2023/08/22

前回までのあらすじ

腫瘍科のドクターから再発率を下げるための抗がん剤服用を勧められ動揺するさきさん。サードオピニオンまで聞きに行ったり、周りの人に相談したりして抗がん剤服用を決意した。ゼローダ(カシペタビン)という抗がん剤を2週間朝晩4錠ずつ。そのあと1週間の休薬期間、これを1サイクルとし、全部で8サイクルすることになった。


抗がん剤服用が始まり、最初の1、2か月の出来事を書きたいと思います。前回記した通り、第1サイクルは問題なく終了。休薬期間1週間は、なんとなく体が休まっている感じ。抗がん剤治療中は、最初の1か月くらいは毎週クリニックに行って、血液検査をします。抗がん剤によって免疫が落ちていないか白血球の値を確認したり、腎臓や肝臓の数値も確認します。クリニックに行く日は、血液を採取した後、1時間くらい待たないといけないし、時間的に仕事を休まなきゃいけないので、ある意味ゆったりして過ごせました。ただ、クリニックに行くといつもあまり元気のなさそうな患者さんがたくさんいるのに、どう見ても健康そうなわたしはちょっと場違いな感じがしていました。他の人は何のがんなんだろう、毎回すごく誰かに話しかけたい衝動にかられたけど、さすがに勇気がでませんでした。ドクターいわく、大腸がんの人がかなり多いとのこと。

わたしは今回若くしてがんになったことで、自分にできることは、声をあげて、より多くの知人、友人に自分の経験を話して、大腸がん早期発見のために警鐘を鳴らすことではないかと感じ始めていました。なので、実際、香港で親しくしているいろんな国籍の友人、いつも行ってる美容院の方など、行く先々でがんの話を積極的にして、若くても、症状がなくても、30代のうちに一度は大腸カメラをした方がいいことを力説しました。おかげで、多くの同年代の友人が実際大腸カメラを受けてくれて、その中の30歳の女友達は、ポリープが3つも見つかったとのことで、とても感謝されました。このポリープがあと10年放置されてたら、彼女もがんになってたかもしれないと考えると、検査を勧めて本当に良かったと思いました。

さて、抗がん剤最初の3サイクルの間、念願だった娘たちとのバリ旅行に行きました。ちょうど2月末に学校のお休みがあり、人生4回目のバリ。日焼け対策とか心配なことはあったけれど、ドクターも問題ないと言っていたので、思い切って行くことに。本当は上の娘とサーフィンをしたかったけど、さすがに手術から3か月未満で、まだ腹筋があまり使えなかったので、見てるだけにしました。でも、乗馬をしたり、買い物したり、家族3人水入らずで楽しい1週間を過ごしました。この時初めて副作用とみられる足の裏のヒリヒリ感があったけれど、休薬期間になると収まりました。でもやはりサイクルを追うごとに手の乾燥がひどくなったり、赤みが出てきたりと、薬が蓄積されている感じがしました。

そして早くも4月のイースターホリデー。今回は2週間日本へ帰ることにしました。日本へ帰る前のクリニックでの血液検査では、免疫を示す白血球の値が基準値を大幅に下回ってしまったので、ドクターが大事をとって、白血球増発剤の注射をした方がいいと言いました。これを打っておかないと、旅行中に疲れがひどくなったり、インフルエンザにかかりやすくなったりするらしいので、やっておいてよかった。ただ、なぜか保険がきかないこの注射。1回日本円で2万円以上します。抗がん剤は1サイクルで約7万円。今のところ保険でカバーされているけど、なんて高いんだろう・・・。日本だったらいくらくらいするんだろう・・・。

日本では、9年ぶりに見る桜を満喫。ただ思ったよりも寒くて、香港の真冬よりも寒い4月だったのでびっくりしました。滞在中はインフルに感染したことが後になってわかった子と接触したけど、あの注射のおかげでわたしは感染せずホッとしました。実家では車移動がメインなので、抗がん剤4サイクル目だったにもかかわらず足の裏は一切痛くなりませんでした。香港では普段からかなり歩いているのが副作用の後押しになったのかもしれません。その代わり、手の赤み、指先の感覚のなさ、皮の剥け具合がかなりひどくなっていて、毎日ハンドクリームを何回塗ったことでしょう。多分10回以上は塗っていたと思います。塗っても塗っても、まるで手の皮膚がウォータープルーフになったみたいに何も浸透しない感じがして、夜はキャスターオイルという皮膚に良いオイルを母からもらい、それを塗ってさらにビニールの手袋をして寝ていました。そして香港に戻る数日前から、足の指の爪のあたりが痛くなってきました。まさかこれがこの後であんなにひどくなるとは・・・。

帰国後すぐにクリニックへ。足の指の状態を診てもらい、とりあえず様子を見ましょうということに。サイクル5まであと1週間。この後、足の指は日に日に悪くなり、歩くのも痛い、スニーカーも履けないほどになり、緊急にもう一度ドクターに診てもらうことになりました。

つづく


福山さき

2012年、東京から香港に移住。フリーランスインストラクター。小学生、中学生のママ。趣味は、料理とピアノ。


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