良い野菜と入れてはダメな野菜など、自然界の事をよく知ってました。文字さえ読めないのに、本で調べるとか、新聞で読んで分かったとか、全くこういうことが出来ず、自然にこの瓜を冷蔵庫に入れると悪くなることを分かっていたのはすごいなぁと改めて感じてます。

香港の養生スープを飲んで、体の調子を整えましょう……といっても、実は香港の養生スープは味の変化が少なく、とても単調だと思う時が多いです。自分でも薬として飲んでいるくらいですから(笑)!

 

Tips: 「老黄瓜」の種とワタを捨てずにお茶パックに入れて、他の材料と一生に煮出すとより湿を除いてくれる効果が高いです。

 

 材料 (4人前)

老黄瓜…………………………..1個

(約600-800g)

スペアリブ …………………300g

砂肝    …………………300g

白扁豆   …………………60g

新生姜   ………………..5スライス(薄目)

水     …………………1,600㏄

 

 <下ごしらえ>

老黃瓜を洗い、半分に切り、種とワタを取り、お茶パックにいれる。

スペアリブと砂肝は湯通しして、綺麗に洗っておく。

白扁豆は洗って水を切る。

 

 <作り方>

鍋にお湯を沸騰させ、全ての材料を入れて、再沸騰したら、15分強火で煮、中火から弱火にしてから更に60-90分煮る。

最後に塩で味を整えましょう。

 


雲姐(ワンジェ)

料理研究家。香港に生まれる。幼少期、平日は祖母、週末は料理が趣味だった父の手料理を食べて過ごす。オーストラリアへ移住を経て、結婚を機に日本へ移り20年以上。中国国際薬膳師、発酵食品ソムリエ、発酵ライフアドバイザーの資格を持ち、中華圏および日本の食文化への造詣も深い。現在は、日本の人々に香港料理を伝えるべく東京で活動中。

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