2022/12/12

屋台屋台(やたい)とは、屋根が付いていて、移動可能で、飲食物や玩具などを売る店舗(Wikipedia「屋台」の項より)

12月、北緯22度の香港にもようやく晩秋~初冬の風が吹くようになってきました。年中高温多湿と言いたくなる香港の気候の中でも、この時期は湿度が下がり、朝晩は少し肌寒いものの晴れた日の昼間は気持ちよく外で過ごせますね。

こんな時期に茶餐廳愛好家のわたしがおすすめしたいのが、青い空の下で過ごせる屋台スタイルや、屋外席のある茶餐廳です。ギラギラと太陽が照り付ける真夏に汗だくになって過ごすのもそれはそれでオツなものですが、やはりこの季節が一番心地よい!

ところで香港では、台湾やタイなどでよく見かける移動可能な屋台はライセンスや衛生上の理由等により、ほとんど存在していません。かつて屋台であったお店は大抵、「熟食中心」と呼ばれる街市(ウエットマーケット)の中にあるフードコートに入っているか、どこかの建物の一角を借りて普通の飲食店として営業しているのが一般的。でも香港島の大都会セントラルや九龍のド下町・深水のあたりには、実は今でも濃く渋い緑色に塗られた固定の屋台がいくつか残っているのです!

こうした緑色の屋台のひとつが、深の茘枝角道と石硤尾街が交わるあたりにある「根記」です。このあたりは「大排と呼ばれるゴーゴーと音を立てながらダイナミックな火力で作る中華料理を楽しめる夜の屋台が多いのですが、根記は朝から夕方までの営業(日曜定休)で、茶餐廳スタイルのメニューを提供しています。

通りの歩道に沿って、いくつものテーブルと椅子が並んでいる様子は、晴れた日だとちょっとピクニック感があります。でもここは九龍が、香港が誇るド下町こと深水草原や海岸ではなくちょっとレトロでカラフルな古いビルに囲まれ、小鳥のさえずりや波の音の代わりに車やバスのクラクション、そして庶民派な街ゆく人々の話し声がBGMですなんてことのないインスタント麺も、青い空の下だとなんだかおいしさが倍増する気がしませんか?

下町だけでなく、都会でも屋外で楽しめる屋台スタイル茶餐廳はあります。

尖沙咀の北京道、にぎやかな通りのビルとビルとの隙間にあるのが「新聲咖啡店」。せわしない都会ここだけぽっかりと違う時間、違う空気が流れていて、「隙間産業という言葉がまさにぴったりなこの店は、何かと物価の高い尖沙咀にありながら驚くほどリーズナブルなお値段で飲み物と軽食を出しています。

なんとなく会社に直行したら勿体ない気がする天気が良い日の朝や、ちょっと歩き疲れた土曜の昼下がり、ここで奶茶(ホットミルクティー)と、油多士(コンデンスミルクとバターのトースト)を楽しむのがわたしのお気に入り。こういった昔ながらの屋台スタイルのお店が出す奶茶はだいたい濃く煮出していて、味わい深さが目覚ましにもなります。

旧正月を過ぎると、途端に湿度が上がってジメジメとした日々が戻ってくる香港、気候のよい今の時期だからこそ、屋外で太陽と風を楽しめる茶餐廳へ行ってみませんか?


akiramujina

九龍を拠点に「茶餐廳愛好家」を勝手に名乗り、ほぼ毎日茶餐廳や冰室に足を運んでいる在港日本人。
趣味は旅行と茶餐廳めぐり。コロナ禍で旅行ができない今は年100店以上の茶餐廳訪問と、年300杯以上の港式奶茶を目標にしています。
どこへでも行くフットワークの軽さが自慢ですが、どこへでも食べてばかりいるせいで自身の重さが悩み。
TwitterとInstagramでも食べ物の話ばかりしています。

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