2023/10/20

Tasting Table Japan Premium

「Hong Kong LEI – Cover Story」は、香港でがんばる人をご紹介するシリーズ企画です。当記事は、健康と食の安全をお届けする Tasting Table Japan Premium より当企画への賛同と協賛をいただき制作しています。


猫が切り開いてくれた香港生活

[Instagram] https://www.instagram.com/shinonomeow/
[facebook] https://www.facebook.com/mangonaoko/

聞き手:紅磡リンダ
編集:深川美保

撮影協力:Colour Brown https://www.instagram.com/colourbrowncoffee/

 


<目次>

<香港と猫を描き続けるイラストレーター>

<猫が世界を広げてくれた>

<ほんわかとしたイラストとは裏腹の、プロとしての覚悟>

<Mangoさんへの3つの質問>


<香港と猫を描き続けるイラストレーター>

香港の出版業界の創作性向上に貢献した書籍に贈られる賞「香港出版雙年獎」。栄えあるこの賞の今年の受賞者に一人、日本人女性がいたことをご存じだろうか。それがイラスト本の作者、Mango Naokoさんだ。

彼女が描くイラストには一貫したスタイルがある。可愛い猫ちゃんたちが香港を舞台にのびのびと生活している姿。

その猫ちゃんたちは血統書付きなどではない、ふわっと丸みのある普通の猫たち。とら猫、三毛猫、子猫におデブちゃん。飼い猫、迷い猫、いたずら好きな野良猫も混じっていそうだ。そして彼らが闊歩する舞台は洗濯物がハラハラはためく下町や、昔ながらの団地。それから定食が50ドルでお釣りが来てしまうような、庶民的な茶餐廳だ。

(Mango Naoko さん提供)

水彩イラストを始めた当初からプロとして活躍する今日まで、Mangoさんが描くモチーフは決まって「香港にいる猫」だ。なぜ猫ちゃんたちが主役なのか。それは彼女自身が猫好きだからに他ならない。プロになる前、趣味として水彩イラストを始めたのも、自分の飼い猫を描く事が一番の目的だったという。

「とにかく自分の猫が可愛くてかわいくて。その気持ちが高じて水彩イラストを描き始めました。親ばかなんです」と彼女は目を細めて語る。

そんな猫を溺愛するMangoさんが香港に越したとき、「香港の風景が新鮮で、そこに猫がいたら可愛いだろうなと思って」猫たちと一緒に街をお散歩するような気持ちで描き始めた。それはMangoさんの一貫したスタイルとなり、現在まで続いている。

「屋邨喵・散步日和」(星夜出版、2022年発行)

<猫が世界を広げてくれた>

「絵が仕事になったのは本当に偶然なんです」と控えめに語るMangoさん。その経緯は一風変わっている。始まりは、ご主人の仕事の関係で彼女が香港に居を移したばかりの10年前のことだった。

「当時は友人も仕事もなくて。ちょっと鬱になりかけたんです」。危機感を感じたMangoさんは無理にでも外出しなくてはと、趣味で描いていた猫の水彩イラストを自宅ではなくカフェで描いて時間を過ごすことにした。その絵を見たカフェのオーナーに「旧正月中、お店を華やかにしたいからMangoさんの猫の絵を展示したい」といきなり提案されたのだという。想定外のきっかけで開催したこの「展覧会」で展示した絵が出版エージェントの目に留まり、本の出版につながった。

「猫が世界を広げてくれるんです」とMangoさんが語る通り、猫がきっかけで、自宅でひきこもる生活から一気に香港での世界が広がった。

<ほんわかとしたイラストとは裏腹の、プロとしての覚悟>

それにしてもカフェのオーナーに出版エージェント、そしてMangoさんの受賞を可能にした多くのファンなど、香港人である彼らがなぜ、日本人のMangoさんの絵に惹かれるのだろうか。

まずは猫たちの魅力。猫を飼っている人は「私の絵を見て真っ先に自分の猫を探すんです」とMangoさんは嬉しそうに笑う。自分の飼い猫に似た猫がいれば親近感が湧き、好感度が高まるのは言わずもがなである。

Mangoさんが描く香港の街並みもまた、香港人を強く惹きつける。その理由についてMangoさんは「私は香港で育った訳ではないのですが」と前置きしつつ、こう語る。「私たち日本人がかつて暮らした生活の思い出と、香港の方が持つ思い出には共通する懐かしさがあると思うんです。私が描きたいのはこれなんです」

とんとん拍子で趣味を仕事にしてしまったように見えるMangoさんだが、仕事に関しては「苦労しないとだめだと思うんです」と非常にストイックなスタンスを貫いている。

実はMangoさんには役者という、表現の世界の仕事を目指した過去がある。その世界の生半可ではない厳しさを味わってきた経験が、今の仕事哲学の礎となっているのだ。「私がする努力は、営業をして販路を増やすことではありません。1枚でも多くの絵を描いて、上手に書けるようにすることです。そこでダメになったら、そこまでなんです」。

もともと猫が切り開いてくれた香港での世界。Mangoさんは今後のビジョンは持たないと語っているが、かわいい猫ちゃんと、彼女のたゆみない努力があれば、今後もさらに大きく広がっていくことは間違いないだろう。


<Mangoさんへの3つの質問>

Q1 本の出版以外に、週末にマーケットで自作の猫グッズを販売していらっしゃいますね。

はい。最近はほとんど毎月やっています。トートバッグやポストカード、食器など徐々に品数も増えてきてました。商品のデザインから販売まで全て自分でやっているんですが、ようやく一連のプロセスに慣れてきたところです。マーケットでは香港の方が話しかけてくれるのが楽しいですね。

Q2 日本人だということについて、香港の方からコメントがあったりするのですか?

外国人だからこそ気づく視点があると言われます。あと、色味が日本っぽいと言われますね。地味だねと、アドバイスめいた意見をいただくこともあるんですよ。まあこれは意識しないで自分がもともと持っているものなので、変えるのが良いのかはわかりませんが。

Q3 流暢な普通語を話されますが、どのように勉強なさったのですか?

日本で仕事をしていた頃「台湾」にハマったことがあり、その時に猛勉強したんです。1年ほど学校に通った後、自分の生活を中国語漬けにして独学で身に付けました。当時はYouTubeなどもなかったですから、なかなか苦戦しました。広東語については香港人である主人の手を借ります。


今回特別にMango Naokoさんより「2024年カレンダー&クリアファイル、ポストカード」のセットを、公式LINEにご登録してくださっている1名の読者様に差し上げます。応募締め切りは、11月10日(金)までです。(プレゼントの商品写真は、公式LINEよりご覧いただけます。また、商品の受け取りは銅鑼湾のTASTING TABLE Japan Premiumになります。)

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応募方法は、公式LINEのチャットにて、Mangoさん記事の簡単な感想をお送りください。
皆さまのご応募をお待ちしています!

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2 件の意見

  • リンダ より:

    Mangoさんのファンの方からのコメントをいただけて嬉しいです。出会いのきっかけが弊誌だったことも光栄です!
    ご愛読ありがとうございます。
    Mangoさんのイラストには可愛さだけにとどまらない魅力がありますよね。Mangoさんご自身も柔らかさと強さを併せ持つ魅力的な女性でした。
    栄誉ある賞を受賞されたMangoさん、これからさらに活動の場が広がりそうですね。
    これからも一緒にMangoさんを応援し続けましょう!

  • 坂井佐保子 より:

    二年ほど前に雲南コーヒーをleiの懸賞で頂きましたが、その時受け取りに行ったカフェとコーヒー雑貨屋さんにmango Naoko さ
    んの絵葉書が飾ってあったのが最初の出会いです。近所のカフェと街市が絵のそのままあるのですよ。インスタを探し当ててカレンダーを手ぬぐいを取り寄せ、日本に帰った友人先にまで送り展示会にも友人を誘ってまたグッズを買いにと、ファンを広げてきたので、Leiで取り上げていただいて自分のことのように嬉しいです。

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