2023/05/10

こんにちは。大坪沙季です。
４歳の息子とヘルパーさんと３人暮らしをしながら、日本食レストランのメニュー開発をしているワーキングマザーです。

前回のテーマは”推し”
香港に来たばかりで孤独だった当時、推しに救われたお話でした。

そんなわたしも、香港生活２年目に入って世界が広がりました。
今回のテーマは”人“です。

Photo by Lingmuk

生まれる前から既に幼馴染がいた息子。
友だち作りに苦労したことはありませんでした。
しかし、香港に来てしばらくは親子共々孤独で、
特に息子にはどうにかして早く友だちを作ってやりたいと願いました。
息子が通う幼稚園では、近所に住んでいる子はお迎えにママが来ることも多く、放課後、幼稚園近くの公園でママも子どもも親交を深められそうだと分かってはいましたが、わたしにはそれができません。
「なんでうちはいつもアンティ（ヘルパーさん）がお迎えなの？」と息子に涙目で聞かれることもありました。
ママは仕事を頑張っていて、別に謝るような事をしているわけではない。
むしろ誇りに思って欲しい。と願っているので、ごめんねとは意識して言わないようにしていますが、息子が寝た後に「ごめんね〜〜〜〜（泣）」と自分を責めた事も一度や二度ではありません。

しかし時が経ち、なんと今では我が家のアンティが、ママ友ならぬアンティ友の輪を築いています。
それぞれいろんな国籍の家庭で働いているので、そのおかげで息子はいろんな国のお友達が出来ました。

去年、アンティ友の１人が務めるご家庭でハロウィンパーティーが開催され、ママ達も招待されたので、初めて香港人のご家庭にお邪魔したのですが、これも完全に息子とアンティのおかげです。

ママ同士が「はじめまして。子どもとアンティがいつもお世話になってます〜」みたいな会話が繰り広げられていて驚きました。

そして、わたしはというと、職場と家の往復しかしてないし、交友関係を広げる余裕なんてまだないなと当初は嘆いたものですが、仕事を通じていろんな人と出会えましたし、平日の公園に行けなくても、週末に家族ぐるみで遊べるママ友ができました。
SNSやテレビ、コラムを見てお店に来てくださり、「応援しています」というお言葉をいただく事も増え、見ててくれる人がいるんだなと、心がジーンとすることも。

そういう訳で、わたしの予想を遥かに超えた方法で私たち親子はそれぞれ自分の居場所を見つけました。

仲良しのお友達と週末のお出かけを楽しむ息子。

わたしがいないと。わたしがなんとかしないと。
と強く思っていましたが、１人でできる事には限界があり、物事は自分が思いもよらない程大きな規模で動いている。それは“人”のおかげだということをひしひしと感じます。

少し話は変わりますが
今年のわたしの目標は
「朝は希望に起き、昼は努力に生き、夜は感謝して眠る」
その為には、

周りの人がしあわせでいる。
人に喜ばれる。
人に認められる。
人の役に立つ。

これらが伴っていないとわたしには成り立たないなと解釈しています。

こちらに来てからは何かをしてもらうことが多くて、感謝と共に焦燥感がありました。
経験が浅く、広東語を話せないわたしは、自分でリーチできる情報が限られていて、人から教えてもらった情報のおかげで、大きく人生が好転した事も多いのです。
それはもう、ありがたくてありがたくて。と同時に何もお返しが出来ず申し訳なくて……。
ですが、「誰だって最初は初心者。自分もしてもらった事だからお互い様」と言っていただく事が多々ありました。

お話を聞くと、みんな香港１年目は誰かに助けてもらって感謝した経験があり、それを乗り越えたからこそのメンタルの強さと優しさを持ち合わせてる人が多いように感じます。

もちろん、どこに住んでいてもそうだと思いますが、特に海外生活は助け合い。
人はひとりでは生きていけないなと、人の温かさをひしひしと実感しています。

息子作 「人」

0から始まった海外生活。
基礎ができるまでは大変だったけれど、面白い事にちょうど１年経った頃からいろんな事が一気に整ってきて、２年目の今、新たなステージに登った感があります。
それもこれも人のおかげ。
自分がしてもらったことを、また誰かに還元する。とても素敵な輪ですよね。
いつかその輪の中でわたしも誰かの為になれたらなと願うのでした。

それでは今回も読んでいただきありがとうございました。

毎月10日に連載しておりますので、また次回もお待ちしております！

筆者プロフィール

大坪沙季（Saki Otsubo）

東京の大手料理教室で講師を５年程務め、
その後独立。妊娠出産を機に湘南へ移住し、
レシピ開発やフードコーディネーターとして活動。
2022年香港に移住。
某日系F&B Companyにメニュー開発者として所属。
趣味は料理、金継ぎ、ゴロゴロする事。
息子とヘルパーさんと３人で暮らしながら仕事をするワーキングマザー。

instagram　https://www.instagram.com/_sakioo_