2024/04/17
沖縄南城市
沖縄の旅の途中、わたしの失態で、地元の人に迷惑をかけまくって、おまけに助けてもらいました。
ここで恥を忍んで、あの時に受けた恩をご紹介したいと思います。
沖縄の旅も中盤、レンタカーをして、子どもと目的地までドライブをしていました。慣れない土地でカーナビやGoogle Mapを見ながらの運転はやっぱり難しいです。特に道路工事が多い沖縄では、ナビがアップデートされていない場合が多く、気がつくとグルグルと同じところを走っていたり、いきなりUターンさせられたりと、イライラすることも多かったです。
そんな中、ナビについていくとある細い道路に入ってしまいました。ホテルに向かっていたのですが、地図上ではすぐ近くにいるはずなのに、なかなか目的地に着けません。前方から車がバンバンやってくるので、左に寄せたところ、側溝に思いっきり落ちてしまいました。そこには背の高い雑草がぼうぼうに生えていて、運転してる最中に、側溝があるのが見えなかったのです。ガクンと落ちて車体が大きく左に傾いたのがわかりました。
「やっちまった!」
と思いました。それと同時にレンタカー屋さんで言われたことが走馬灯のように脳裏を駆け巡りました。
ー事故したらすぐに連絡ください。
ーレッカー車が必要な場合は保険でカバーできます。
すぐに車外に出て確認すると左の前輪と後輪、両方とも見事に落ちてました。涙。
「どーしよー」
呆然と立ち尽くしていると、最初にすれ違った車が横付けして、中から日に焼けた恰幅の良い50代ぐらいの男性が出てきました。ゆっくりこちらに来ながら、
「おねーちゃん、車体が傾いとるよ」
「はあ、そーですよねー。側溝に落ちちゃいました」
放心状態気味のわたしを横目に、おじさんは、左側に回って腰を下ろして草むらに隠れたタイアを見て
「わー見事に落ちとるねー。おねーちゃん、これレンタカー?」
「はい、保険があるので、今からレンターカー屋さんに連絡して、レッカー車を呼んでもらいます」
おじさんは、これはレッカー車がないと無理だわと呟き、心配そうに横にいてくれました。レンタカーのスタッフは一通り本人確認をして、居場所を聞いてきました。実は、わたしは裏道に入ってしまったようで道の名前もわからず、おじさんに、ここどこでしょう?と尋ねると、
「いやー、俺もここどこかわからん。でも電話代わってあげるよ」
と言って頭を掻き掻き代わりに説明をしてくれました。
そうこうしてると、突然若い女性が後ろに立っていて、
「今、うちの会社の若い衆に連絡をしたので、10人ぐらい5分ぐらいで来てくれると思います!」
とのこと。わたしは若い衆って?、この方達は何をしに来るんでしょう?って感じで全く話についていけてません。
すると今度は、
「うわーやっちゃったねー」
と言って、またもや日焼けした60代ぐらいのおじさんがニコニコしながらやってきました。
「ここ、本当によ〜く車が落ちてるよ。議会でも問題になってる場所なんだ。側溝に蓋をつけないからねえ」
「そうなんですか、それならわたし少しは救われますね」
と、空笑いしたら、
「そうそう、あんただけじゃないよー」
と慰めてくれました。おじさんは徒歩でやってきた様子でした。
「おじさんはどちらから?」
「僕はあそこのビルに住んでて、声がするからベランダから見てみたらあんたの車が落ちてるのが見えたからねー」
とのこと。目の前に背の高いアパートが立っていました。この時点で、わたしはすごいな沖縄ってこんなに人が集まってくるんだと、ある意味感動していました。
するとゾロゾロと本当に20〜30代の若い男衆が10人ぐらいやってきました。最初のおじさんは
「おお〜、これだけいたら俺らで車持ち上げられるよ。レッカー車はいらんわ!」
と声を上げてみんなに指示を出し始めました。わたしは、見ず知らずの方々のご厚意と、まさかの展開にただ唖然として、狼狽えながら、
「あのー、お気持ちはありがたいですが、皆さんに怪我して欲しくないですし、レッカー車も呼べるのでー」
と言ったものの、誰も耳を貸してくれません。わたしの失態にこんなに多くの人が一生懸命助けてくれようとしていて、言葉にできない戸惑いと感動で体が震えました。車は思ったより重いらしく、そんなに簡単には上がらず、何度も掛け声をかけて持ち上げようとしてくれていました。
するとたまたま通りがかった道路工事用の巨大な黄色いトラック2台が横の路肩に横付けしました。ものすごい大きなトラックだったので圧倒されていると、そこから大きな体の男性が3人出てきました。みんな詳しいことは何も聞かず、何も言わずに車の横に来て加勢してくれました。
「いっせいのせ!」
と、みんなで掛け声をかけて車体を30cmも上に持ち上げて、ずらして道路に乗せてくれました。
側溝に落ちてから45分後には、車は何事もなかったように車道に鎮座していました。
わたしは、力を貸して下さった皆さんに頭を下げていると、
「よかったねー。気をつけてねー」
と言うや、パッと散ってしまい、車で来た方も挨拶もそこそこさっさと運転して行ってしまいました。わたしは誰一人にもきちんとお礼をすることができなくて、車と子どもと共に道路の真ん中に取り残されたのでした。
その後、平常心を保ちながらなんとかその日泊まるホテルにたどり着いたわたしたち。ホテルのチェックイン時に、興奮冷めやらぬわたしは、子どもに静止されながらも、さっき起こったばかりの感動秘話を夢中で話しました。ホテルスタッフは嫌な顔せず親身になって聞いてくれて、大変でしたね、ゆっくり休んでくださいと言って、同情してか、部屋をアップグレードしてくれました。涙
次の日、レンタカーを返却しにいくとスタッフが、
「昨日は大変でしたね〜。大丈夫でしたか?でもあれは超幸運だったと思った方がいいですよ」
と言ってくれました。わたしも昨日の嘘のような出来事が、一晩明けて、まるでカラカラに乾いた植木に水を与えてもらったような体験だったと思えていたので、大きく頷きました。
「沖縄の人ってすごいですね。見ず知らずの者をあんな風に助けるなんてびっくりしました。しかもお礼も聞かずにみんなパッと去っちゃったんです」
と言うと、スタッフは続けて、
「沖縄の人は良い人が多いけど良いことが重なったね。第一に、落ちた場所や時間が良かった。みんな仕事が終わってちょうど帰宅していた時間帯だったし、近くに車が止まれる空き地があったんだよねえ。それから普通、車は人間の手では持ち上げられるものではないよ。それだけ多くの人が集まってくれて持ち上げちゃったんだから奇跡だよ」
と教えてくれました。その日、スタッフの方は普段は2〜3分先の最寄りのモノレール駅までしか送迎しないところ、車で片道15分もかかるホテルまで無料で送ってくれました。
今回の沖縄の旅、珍道中でしたが、出会ったすべての人が本当に温かく、度肝を抜かれてばかりの沖縄の旅でした。美しいものを見たり、おいしいもの食べたり、楽しい体験も素晴らしいですが、旅の醍醐味はやっぱりそこに住む『人』との触れ合い。ちょっとしたショップでも、レストランでも、タクシーの運転手さんでも人と話すことで楽しさが倍増します。わたしが旅が好きなのは、そんな素晴らしい出会いがあちこちにあるからです。
助けて下さった皆さん、本当にありがとうございました。また沖縄に遊びに行きます!
<1ページ目>
沖縄の人が温かくて涙もん
ー旅の計画はしなくてもみんなが教えてくれる!
なんと言っても香港から近い!
ー飛行機で2時間ちょっと!
ー亜熱帯から亜熱帯への旅行ってどうよ?
ーいろんな楽しみ方や泊まり方ができる
ー交通手段、車がないと不便。レンタカー天国
<2ページ目>
初心者向け楽しみ方 ショッピング
・国際通り
・壺屋やちむん通り
・お酒
・アウトレット
地元の人が教えてくれた、おすすめの食スポット
・瀬長島のウミカジテラス
・島唄ライブ
・道の駅糸満 糸満お魚センター
・家庭の味 食堂 きらく
<3ページ目>
体験
・琉球ガラス
・ペーパードライバー教習
・やちむん工房見学
・おきなわワールド
・ガンガーラの谷
・ウワーガージャングル、ナイトトレッキング
・戦跡めぐり
・世界遺産「斎場御嶽」
・久高島
番外編←今ここ
旅道中で沖縄の人に助けられたお話
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