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2025/05/02

2025年4月27日香港アカデミー賞こと、香港電影金像奨の受賞式が華々しく行われました。金像賞についてはこちらの記事をどうぞ。

左)『久別重逢』出演のイアン・チャンとナタリー・スー(許恩怡)
右)『お父さん』にカメオ出演したイーダン・ルイ
ⒸHong Kong LEI

以前「鏡越しの銀幕」に書いた通り、Mirrorは香港の映画産業の再活性化に一役買っています。大人気を誇り、ファンを集客できるMirrorのメンバーは映画に出演することで、香港映画作品に収益をもたらします。謝票と呼ばれる舞台挨拶に出席することで多くのファンを映画館に動員、オンライン視聴ではなく映画館で映画を鑑賞するという視聴文化を守っています。ついでにポップコーンなどの購入に特別なMirrorの景品を提供することで、映画館のケータリング産業も潤します。さらに、メンバーの競演俳優たち、そして制作スタッフにも注目をされる機会を与え、彼らの活躍の機会を増やします。Mirrorは元気がなくなって久しい香港映画界の復活に、直接的、間接的に大きく貢献しているのです!

ラスト・ソング・フォー・ユーの予告編

このように映画界ともつながりが深いMirror。第43回となる今年の香港電影金像奨には2名のメンバーが顔を見せました。1人目はメインボーカル担当、元プロのバレーボール選手という優れた運動神経、作詞・作曲もこなし、ピアノとギターもお手の物! というマルチな才能を持つイアン・チャン(陳卓賢)。出演映画『ラスト・ソング・フォー・ユー』(原題:久別重逢)最優秀新人賞でノミネートを受けての登壇です。そしてこの晴れ舞台、Hellosss(イアンのファンのあだ名)達はレッドカーペットの会場が面したビクトリア湾に、「陳卓賢」と大きな看板を掲げた応援船を浮かべ彼をサポート。

Ⓒdanson_buddy

上の写真の通り、船の位置はプライムポジション。錨を打てたかどうかは分かりませんが、常にマスコミがカメラを構えている場所に背景として映りこむことができるので、推しの宣伝効果は抜群! さらに、乗員は応援するだけでなく、式典の様子を遮るものなくゆったりと鑑賞することも可能です(船酔いが心配ではありますが!)。でもやはり一番嬉しいのは、自分が応援する推し本人がこの船をみて喜んでくれるからではないでしょうか。ファンの努力が報われる至福の瞬間を味わえるのです。

©Hong Kong LEI

ちなみにこの船を使った応援方法は2年前、イアンと同様Mirrorのメンバーのイーダン・ルイ(呂爵安)が『闔家辣』と『過時·過節』の2作品で最優秀新人賞にダブルノミネートされた際の応援手段として使われたのが初めてと言われています[1]


Courtesy of Always Edan Lui
2023年、Mirrorのイーダンの応援。これが船応援の元祖と言われています。

この応援船、Mirror以外のアーティストも利用し始めています。今年は映画『ラスト・ダンス』(原題:破・地獄)の主題歌《普渡眾生》で最優秀歌曲賞 を受賞したテレンス・ラム(林家謙)のファン達も応援ボートを採用しました。今後、香港アカデミー賞応援のスタンダート方法として定着していくのか、注目したいですね。

©Hong Kong LEI

レッドカーペットに姿を現した2人目のMirrorメンバーはイーダン・ルイ。今年の3部門で受賞に輝いた作品『お父さん』(原題:爸爸)。最優秀主演男優賞のショーン・ラウ(劉青雲)が父親、最優秀助演女優賞のジョー・コク(谷祖琳)が母親、最優秀新人男優賞のディラン・ソウ(蘇文濤)君が息子役。この3人(プラス小さな妹ひとり)という一家を演じた作品でした。その息子役が成人した姿を演じたのがMirrorのイーダンでした。出演時間はわずか5分ほどのカメオ出演ではありましたが、この5分のためにイーダンのファンはこの映画に複数回足を運び、全力でサポートしたのです。


アカデミー賞にゆかりのある(イーダンはノミネート経験あり)、豪華絢爛な「家族」 ©Hong Kong LEI

面白いのはベテラン俳優ショーン・ラウとイーダンの不思議な縁。金像奨にまつわる、ちょっとしたトリビアをご紹介します。

ⒸHung Hom Linda 
左)今年と2023年の年鑑。
中)帯を開くと、ノミネート者たちの写真とそのクレジットが。
右)ショーン・ラウ(劉青雲)の英語名がEdan Luiとされた誤植が~!

香港電影金像奨では毎年、その年のノミネート作品や役者、スタッフを紹介した年鑑を出版します(書店で購入可)。ずっしり重みと厚みのある本で、凝った作りの帯をまとっています。この帯は実際は折りたたまれた大判のポスターのようになっているんですが、2023年の年鑑の帯を開いてじっくり眺めると……。なんとショーン・ラウ(劉青雲)の英語名がEdan Luiと誤植されているではありませんか! 強調しますが、この誤植が印字されたのは2023年。この時点ではまだ二人の共演作品『お父さん』は影も形もありません。なのにこの二人はここで結ばれていたのです。なんとも象徴的だと思いませんか?

今回の金像奨、受賞者の多くがスピーチで「香港電影、加油!」とのコメントを残していました。『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』や『ラスト・ダンス』のような大ヒット作が業界を賑わす反面、映画館の閉鎖が続くなど、まだまだ好調とは程遠い香港の映画産業。映画人の面々は、そんな脆弱な状態を実感し、頑張ろうと鼓舞したのです。わたしはMirrorにはそんな状況を好転させるきっかけを作る力があると信じています。Mirrorが好き! という不純(?)な動機からスタートして、そこから香港映画、ひいては香港が大好きになる人をつくってくれます。そんな人が、これからどんどん増殖しますように!

香港電影、加油! Mirror、加油!

[1] 船を利用しての応援はイーダンが初と巷で広く言われていますが、証明する文献は見つかっていません。詳細情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、下記インスタまでご連絡ください!

取材・文・写真:紅磡リンダ(編集部)

Special Thanks: Hong Kong Film Awards


紅磡リンダ(ほんはむ りんだ)
20年にわたる英国生活、広告代理店勤務、編集者稼業に終止符を打ち、2019年に香港に移住。
移住とともに人生初めてアイドルに目覚め、Mirror 沼に沈没。沼から鏡(ミラー)越しに見える、新しい香港を発見する毎日を送る。現在、大学院生として香港の歴史(特に映画の歴史)を学んでいるが、そのきっかけがMirrorだったことは、教授には内緒。

Instagram 紅磡リンダ【星版】hunghom_linda_qedan


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