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2025/09/14

白亜の堂々たる建物、「ザ・ロビー」でのアフタヌーンティー・・・といえば、在住者にも観光客にも人気の歴史的ランドマーク、「ザ・ペニンシュラ香港ホテル」。今回は、そのペニンシュラで、中国茶ペアリングランチを体験してきました。 

アフタヌーンティーといえば「ザ・ロビー」 「スプリングムーン・嘉麟樓」 

創業者は・・・ 

香港が国際都市として発展する中で、海と陸の玄関口である尖沙咀に高級ホテルを、という構想から1928年に創業されたザ・ペニンシュラ香港ホテル。創業者は前回登場した「嘉道理農場」と同じ、嘉道理一族(Kadoorie)です。彼らの祖先は、イラク・バグダッドのセファルディム系ユダヤ人で、18世紀にムンバイ、19世紀に上海を経て、その後香港で電力や不動産事業などを展開し、インフラ・文化・環境・教育に深く関わってきた実業家一族です。
*ペニンシュラの建築については
こちら 

広東料理レストラン「スプリングムーン嘉麟樓」  

20年代アールデコ調の落ち着いたインテリア、ミシュランスターの「スプリングムーン」は、80年代に「XO醤」を開発したレストランでもあります。ペニンシュラで買えるXO醤は、このスプリングムーンブランドのものと、ホテルのブティックで扱うペニンシュラブランドのものの2種類があります。レストランのものは、厨房で作られている保存期間が短めのフレッシュなもので、ここでしか手に入りません。またレストランのお茶は、福茗堂茶荘からのもので、ブティックのお茶とは違うそうです。 

中国茶ティーバー 

店内に入ると、中央奥にすぐに目を引く、たくさんの茶器やお茶がディスプレイされたカウンターがあります。これが1996年からある、中国茶を出すための専用ティーバーです。メニューには、25種類以上のお茶が並びます。ティーマスターが、例えばカフェインの量や風味に関する解説をはじめ、体を冷やすとされる食材の料理には、体を温めるお茶を、といった提案をしてくれます。中医学的なアプローチは中国茶ならではですね。もちろん茶壺、蓋碗など、お茶をどのように淹れて欲しい、淹れたいという希望も確認してくれるそうです。 

ずっと見ていられる美しい所作 

コース料理でティーペアリングをお願いするときは、2、3種類のお茶を選ぶのがおすすめだそうです。ペアリングをお願いすると、ティーマスターがティーカートで目の前でお茶を淹れてくれるので、その美しい一連の所作を間近で見ることができます。 

本日のお料理とお茶 

最初にサーブされたのは、ジャスミン茶を使ったカクテル。ティーバーからではなく、ミクソロジストによる、ジャスミン茶、グレープフルーツ、柚子の爽やかな軽いジンベースの「サマーシトラス」。スッキリした酸味が「開胃」(食欲を促す)で、サクッと軽い食感がクセになるスナックの「胡桃の飴炊き」を食べすぎないようにしなくては・・・。 

「焼鮑とチキンと黒きのこのタルト シチリアのエビとポークの小龍包、ハンガリー産マンガリッツァポークのチャーシュー」の前菜トリオ、ヤングココナツのシェルが器の「響螺(巻貝)のダブルボイルスープ」とお料理が始まりました。 

今回のお料理 

最初のお茶は「台湾阿里山高山茶(台湾烏龍茶)」。ほぼ無焙煎で花香と果実香で爽やか、明るい水色(すいしょく)です。海鮮と相性が良いとのことで、メインの最初の一品「星斑球(白身魚)野菜と黒トリュフソース」とのペアリングです。料理との一体感はわかりませんでしたが、邪魔をすることもなく、口直しとしておいしかったです。 

次の「鹿児島牛の野菜と花椒巻きには、紅茶 「雲南極品功夫茶(紅茶)」。 「功夫」とは風味が強いという意味と、工程に手間がかかるいう意味。乾燥した茶葉は花のような香り、飲むと強いカカオの香りと甘い風味です。カフェインも強め、お肉の風味に負けないしっかりしたボディのお茶で、こちらは料理と一緒に楽しめました。 

締めはシグネチャー「XO醤と海鮮、ローストグースの炒飯」と「不知年普洱茶玫瑰(薔薇雲南ヴィンテージ普洱熟茶)」。深い層のある味合いの炒飯に、まろやかでするする飲める熟普茶です。二煎目には、後口に薔薇の香りも出てきましたこのお茶はカフェインは低め、消化を促し、薔薇は睡眠やお肌にも良いそうです。熟成が10年以上ではあるけれど不知年」と年代が不明なのは熟成保存させる倉庫の違う年代のお茶をブレンドしているからです。プーアル茶は、デザートのマンゴープリン、月餅とも一緒に、何杯でも飲み続けられる優しいお茶です。 

料理と中国茶のペアリングはアリなのか 

伝統的中国茶文化は食から独立した文化として確立しており、上質なお茶の繊細な風味や香りを楽しむのに、食べ物は邪魔になる、という認識があります。茶葉を使った料理や飲茶と一緒にお茶を飲む習慣はあるものの、基本的に中国茶の伝統文化には料理と茶のペアリングの概念はありません人気が出てきたのはここ10年ほどのことで、健康志向の強まりや革新的な美食文化の香港や日本、台湾からのようです。 

正直、ワインと料理のマリアージュのようなことが、中国茶でも成立するのかな? と思っていましたが、主張が強いワインとは違い中国茶は、個性は豊かでありながら、料理をそっと引き立て口を整え、次の料理への橋渡しをしてくれるのがいいなと思いました。また異なるお茶の風味に意識を向けることで、お料理もより丁寧に味わうことに集中できた気がします。 

エグゼクティブシェフLam  Yuk Mingさん/ ティーマスターElvis Wongさん 

色々な質問に笑顔で答えてくれたティーマスターをはじめ、各テーブルを回って気さくに言葉を交わしていたシェフ、親しみやすい香港らしい雰囲気の中、改めてやっぱりお茶は、料理も会話も引き立ててくれるなあと思いました。  

ザ・ペニンシュラ香港ホテル 

スプリングムーン 

 


Chikako

トロント、NY、シンガポール、今は香港に在住。
各地のライフスタイルや食文化にインスパイアされた器を製作してきた。
香港では中国茶器を楽しくコツコツ製作。
お茶のワークショップも不定期に活動中。

IG : cnycstudio
お茶のワークショップIG : sound_and_tea_room

 

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