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2026/04/15

ある日、美しい山々の情景が浮かぶ藍染作品をネット上で見つけました。調べてみると、これは香港で作られていることがわかりました。日本の藍染と中国の水墨画のような山景のコラボに引き寄せられて、この作品を作っている工房へお邪魔しました。

今回ご紹介するのはJCCAC(香港ジョッキークラブ・クリエイティブ・アーツ・センター)で、藍染で自由な表現を模索しつつ、教室運営や作品などを発表している染樂工房 Dyelicious です。JCCAC は、九龍・石硤尾にある旧工場を改装し、新進アーティストの育成を目的としたアートセンターです。現在約140組のアーティストや文化団体が活動する「縦型アーティスト村」として運営されています。

約 190 平方メートルの大きなスペース。足を踏み入れると藍染の香りが広がり、生徒さんが大きなテーブルで黙々と制作活動をしています。和気藹々というより、真剣に取り組んでいる姿が印象的です。

奥には、染料が入ったバスタブよりも大きなタンクが鎮座しています。このスタジオ独特の藍染カラーを出すとても貴重な染料です。香港には以前もご紹介した藍染を教える教室が数件ありますが、それぞれに特徴があります。前回ご紹介したのは、布を縫ったり縛ったりして濃淡や模様を出す昔からある技法を学べました。一方、ここ染樂工房は、伝統的な藍染を使いつつ、作り出すものはモダンで具現的な表現のアートに近いものに力を注いでいます。創設者のエリック(Eric Cheung)さんは「新しいことにチャレンジしていくのが楽しい」と話してくれました。

創設者のエリック(Eric Cheung)さん

彼は藍染の魅力に取り憑かれ、日本へ勉強しに何度も足を運び、特に徳島の藍染職人と強い繋がりを持っているそう。現在東京、北海道、台湾と香港でスタジオを持ち、日本にも度々行っているそうです。香港に住んでいると、情熱を持って日本の文化を学ぼうとしてくれる香港人が多く驚かされます。

エリックさんも藍染に対する情熱がある一人。それが工房のあちこちに見て取れました。

工房の一角にはその原料となる様々なタイプのインディゴの草を14年間育てています。彼曰く新界の方に畑もあるそうで、自分たちで琉球藍やタデ藍などを栽培しているそう。

日本から送ってもらう「すくも」

藍染には大切な「すくも」も、徳島からわざわざ段ボールで送ってもらうそう。すくもは、タデ藍の葉を乾燥・発酵させて作る、藍染め用の伝統的な染料で、約100日間かけて微生物により発酵させ、黒っぽい土塊状に仕上げたものです。

藍染とはなんぞや、どうやって作る? というのが一目瞭然!

教室では、伝統的な藍染の作り方の工程を学ぶことができます。エリックさんは、時代の変化とともに魅力的に映るように、藍の種類を増やしたり、新しい技術を作り改善していきながら、新しい世代に伝えていきたいと思って活動してるそうです。

「藍染は絞りだけでなく、様々な可能性を秘めたアートの手段」だというエリックさん。作品はアートフェアやバーゼルなどに出店されるギャリーで展示販売したりもするそうです。

そんな彼が、作りだした作品「山景」が最近ワークショップに登場して以来人気のコースとなっています。絵を描くように藍染で染めていく。布は絞るのではなく、少しずつ手繰り寄せて、藍染に浸していきます。短時間浸けたり、長時間浸けたりしながら、濃淡を着けていきます。

山並みをデザインしている最中のエリックさん

作品作りで難しいのは綺麗なグラデーションを作ること。薄い部分と濃い部分がいかに自然に出せるかが美しさを左右するとのこと。じっくり集中して取り組める素晴らしい時間になりそうです。

工房の創立は2012年、この場所に移転してからは5、6年経ちますが、タンクに入っている染料は、微生物の力を借りながら何年もかけて育てているもの。もともと発酵させているので、色が薄くなったり、水分が足りなくなったら、染料や水を継ぎ足して使っているのだそうです。

布のサイズもまちまち、自分の好きなサイズで制作も可能。完成形の「山景」は、暖簾として使ったり、スカーフとして使ったり、自由に楽しめます。

 

山景ワークショップや藍染のクラスなど詳細は直接お問い合わせください。

染樂工房 Dyelicious
@dyelicioushouse

 

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