京町家から世界へ 職人.comが発信する日本の道具と暮らし

shokunin.com 職人 中村銅器製作所

京町家から世界へ 職人.comが発信する日本の道具と暮らし

2003年に京都の同志社大学を卒業した若者が、程なくしてオンラインショップを立ち上げました。その名も、職人.com。現在ではFacebookで27万人のフォロワーを持つオンラインショップへと成長。ウェブサイトでは日本の職人たちによって丹精込めて作られた、その中でも選りすぐりの工芸品をラインアップに取り揃えています。商品は日頃の暮らしの中で使われるものとはいえ、値段もそこそこするものもありますが、一度購入すると一生使えるものや、一度使うと手放せないと言ったものがほとんど。芸術品とも言えるような美しい商品の紹介ページは、見ているだけでも心が和みます。

職人.comのラインナップ 

商品は、日本にて手仕事が加わったものの中から、品質、実用性、デザイン、独自性の4点を中心に、妥協なく選定されています。今回はその中でも人気の商品の3品をご紹介しましょう。
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《 中村銅器製作所 銅製玉子焼鍋 小 》

shokunin.com 職人 中村銅器製作所

東京の下町で4代にわたってお鍋やフライパンを作っている中村銅器製作所の看板商品。全国的に名だたる料亭の料理人たちも愛してやまない名品として有名です。表面に錫が焼き付けられた厚めの銅板で形成され、熱伝導性や保温性に優れ、ムラなく均一に熱が伝わるため焼きムラや焦げつきが起こりにくいというところが魅力。卵焼きの出来栄えは、旅館の朝食で出てくるふんわりしたたまご焼きのように仕上がります。

《 栗久 曲げわっぱのおひつ 3合浅型 》

おひつとは、冷蔵庫や電気炊飯器ができる前に、いかにご飯を長い時間美味しく保存できるかを考えて作られた暮らしの道具。ご飯を美味しく食べるための先人の知恵が詰まった逸品です。おひつは、炊きたてのご飯の粗熱と余分な湿気を取り除き、より一層美味しくしてくれます。また、杉の殺菌効果によりご飯が痛みにくく、次の日まで美味しさを保ちます。

《 松屋漆器店 白木塗重箱 》

松屋漆器店は、明治38年より約1500年の伝統を誇る越前漆器を製造販売しています。2002年に誕生したオリジナル商品の白木塗は、白木の木目を最大限に生かした塗装が施されており、透明かつ艶の低いウレタン塗料で仕上げてあります。ホームパーティーや運動会、ピクニック、お花見などで大活躍の重箱です。もちろんお正月のおせち料理にもお使いいただけます。

 

立ち上げたきっかけは、日本の素晴らしさを再認識したこと

社長の櫻井慎也さんは8歳から15歳までをシンガポールで過ごし、その時に「海外から日本を見つめることができた」そう。一人旅が好きでこれまでに120カ国を旅してきて、日本の工芸品の素晴らしさを再認識したのだそうです。そんな彼だからこそ工芸品販売には、ネットという世界を相手にできる手法でしか発信する方法はないと確信したのです。会社の社員は現在、妻の路子さんとたった二人。商品同様に古き良き日本の風情や和を愛しむ二人は、現在、築100年弱の京都で隣り合った町家2軒を借りて生活する傍ら、事務所兼、ショップ兼、商品倉庫兼として、全ての業務もここから行なっています。2軒並んだ町家は近隣でも存在感があり、観光客が京都の記念写真を撮ることもあるそう。たった創業13年間で年商1億2千万円の人気店に昇りつめた職人.com。その秘密が彼らの暮らしに深く関係しています。

実は、職人.comが発信する写真の多くは、妻の路子さんの撮影。シンプルでいて工芸品の息づかいを感じる写真の数々は、この自宅での生活で実際日頃からそれらの道具を使いながら撮影されています。商品への愛情こもった味のある写真、これが職人.comが他と一線を画す秘密と言えるでしょう。

香取自宅縁側にて。東屋の蚊遣りは町家の和室にも自然に溶け込み、ゆっくりと立ち上る蚊取り線香の煙に季節を感じます。<写真:東屋 蚊遣り>

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夫婦の住む町家は茶道家が長らく自宅として使用していたそう。古い建具などがそのまま残っていて、所々にシンプルで美しい装飾が見られます。夏は坪庭から入る風が気持ちよく、庭を眺めながら縁側で昼食を楽しむことも。<写真、細工が美しいガラス戸と坪庭にある陶製カエル>

週に3日間だけ営業する京町家本店ショップ
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自宅兼ショップがある西陣は、西陣織をはじめとする織物産業で栄えた地域で今も数多くの京町家が現存しています。
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<写真は応仁の乱で京都を二分した西軍の大将山名宗全の邸宅跡近辺>
広い町家の空間を贅沢に使用し、まるで小さな郷土博物館のようなショップでは取り扱い商品を実際に手にとることができます。また新品の他に実際に使用し経年変化した商品も展示しているので、使い込んでいけばどんな風に変化していくかがわかり楽しみも増えそう。客からの商品に対する賛辞も、社長の慎也さんは「僕らは職人さんが作った物を売らせてもらってるだけ」とあくまでも職人をたて、謙虚に回答していたのが印象的でした。とはいえ、商品の話になると、熱く語り、話題は尽きないのでした。
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営業時間は、週に3日。しかも日曜祝日を除く14時から17時までの3時間のみ。訪れるときは確認してからがおすすめ。

 

海外初進出 香港でのポップアップショップ開催

2018年冬、香港観塘にある日本の家具や雑貨を販売するHOWで、職人.comのポップアップストアーが開催されました。櫻井夫婦の長年の夢であった海外出店の第一歩となる今回の展示&販売会。日本から持ってきた商品は全91点。全てがため息が出るほどの繊細な線とカーブ、そして緻密なまでに作られた工芸品で、触ってみて初めてその重さ、香り、手触りを体感でき、商品というより、職人たちの誇りがつまった「作品」であるということを肌で感じられるものでした。

櫻井夫妻は言います。「職人さんの思いは商品そのものだと考えております。お客様にとってはウェブサイトの情報が全てとはいえ、私たちはおおげさな表現や細かすぎる記述は控え、できるだけシンプルに商品の魅力をお伝えするように心がけています。」

物を単に商品としてではなく、職人への敬意を払いつつ、日々の暮らしから「使う道具」として紹介している職人.com。ここ香港のみならず、海外でも徐々に日本の職人がこだわりぬいて作った工芸品の認知度が高まり、使う人が増えてくれることを期待したいと思います。

職人 Hong kong LEI櫻井慎也さんと妻の路子さん 香港にて。

あさ
 
 

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編集後記

80mm 職人 

 

Hong Kong LEI スタッフは取材中に80mmと言うブランドの持っても手が熱くならないカップを購入。白磁のシンプルなデザインで、お茶でもコーヒーでも合うので、実際使ってみてとても重宝しています。