2024/09/10

こんにちは。沙季です。

日本食レストランの商品開発として香港ワーママ生活を経て、去年末地元仙台に移住し、実家で両親と息子の4人で暮らしています。

第11回目のコラムではわたしが香港を去る理由を綴っているのでよろしければご覧ください。

 

中国・香港出張

香港から日本に帰国して8ヶ月。

実は今地元仙台の健康食品メーカーで広報・PR職として働いているのですが、なんと早速、中国香港出張の機会があったのです。

 

今回の旅は、社長を含めたメンバー5人で、北京から済南へ下り、更に桂林へ。

そして最後に高速鉄道で香港入りして、仙台へ帰るという5泊6日の長旅です。

 

出張中、息子は……

海外と仕事ができることも、中国香港へ出張に行けることもうれしかったので、その気持ちを母に伝え、息子のことをお願いしました。

母は「よかったね。〇〇の事は任せて。気をつけていってらっしゃい」と頼もしく送り出してくれました。

 

嬉しい反面、息子とこんなに長く離れるのは初めてだったので、少し心配でもありました。

なるべく寂しい思いをさせたくないと思い、一番心細くなるであろう、寢る前のタイミングに工夫をしようと思案します。

 

結果、出張先に絵本を持参して、就寝前の時間、日本時間21時頃に毎晩テレビ電話をかけることにしました。

そこで、絵本の読み聞かせをし、その後は通話状態のまま、息子が眠りにつくまで見守ります。

中国からなので、母にも中国版連絡アプリ、WeChatをダウンロードしてもらってから出張に挑みました。

 

この作戦はうまくいきました。

だいたい電話をかけてから息子が寝るまで15分〜20分程度。

 

中国香港との時差は1時間ですので、毎日20時前後に会食を抜けさせてもらい、なるべく個室にこもっても迷惑のかからないようなお手洗いや、路地裏の静かな場所を探して、寝かしつけ電話をしました。

 

20時というと、出張には欠かせない大事な会食の真っ只中。

ですが、メンバーや取引先に事情を説明すると快く了承してくれるばかりか、「毎日偉い!母は強しだね」と言って、このスタイルを尊重してくれました。

申し訳なさはもちろんありますが、取引先の方とはそこから生まれる会話もあり、コミュニケーションも捗りました。

家族の話は万国共通ですね。

その場の流れにアジャストするのは大事ですが、それができないのなら、ワーキングマザーだからこそできる会話やコミュニケーションの取り方で、結果取引先との信頼関係が作れるような仕事をしていきたいなと考えた今回の出張でした。

寝かしつけが終わるとダッシュで会食に戻ります。一緒に旅した「しりとりしましょ」。

 

そして、母とは毎日こまめに連絡を取り合い、息子とわたしのスケジュールが合うように全力で調整してくれました。

普段から一緒に住んでいるとはいえ、わたしが不在の中、孫の世話をするのはかなりプレッシャーだっただろうに、母には本当に感謝しかありません。

皆の協力と理解があり、毎日成し遂げられた、寝かしつけ作戦でした。

一番の味方でいてくれる母。

 

居民としてではなく、出張者として訪れた香港

実は、出張中、今の会社のメンバーを連れて、前職のレストランへ行きました。

ハーバーシティー店とセントラル店へ

 

店には、香港を去る時に、「日本は寒いから」と手編みのマフラーをプレゼントしてくれた阿姐もいて、「来るならもっと早く言ってよ!何か作ったのに〜」と言ってくれたり。

ちょっぴり涙目になりながらみんなとハグをし、再会を楽しみました。

 

みんなからの、「実は婚約したんだ」とか、「お金を貯めてオーストラリアに行くんだ」とか「子どもが生まれたんだ」とか。

この8ヶ月を埋めるような近況報告を聞き、束の間の時間を過ごしました。

 

今回の出張で、香港で過ごしたのは40時間という短い時間でしたが、わたしにとってはすごく大事で、大きな時間でした。

苦楽を共にした大好きな仲間たち!

 

前に進むための、心の明け渡し

実は、帰国してからというもの、香港時代の写真を見返すことが少し苦しかったのです。

大好きだったからこそ、懐かしくて胸がぎゅっと締め付けられるから。

 

目を閉じると思い出す、香港のあの景色。

 

信号の忙しない音。

爆速のミニバス。

スマホがいっぱい付いてるタクシー。

日曜日のヘルパーさん。

ビクトリアハーバー越しの夜景。

どこにいっても人が多くて、

みんな早歩きで、

大きな声で広東語が飛び交っている。

騒がしくて、温かくて、パワフルな香港の街。

 

ずっと、胸の片隅に未練のようなものがあったのかもしれません。

 

でも、今回、出張者として香港を訪れて、香港時代の仲間と会って、なんだかストンと、香港に対する気持ちに区切りを付けられたような気がしました。

 

香港から日本に帰国し、自分の車で家まで帰ります。

家に近づくに連れて、段々と馴染みの景色が広がってきます。

5泊6日の出張から戻り、仙台に帰ってきたことになんだかホッ。

 

ただいま〜。

と帰った家には電気が点いていて

「おかえり」と待っててくれる、息子と両親。

 

ここがわたしの家。

 

わたしの中で、居場所が香港から仙台に完全に移った事を実感した瞬間でした。

 

香港での生活を手放すことを決意し、

何もかも失って、

ゼロから人生と向き合って、積み上げたこの数ヶ月。

今、わたしは仙台で幸せに暮らしています。

努力して、考え抜いて、掴み取ったこの生活。

 

これで、やっと前に進める。

 

これからは仙台で。

自分と大切な人々をしあわせにするような人生を歩んで行こうと思います。

 

それでは今回も読んでいただきありがとうございました。

また次回もお待ちしております!


筆者プロフィール

沙季(Saki)

東京の料理教室で講師を5年程務め、
その後独立。妊娠出産を機に湘南へ移住し、
レシピ開発やフードコーディネーターとして活動。
2022年香港に移住し、某日系F&B Companyにメニュー開発者として勤務。
息子とヘルパーさんと3人で暮らしながら仕事をしていたが、ワークライフバランスを優先し2023年末に仙台へ移住。
現在は、健康食品メーカーで広報・PRとして勤めている。

instagram https://www.instagram.com/_sakioo_

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