2024/11/14
上環にあるお茶ブランド「Bloom&Brew」
ティーフェアで宋代の点茶について知り、テイスティングすることができましたが、今度は実際に自分で点ててみる機会をいただきました。
香港のお茶ブランド「Bloom&Brew」の創設者で、香港茶葉學會(Tea Science Society of Hong Kong)のインストラクターでもある王婉琳老師こと、Mary老師。彼女の上環にあるお茶室にお伺いしました。
bloom&brewのお茶もあります
素敵な笑顔のMary老師
素敵な笑顔で気さくな老師に迎えられて、お茶に魅了された理由や、探求することの面白さについて、お互いお茶愛トークでスタートしました。茶器やお花などの周辺アート、歴史、文化比較、出会い・・・お茶からは無限に広がり、このままでは2時間でとても収まりませんね、ということでお茶を点てていただくことに。
お点前を拝見
今日点てるお茶は、唐代から長い歴史を持つ紫筍という緑茶を粉にしたもので、3回に分けて85−90度のお湯を注ぐ「三湯法」で点てます。
最初に少量のお湯で末茶をペースト状にします。二湯目で90度に持った茶筅を前後に振り、一気に泡立てていきます。見事なスピードと力加減です。
末茶にされる前の固形の餅茶 最初はペースト状に・・・
ここで部屋中にふわっと甘いなんとも言えない良い香りが広がり、思わず深呼吸してしまいました。この出来上がった泡を三湯目で仕上げていきます。攪拌の加減と品質の良い末茶によって、きめ細かくクリーミーで、厚みのある白い泡を点てることができます。この白い泡が映える黒釉の茶碗が宋時代に重用されたのもの納得です。日本の茶道ほど作法は厳しくないですよとのことですが、やはり一つ一つの所作も美しいですね。
茶筅は茶碗の底につけないようにして一気に泡立てます
そしてテイスティング
ティーフェアでは液体も残らず泡点てていたので、泡だけを飲むのかと思っていましたが、このようなイベントの時には泡を強調するためにそうすることもあるそうです。実際にはちゃんと液体のお茶も味わうようです。
ふわっと柔らかな香りの中、クリーミーな泡、お茶ともに甘い。苦味成分を泡が包み込むなど、実際に科学的要因で実際に甘くなるようです。比較できるように、同じ末茶を泡立てずにお湯に溶かしたものを飲ませいただきましたが、口当たりは少し荒く、苦味があり、全く別物で驚きました。そういえば母が「抹茶は裏千家流の方が好き」とよく言っていましたが、茶道の裏千家の作法は、同じようにクリーミーな泡を点てるもの。宋代の点茶のスタイルを取り入れたのでしょうか。表千家は泡立てず、お茶そのものの風味をいただく流儀。それぞれ違った美学や味わい方があるのが興味深いです。
お茶を点ててみる、絵を描いてみる
さて実際に挑戦してみると、老師のようなスピードでキリッと手が動きません。高品質な末茶を使っていただいたので、白さは出ましたが、泡の厚みが十分に出ませんでした。
茶百戯
緑色や茶色の末茶を少量の水で溶き、茶匙を使って泡の上に絵を描きます。ホワホワの泡の上に描くので消えてしまうものかと思っていましたが、3時間くらいでももつそうです。集中しているというのでしょうか、頭の中はクリアな無心の状態でした。
宋代の人々の生き方を通して、今のわたしたちのあり方を見つめ直す
アートや文化が豊かに花開いた宋時代、とりわけ点茶、花道、絵画と香道という「生活四雅」が日常生活における優雅さと精神的な豊かさが追求されました。その一つの点茶において、当時の人々の美意識や遊び心に触れ、わたしたちの生活を豊かにしてくれる新たな気づきや視点を知ってほしいというMary老師は、英語/広東語でワークショップをされています。
LEI読者の方には期間限定で、この点茶のワークショップのディスカウントがあるそうです。
下のリンクからお申込みの際、ディスカウントコード欄に「HKLEI」と入力すると20%オフになります。
【2025年5月31日まで有効】です。
Song Dynasty Diancha Experience | Tea workshops & experiences – Bloomnbrew
Chikako
トロント、NY、シンガポール、今は香港に在住。
各地のライフスタイルや食文化にインスパイアされた器を製作してきた。
香港では中国茶器を楽しくコツコツ製作。
お茶のワークショップも不定期に活動中。
IG : cnycstudio
お茶のワークショップIG : sound_and_tea_room
Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。
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