2023/01/20

「Hong Kong LEI – Cover Story」は、香港でがんばる人をご紹介するシリーズ企画です。当記事は、健康と食の安全をお届けする Tasting Table Japan Premium より当企画への賛同と協賛をいただき制作しています。


「香港式養生法であなたの健康を守りたい」

 

 


 

(目次)

〈多忙すぎて2022年後半の記憶がない!?〉

〈東洋医学で積み重ねる「健康」を広めたい〉

〈香港に住んでいるならこの養生を!〉

〈ロン毛メガネさんに3つの質問〉

 


 

 

〈多忙すぎて2022年後半の記憶がない!?〉

4000年の歴史がある東洋医学を、日本人に分かりやすく広める活動をしているロン毛メガネさん。メガネをかけているロン毛男子だから「ロン毛メガネ」。名前からして時代にフィットするポップな伝道師だ。YouTube、Twitterが活動の中心だが、昨年6月にはプロデュースした漢方養生のお茶ブランド「澄善堂」も立ち上げた。

先月日本で出版された初の著書『読むだけで心と体が元気になっちゃう漢方養生の本』(大和書房)は、発売3日で重版が決まったという。ロン毛メガネさんのTwitterが編集者の目にとまり出版となったのだそう。さらに、2冊目のお茶に関する本も出版されたばかりだ。

「1冊目と2冊目はほぼ同時期にお話をいただきました。本は書いたことがなかったけど、2冊なら、まぁいけるんじゃないかなと思って受けてみました」

受けたはいいが、本職が終わってから夜中に執筆、さらにYouTubeやTwitterの更新などもこなす毎日となった。多忙すぎて2022年後半の記憶があまりないらしい。「自分で、『無理し過ぎないように』って本で書いたのに。反省してます」と、はにかんで笑った。

ロン毛メガネさんの動画の決めゼリフは「あなたの健康を守ります」だ。コロナ禍に生きる日本人へ向けた「セルフ養生のススメ」が活動の軸となっている。

医療逼迫・崩壊という言葉を何度も耳にし、誰もが自分の身体は自分で守り、体調を整えていく日々の養生が何より大事だと実感したこの3年。いま、香港式の養生法や東洋医学の智慧を日本語で伝えるロン毛メガネさんの言葉に耳を傾ける人が増えている。

ロン毛メガネさんには、Hong Kong LEI Vol. 45 の特集 「中医学の知恵で夏バテ克服チャレンジ!」のコラム欄にて初めて登場していただきました。

 

〈東洋医学で積み重ねる「健康」を広めたい〉

ロン毛メガネさんが熱心に東洋医学を広めているのは、ある気づきがあったからだ。自身の健康は、当たり前のものではなく、家族からの恩恵であり、自分で積み重ねていくものだということ。「香港にずっといたら気づかなかった。日本で体調が悪くなって養生の大切さを知りました」と語る。

香港で過ごした10代は、中医の祖父が体調に合わせて漢方薬を処方してくれたり、薬膳に詳しい両親が毎日のように自家製スープを飲ませてくれたりと、東洋医学に裏打ちされた食や生活がごく当たり前にある環境だった。しかし20代、日本で一人暮らしを始めると、不規則な生活や就職の悩み、過度なダイエットなどで体調を崩した。身長177㎝で体重が47㎏まで落ち、命の危険を感じて香港へ一時帰国。「生きているのが奇跡」と中医に言われたほど、ロン毛メガネさんの内臓はほぼ機能していなかったという。この時も、漢方薬と自家製スープ、そして香港の友人に心の栄養をもらい、徐々に回復していったそうだ。

また、亡妹の存在も大きい。難病のため、10代までの命と宣告されていたが、病院での治療に加え、親の作る食事と漢方薬で26歳まで生きた。病気とは思えないほど明るく、体力がある時は海外にいる兄を励ます電話をくれたという。最後まで明るく強かった妹の心と身体を支えた漢方養生に感謝し、信頼していると著書で明かしている。

YouTubeで発信するときは、チャイナ服で。いまや、この姿がトレードマークに。

ロン毛メガネさんは健康への思いをこう語る。「東洋医学をもっと知ってもらえたら、家族みんなが健康になって人生を楽しめると思うし、いつまでも動ける身体を保ってほしい。日本に香港人は多くいるけど、東洋医学の知識を持っている人は少ない。縁あってその恩恵を受けたわたしだからこそできる発信をしたいと思っています」

 

〈香港に住んでいるならこの養生を!〉

体調の悩みや質問を受ける機会が多いロン毛メガネさん。改善するために何かを足そうとする人が多いと感じている。「いま不調があるということは、これまでの生活や食習慣で合っていないものがあるということ。足すことを考える前に、いまの生活や食事を見直して、まず悪い習慣を減らすのがいいと思います」と言う。

また、「日本では冷え、香港では湿気による不調で悩む人が多いですね」と指摘。まさか湿気で? と驚くが、香港に移住してから、なんとなく体調が優れないという方は湿気に注意してみよう。

東洋医学の考えでは、体内に湿(余分な水分)が溜まると、だるい、胃が重い、皮膚疾患、関節痛などの症状が表れやすい。また、身体に良いと思える納豆も、高温多湿の香港で毎日のように食べると胃もたれの一因になるという。

「香港では日本食材がいろいろ手に入りますが、日本の食生活のままだと、香港の環境に合わないものもあります。ぜひ街市に売っている旬の食材を試してみてください。勇気がいるけど、香港では香港の食に挑戦してほしいです」

スーパーで売っているスープセット。このセットに肉を加えて煮込む。「おすすめは骨付きの豚肉です。味付け不要ですが、お好みで塩を入れてもいいですね」とロン毛メガネさん。

ロン毛メガネさんのおすすめはやはり香港のスープ。スーパーでも、スープの材料がセットになって売られている。レストランでもランチにはスープが付いてくるし、メニューにある「例湯(ライトン)」は、季節に合った材料を組み合わせた日替わりスープだ。知識がなくても自然と食養生ができる仕組みになっている。体内の除湿には、コンビニや駅構内で見かけるペットボトルの漢方茶「涼茶」が手軽に始められて良いという。郷に入っては郷に従え、は身体のためにもなるようだ。

「日本の若者に東洋医学の知識が増えることが一番嬉しい」と言うロン毛メガネさん。今年に入って、すでに3冊目の本の企画が進んでおり、テレビの出演オファーもあるという。「漢方に興味をもつ人口は限られているから、今度は薬膳料理の動画を作っていきたいですね。『この料理、薬膳になるんだ』って、そこから東洋医学に興味を持ってくれたらいいな」と意欲的だ。世界長寿の一二を争う香港と日本だが、両者を「健康」で結ぶ懸け橋がここにある。

「澄善堂」の和漢果実(桑の実、リュウガンの実、クコの実)をブレンドしたドライフルーツ。香港式の養生では、お茶やスープに季節ごとの果実もよく使う。

 

〈ロン毛メガネさんに3つの質問〉

Q1 2023年の目標は何ですか?

マッチョになること! 最近忙しくてジムはあまり行けないけど、通い始めて12㎏くらい体重が増えました。もう少し増やしたい。プロテインも飲みますよ。タンパク質は食事だけじゃ足りない。そこは現実的に(笑)

 

Q2 香港に帰るとしたら何をしたいですか?

この3年帰ってないし、だいぶ変わったと家族から聞いています。もう観光客気分。日本で手に入らない食べ物もあるので、香港の料理が食べたい。それと友だちに会う、それぐらいですね。

 

Q3 YouTubeでいつも着ているチャイナ服は香港のものですか?

そう、10代の時に買ったチャイナ服を今も着ているんです! 紺のは3年前にオンラインで買いました。やっぱり東洋医学の話とかしているから衣装もチャイナ服でと思って。


『読むだけで心と体が元気になっちゃう漢方養生の本』(大和書房)を2022年12月3日に出版。電子書籍あり。
『心と身体の不調がやわらぐ お茶でゆる~りセルフケア大全』(大和出版)を2023年1月19日に出版。電子書籍あり。

 

 

コメントをありがとうございます。コメントは承認審査後に閲覧可能になります。少々お待ちください

2 件の意見

  • Nozomi より:

    コメントありがとうございます!体系化された養生法は、まさに先人の智慧と経験の伝承ですね。それをロン毛メガネさんのように、ポップに噛み砕いて現代日本人に教えてくれるのは有り難いです!(編集部より)

  • 吉田美佳 より:

    養生法は、積み重ねてきたものなんだという気づき、素晴らしいですね!パパっと調べたら何でもすぐに出てくる時代で、情報のありがたみが薄れているけれど、先人が身をもって発見してきた教えは、本当にありがたいものです。養生ポイントも教えてくださって、ありがとうございました。

意見を投稿する

Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。

Translate »