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2026/03/05

今回は、ハッピーアワーがあるバーのご紹介ではないのですが、自信をもってオススメしたい香港製造のジンのブランドと出会ってしまったのでご紹介します。 このジンをご自宅で飲んだら、そこはもうハッピーアワーのバーと化します!(笑)

香港は地ビールがおいしいというのはもはや定番。そうしてもう1つ、香港製造の香港らしい驚くべき「ジン」があることをご存知でしょうか? それは、N.I.P(無名氏)クラフト・ジンというブランド。実は誕生したのは2019年。かれこれ7年前になることから、これまでにWorld Gin Awards で Country Winner など、香港で一番受賞数が多いジンのブランドとして、通の間では知らぬ人はいないほどに成長しています。

もしどのぐらいおいしいか、どのぐらいおすすめかと聞かれると、とにかく一度は誰もが飲んでみる価値があるとお伝えするでしょう。従来のジンが好きな方はもちろん、ジンの香りが苦手という方もぜひ飲んでみていただきたいです。筆者(女性)が知らずして一口飲んだ時の感想は、「ジンのような気がするスピリッツだけど、これは一体? 飲んだ時の目の前がパッと明るくなるような、お花が開花するような華やかさは何なんだろう?」というものでした。N.I.Pのジンの特徴は、ジン特有のツンとくる香りが少なく、さっぱりとしたフローラルやシトラス、そして中国茶のうっとりするような香りが前面に感じられます。恐らくジンに対する固定観念があればあるほど、期待を裏切られる、そんなジンなのです。ロックで飲むのもおいしいですが、42%〜45%とかなりアルコール値が高いため、ソーダウォーターや、トニックウォーターで飲むのがおすすめ。以前飲んだコーヒーカクテルもコーヒーと柑橘系のフレイバーが思いのほかマッチした意表をつくおいしさでしたが、まずはこのジンそのものの素晴らしさを試していただきたいです。

醸造所内にある数々の受賞歴。

2019年に最初に世に送り出された代表作「Rare Dry Gin」は、龍井茶、寿眉茶、キンモクセイ、陳皮などの21種類のボタニカルを融合させ、柑橘の香りと複雑な茶の風味が特徴で、発売以来N.I.Pを代表する定番ジンとして愛され続けています

創業者で幼馴染のジェレミー・リーさん(左)とニック・ローさん(右)

N.I.P(無名氏)の創業者は、20年来の幼馴染で、ジン愛好家の2人、ジェレミーさんとニックさん。かつてニックさんは弁護士として、ジェレミーさんはブランドコンサルタントとして香港でキャリアを邁進していました。二人はある晩飲みながら「なぜ香港にはスピリッツの蒸留所がないのだろう?」と疑問があがり、それなら自分たちで作ろうじゃないかと蒸留の道を歩むことになったそうです。

なぜ既に成功し安定していた道を捨てて、経験のないスピリッツの道を選んだのか聞いたところ、ジェレミーさんは「人生1度しかないなら好きなことをしないとね」と爽やかな笑顔であっさりと答えてくれました。彼らの資料によるとこうありました。「この選択は、香港映画『インファナル・アフェア』の有名なセリフ『道は自分で選ぶもの』そのものなのです。」

蒸留所には「初心忘れるべからず」と象徴的に飾られた蒸留器。これで何度も試作品を作っていた。当時はYouTubeを見て学んだこともあったそう。

ブランド名のN.I.Pは、「VIP(Very Important Person)重要人物」をもじって、反対の意味である、「NIP (No-one Important Person)重要じゃない人」と命名。大きなブランドではないけれど、スペシャルなジンで無名でも人々を魅了できるという意味を込めたそうです。

続々と新作を発表している彼らの人気のライナップを、簡単にご紹介しましょう。

▷N.I.P Rare Dry Gin (無名氏珍稀氈酒)(写真左): 21種類のボタニカルを使った看板商品。新鮮な梨や陳皮、お茶の風味がバランスよく調和しており、ストレートやソーダ割りに最適。受賞:World Gin Awards – Gold & Country Winner (Hong Kong)、SIP Awards (USA) – Double Gold、San Francisco World Spirits Competition – Gold

▷N.I.P Exotic City Gin(写真左から2番目): ローカルで栽培された香り高いレモンを中心に、シトラス類、カフィアライムの葉、雲南の滇紅黒茶、ミント、バーベナが組み合わさり、フレッシュなシトラスと風味豊かな香り、エキゾチックなレモングラスのトーンが弾けます。受賞:San Francisco World Spirits Competition – Double Gold Medal、World Gin Awards – Gold & Country Winner (Hong Kong)、 International Wine and Spirits Competition – Silver

▷CATNIP Tea Gin シリーズ(写真右半分): お茶にフォーカスしたシリーズ。鳳凰単叢や大紅袍など、特色ある茶葉を使用した香り豊かなジン。

ジェレミーさんとニックさんの二人が猫好きであること、そして図らずもN.I.Pはニップ(猫じゃらし)も意味するので、遊び心が満載な彼らはもじって「CATNIP」というシリーズを始めることにしたそうです。地元アーティストで人気イラストレーターのキャシー・ラムさん(@Dawning_Crow)とコラボレーションし、甘すぎない、ブランドにぴったりな愛嬌あるキャラクターを誕生させ、そのラベルに登場させました。彼らがこのシリーズで展開しているのは、斬新で運命的な出会いとも言える中国茶とのコラボなのです。
受賞:CATNIP TEA GIN NO. 2 DAHONGPAO (貓茶氈酒 – 大紅袍)が、San Francisco World Spirits Competition – Gold

ドイツのクリスチャン・カール製の手作り銅製蒸留器「April」。名前の由来は、香港の蒸留所を設立するというアイデアが最初に生まれたのが2017年4月だったから。

【蒸留所の要、銅製蒸留器、愛称「April」】

なんとN.I.Pの蒸留所は鰂魚涌(クオリーベイ)のオフィス街のど真ん中にあります。こんなところに蒸留所が、と驚いたものの、マイクロ蒸留所というだけあって、蒸留機器は思ったよりコンパクト。逆に香港全域で大きく展開している何種類ものフレイバード・クラフト・ジンをこの蒸留器一機だけで生産していることにびっくり。「毎回違うフレーバーを作る時に、パーツを分解して綺麗に洗って始めるのがものすごく大変なんです」とジェレミーさん。

このドイツのクリスチャン・カール製の手作り銅製蒸留器、愛称「April」は、世界的に最高級の蒸留器を供給する140年の歴史を持つ家族経営のメーカーによって作られたもの。「April」という名前は、香港の蒸留所を設立するというアイデアが最初に生まれたのが、2017年4月だったことに由来したのだそう。寒い冬が終わり、新しい命が芽吹く春のように、「April」は新しい始まりを意味し、また、未踏の地に足を踏み入れる彼らの決意を象徴しているそうです。

実は彼らがこの蒸留器をドイツから購入した時に、蒸留器の組み立てやこの機器を使った製造プロセス全てを彼ら自身で手探りで行わなければならず、試行錯誤の末に立ち上げまでに合計16ヶ月も要したとのこと。根気と情熱と信念があってこそですね。

新作のギフトボックスには陶製でできたオリジナルカップも付いてくる。

【2026年に発表された新商品】

猫のイラストのラベルで展開されているCATNIP Tea Gin シリーズで、今回、新しく発表されたのが「CATNIP Tea Gin No. 3 -「鴛鴦」」。

このシリーズの第3弾でもあるCATNIP Tea Gin「鴛鴦」(インヤン)」は、今回はお茶に加えて、なんと、コーヒーをマッチさせるという型破りな選択をチョイス。ジュニパー、レモン、ライム、ローズ、リンゴからなるジンベースに、繊細な香りの毛峰ジャスミン茶とより深く濃厚なジャスミンパール茶、二種類の高級ジャスミン茶を注入。これに、地元で焙煎されたエチオピア アルベゴナ・シダマ ELTO 74158ウォッシュドコーヒーを交わらせました。その結果、あんずのフルーティーで甘酸っぱい華やかな香りと、優しいフローラルな香り、そしてアールグレイの爽やかで気品あふれるシトラス系の香りが複雑に絡み合ったジンを生み出しました。

N.I.Pで発表されているジンのどれもが、繊細で微妙な変化なのに、全て特徴がありおいしい。なぜこれほどまでに様々な素材が交わっても、美しく均衡が保たれ、それ以上に目が覚めるような洗練されたジンになるのか。これはN.I.Pの調合師のニックさんの天性の才能としか言いようがありません。香港人に愛されるお茶とコーヒを混ぜた茶餐廳(チャーチャンテーン)で飲まれる鴛鴦が、まさかジンでも表現されるとは! 今後、香港の顔とも言えるジンになりそうですね。

ラベルに描かれたお互いを気にも留めていない飄々とした風貌の猫と犬は、猫がお茶を、犬がコーヒーを持っています(笑)。これは鴛鴦を表し、違うキャラクターでも上手く力を合わせることで、より新鮮で楽しく、素晴らしいものに生まれ変わる、そんなことを絵に託しているようです。

N.I.Pは、彼らの情熱やバックストーリーの想いが見事に反映されたジンであると共に、例えストーリーを知らなくても、香港らしい素晴らしいスピリッツに多くの人が魅了されるはず。ぜひ氷にジンを注いでジントニックを作り、国境を越えた友人たちと肩を並べ黄金色のグラスを片手に、楽しい時を過ごしてみてください。

*香港での購入は、ParknShop Group, Dairy Farm International, City’super, Hong Kong Liquor Store, Sogo, and HKTVmallなど。香港国際空港の免税小売業者「Duty Zero」で、唯一の「香港製」スピリッツブランドとして取り扱われています。

 

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