2022/01/18

こんにちは、希望(のぞみ)です。

2021年の暮れに、こんなニュース記事が目に飛び込んできました。
「尖沙咀の時計台が100周年、71年ぶりに鐘が鳴る」

あの時計台の鐘が鳴る!? しかも71年ぶりだなんて!
わたしはとてもトキメキました。イギリス領時代に造られた時計台の鐘、きっとビックベンのような荘厳な音色なんだろうなぁ。ニュース記事を見ただけでわたしは、100年前にタイムスリップしたような、ロマンを感じてしまいました。
その他のニュース記事も見ると、12月9日の18時にだけ100周年記念として鐘が鳴るということで、ますます貴重な体験になるぞ!と期待が高まりました。

この時計台は、「尖沙咀鐘楼(Tsim Sha Tsui Clock Tower)」と地図などに書かれていますが、公式名称は「前九広鉄路鐘楼」です。九龍から広州、ロシアを通ってヨーロッパまでを結んでいた九広鉄路「九龍駅(九龍總站)」の時計台だったのです。1916年から時を刻んでいますが、当時は鐘はなかったそうです。1921年になって鐘が設置されたので、2021年で100周年というわけです。そして、時計をモーターで動かすようになってから、精度の問題で四面ある時計の時刻がズレ始め、鐘とも同期しなくなったため、1950年に運用を中止。それ以降71年間、鐘は鳴らされなかったということです。

鐘楼は高さ44mで、赤レンガと花崗岩で造られています。鐘楼先端には7mの避雷針があります。

時計台の窓に近づくと、71年間休んでいる鐘を見ることができます。この鐘は、イギリスのJohn Taylor& Companyが鋳造したもので、鐘の音色はEフラット、可聴周波数は623Hzと公表されています。
また、時計台内部の木造階段は、時計台の先端まで上ることができ、2001〜2003年まで一般公開されていましたが、建築保護のために閉鎖されたそうです。

さて、ここまで引っ張ってきましたが、71年ぶりの実際の鐘の音はどんなだったの?とお思いですよね。
実は……12月9日18時、カレンダーに予定を書き込み、アラームまでかけていたのに、聴き逃してしまいました。
自宅と時計台は徒歩15分くらいの距離なので、ベランダから鐘の音が聴こえるだろうと、動画をスタンバイしていたのです。なのに全然聴こえない……。ビクトリアハーバーをまたいだ香港島の、正午を知らせる大砲「Noonday Gun」は部屋にいても聴こえてくるのに、近所の時計台の鐘の音が聴こえないとは。誤算。一生の不覚。
直接、時計台の下まで行った友人がSNSに鐘の音をアップしてくれていたので、それでようやく聴くことができたのでした。翌日になって、また別の友人が「鐘の音は録音だった」「これからは毎日8時〜24時まで1時間おきに鐘が鳴る」という主旨の記事を転送してきてくれました(ワクワクしていたわたしを知っていた分、ニヤニヤしながら友人はメールを送っていたことでしょう)。

当日は、鐘が鳴る前にセレモニーがあり、ライトアップされた時計台の周りでたくさんの人がカウントダウンをして、71年ぶりの鐘の音を携帯で記録しており、イベント感満載でした。それが事後報道で、鐘が修復不可能な状態のため、デジタル技術を駆使して復元された鐘の音を流したと発表されました(鐘を鋳造した先述の会社で1921年に造られた、イギリスのThe Loughborough Carillonの鐘の音を録音したともいわれています)。

わたしの気分はジェットコースターのように上がり下がりしましたが、毎日鳴らされる(放送される?)なら、聴くチャンスができた!と思いました。


先日、時計台の下に行って録音してきましたので、皆さんぜひお聴きください。10時の時報なので10回鳴ります。

 

録音だったとしても、やっぱり鐘の音を聴くと厳かな気分になります。

香港の長い歴史とロマンを感じさせてもらいました。

 

政府公式サイト「Ring the Bell in Memory」
https://www.hkculturalcentre.gov.hk/en/hkcc/TSTClockTower.html

 



希望(のぞみ)
神奈川県出身。都内文学館で学芸員として6年勤務。出産後、大連2年、東京2年、香港6年の子育て生活を送る。大連では日本語教師、東京では司書を経験。香港ではライターとして活動中。

Instagram
@nozomi_crochet

 

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