2021/04/13

日本にいた頃は、コンビニの辛子明太子おにぎりと豆乳が、会社残業飯の定番でした。懐かしの 味!(TEN-MUSUBI IFC店)

香港の地下鉄の主要駅では、おにぎり屋さんの店舗をよく見かけます。 しかも、具のヴァリエーションがとても豊富で、「ここ、日本?」。 わたしがこよなく愛する辛子明太子おにぎりは、どのお店にも普通に陳列されていて、初めは懐かしい 日本の味に感動していました。

大きなスーパーのお総菜コーナーには必ずお寿司コーナーがあり、サーモンを買っておけば、ほぼ、味に外れはありません。 ランチ時は、香港人たちだけでなく、西欧人たちもお寿司のパックを小脇に抱えて道を歩いているし、チェーン店の元気寿司は、街中でちょくちょくその姿を見かけます。 日本の普通のお酢を調達したかったのに、これまで行ったスーパーには、いわゆるお酢ではなく、 すし酢しか、陳列されていないってことも…

日本を発つ前、「香港は長いお米の文化だからね」と、幼少時、香港に住んでいた夫から聞かされていたのですが、最近は香港でも短いお米文化が根付き始めたのかしら?どこでも日本米が買えるなんて!

ショーケースの中はどこを切り取っても、まさに“日本”そのもの(AEON 黄埔店)

1年前、記憶に新しいコロナ第1波の襲来。 忘れもしない旧正月明けの2月頭、わたしの住んでいる地区では、スーパーから、トイレットペーパーと 共に、お米が消えました。

日本人居住者の少ない地域。 大きな日系スーパーに行けば、5kgサイズも置いてあるけれど、近所のローカルスーパーでは、日 本米は2kg入りのものが最大サイズです。 我が家には、育ち盛りの息子2人に加えて、夫、住み込みのフィリピン人のお手伝いさん、わたしを含め、 大人が3人。

コメは重量に関わらず、2袋までの購入制限。 2kg×2袋だなんて、どんなにチビチビ食べても、もって10日足らずでしょう。 いや、それじゃ、籠城はできない(悲鳴)。 香港に来て、わたしは、初めて、長いお米に挑戦せざるを得なくなりました。 (そして、10kg入りのタイ米は、なんと、2kg入りの日本米とほぼ同じ価格だったのです。)

日本米も様々な産地、品種のものが揃います(近隣のローカルスーパー)

「前にアイェイェ(義父)とアママ(義母)とペニンシュラホテルで食べたお米だね!」と初めは喜んで いた長男も、数日後には「日本のお米、食べたい。鮭おにぎり食べたい…」と切ない声で訴える ようになりました。

すまぬ、息子よ。
おにぎりもお寿司も、皆、大好きなのに。 10kg入りの日本米、どうしてスーパーで売っていないんだろう?

スーパーに並ぶ“長いお米”たち(近隣のローカルスーパー)

先日、昨年の日本の農林水産物の輸出入の概況が発表されました。(※注1) 日本からのコメの輸出額は、2020 年通年で 53.1 億円(援助米を除く)。 うち、香港へのコメの輸出額は 18.0 億円。 国・地域別にみると、日本のコメの輸出先は、香港が断トツの1位だったそうです。 (因みに、2位はシンガポール(7.8 億円)、3位は台湾(6.2 億円)でした。)

さらには、日本政府、「冷めてもおいしい等の日本産米は寿司やおにぎり等に向き、日本食の普及 とともに拡大が可能」、「今後もレストランチェーンやおにぎり店等をメインターゲットとした需要開拓 を図る」として、“お得意様”である香港向けのコメの輸出額を、2025 年には 36 億円に設定している ようなのです。(※注2)

5年後に今の倍増、が、政府目標か。 10kg入りの日本米も、そのうち、少しは、市場に出回るようになるかしら?

対象の国・地域や、目標額を品目別に定めた、この、日本の農林水産物・食品『輸出拡大実行戦 略』。 「国内の余剰を輸出するという発想を転換し、(中略)マーケットが求めるものを作るという発 想に立つべく改革を」との菅首相の肝入り政策なのだそうです。(※注3)

農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略案(概要) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/nousui/yunyuukoku_kisei_kaigi/dai10/siryou1.pdf

わたし「日本米、子どもたちの分にとっておきたいから、ごめん。タイ米、大丈夫?」
お手伝いさん「Maam、わたし、長いお米の方が好きなんです。」
夫「僕も、実は、長いお米の方が食べ慣れてるんだよね。」

近隣に住む日本人たちと WhatsApp で励まし合いながら乗り越えた、あの頃

昨年のコメ騒動時、我が家では驚愕の事実が判明し、結局、今ではお財布にも優しい、長いお米 比率が高まることになりました。
が、噛みしめるたびに甘みの広がるおいしい日本米。 日本米ラバーは長男とわたしだけだけれど、今年の新米が出て来るころには、値段を気にせず、おいしいお米をお腹いっぱい食べられる日本への一時帰国が、どうか叶いますように。

高級米もお金に糸目をつけなければ、手に入ります
2kgで約 5,600 円(1香港ドル=14.10 円(2021 年 4 月 10 日現在))!

 

Emi in HK。唔該你。一陣見!

 

【出典】
※注1…農林水産物輸出入概況 2020 年(令和 2 年)(農林水産省国際部国際経済課、令和 3 年 3月31日)
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kokusai/attach/pdf/houkoku_gaikyou-2.pdf
※注2…農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略案(令和 2 年 11 月 30 日発表)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/nousui/yunyuukoku_kisei_kaigi/dai10/siryou2.pdf
※注3…農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議 (首相官邸、令和2年11月30日) https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202011/30kaigi.html

Emi
経済団体にて経済産業省・法務省との折衝から、中小企業の事業転換・倒産回避の相談現場まで、多岐にわたる業務に従事。2019年6月、15年の東京・丸の内オフィス生活に別れを告げ、夫の仕事の都合により香港へ移住。英語・広東語・北京語とも旅行者レベルの域を未だ脱せず、危機感覚えながら日々勉強中。気分転換は映画・ドラマ鑑賞、断捨離、25年振りに再開したピアノ、甘い物。小学校、幼稚園、やんちゃ男児2人の母。

emiinhkg@gmail.com

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