2024/04/05
今回から5回に渡り、香港の老舗の歴史にまつわるお話を香港老舖記錄冊 Hong Kong Historical Shopsさんとのコラボでご紹介したいと思います。香港老舖記錄冊さんは、Facebookなどで香港の歴史的なお店を独自で取材して発信しています。香港文化の象徴として老舗の存在は欠かせない、老舗が存続していくことが香港の文化を盛り立てることだと言います。香港を愛するHong Kong LEI編集部のわたしたちもまた、昔から愛され続けている香港で誕生した商品が、どんな会社によって作られ、どんな背景で誕生したのか、また、どんなところで、どんなふうに作られていたのかなどを垣間見たくなりました。題して「香港オタクのための愛すべき香港老舗の歴史をたどる」です。でも長いのではしょりまして(笑)「香港老舗の歴史をたどる」と命名いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、今回ご紹介するのは、香港で、冬に体を温めるスープとして有名な蛇のスープ。
漢方食材として沢山の効能があり、蛇のスープは蛇肉に、鶏肉や野菜、ショウガを入れて長時間煮込みます。飲むと胃のあたりが温かくなるという体感を感じる人も多いそう。
ここでご紹介するお店は、上環にある「蛇王林(スネーク・キング・ラム)」です。2001年に公開されたトニー・レオン(梁朝偉)主演の映画「有情飲水飽(Love Me, Love My Money)」でも登場した、ちょっと有名な老舗です。お店では蛇のスープだけでなく、蛇油や蛇酒や粉末などいろんな薬効があるものも販売されています。
店名:蛇王林(スネーク・キング・ラム)
創業:1900年
事業内容:香港スタイルの伝統的な蛇店 (蛇スープレストラン)
住所:香港上環市平黎街13号G/F
製品:蛇肉、蛇酒、蛇果皮、蛇胆嚢、蛇酒、蛇薬など。
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蛇王林は1900年創業の老舗で、香港で最初の蛇専門店。その長い歴史に加え、生きた蛇を店内で飼育している数少ない蛇店のひとつでもあります。冬になると、店内の年季の入った木製のキャビネットは生きた蛇でほぼ満杯。時々、蛇の胆嚢を注文する人がいると、店員が蛇を屠殺し、胆嚢を取り出すところを見ることができます。店内でさまざまなヘビ関連商品を提供するほか、自ら切り出した新鮮な蛇肉を多くのレストランに卸しており、卸売業と小売業を兼ねているといえます。
商品
他の蛇店とは異なり、蛇王林は非常にシンプルで蛇と蛇に関する料理以外はありません。
蛇羮(蛇スープ)
蛇羮は、「眼鏡蛇」の他、「過樹榕」、「過山烏」、「水蛇」などの蛇肉で作られている。 スープにはレモンの葉と薄脆(クリスピー)が添えられており、生臭さを抑え、風味を引き立てています。この薄脆は中環結志街近くの記粉麵廠で作られたものだそうです。今では多くの蛇店が中国本土から薄脆を仕入れているため、100%香港製の薄脆は珍しいです。店員はお客さんとの距離が近く、フレンドリーな印象です。
果皮
蛇製品とは別に、果物の皮も40年ものはHK$400、30年ものはHK$200で売られています。
薬用酒
蛇酒を「過山烏」で醸造する主な理由は、過山烏の方が他の薬草と「絡み合う」からだそう。HK$75前後で購入できたと思います。(蛇酒の値段はお問い合わせください)
粉末の漢方薬(蛇の胆嚢とホタテ貝柱を粉砕したもの)
痰を溶かし、咳を止める効用があるようです。
伝統の継承
インターネットで蛇王林について検索してみると、香港電台(RTHK)が2013年初めに蛇王林を紹介する番組を制作していたことがわかりました。 当時の蛇王林3代目、麥大江(マック・タイコン)さんへのインタビューの他にお店の歴史や、後を引き継ぐ息子にも話を聞いています。 麥大江さんはカメラの前で、100年以上続くこの店を大切にしていること、息子に店を継いでもらいたいと語っていました。
香港電台(RTHK)の番組を見たい方は、以下のリンクをクリックしてください。
http://podcast.rthk.hk/podcast/item_epi.php?pid=244&lang=zh-CN&id=27920
また、2018年に89歳で引退した麥大江さんの引退ニュースを扱った記事はこちら
https://hk.on.cc/hk/bkn/cnt/news/20180715/bkn-20180715020012303-0715_00822_001.html
次回もお楽しみに!
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