2026/04/16
Courtesy of HKIFFS
4月1日から開催された香港国際映画祭(HKIFF)、盛況のうち12日に幕を閉じました。期間中は世界各地から映画業界の関係者や映画ファンが集結、選りすぐりの名作が連日連夜上映されるなど、映画ファンにとって銀幕の魔法に酔いしれる至福の祭典となりました。映画祭の目玉の一つは世界初、アジア初、あるいは香港での公開が初めてとなる、いわゆる「プレミア上映」。これらの上映をまるでマラソンのように追うのは、香港はもちろん、世界各国から集まった報道メディア。この度、Hong Kong LEIもプレスとして取材を敢行。以下、話題作のプレミア上映とその記者会見の様子をお伝えします!
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4月2日:『我們不是什麼』(英題:WE’RE NOTHING AT ALL)
この日に行われたのは、香港映画界の鬼才ハーマン・ヤウ(邱禮濤)監督の最新作『我們不是什麼』のワールドプレミア上映。会場には主演俳優陣がずらり勢ぞろい。出演俳優のパトリック・タム(譚耀文)、MIRRORのアンソン・コン(江※生)、アンソンビーン(陳毅燊)、レイチェル・レオン(梁雍婷)、キーレン・パン(彭秀慧) など、華々しい面々で豪華絢爛の上映会となりました!
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ステージに登壇したヤウ監督は「物語は少し尖った内容で、登場人物も一般的に見て好感の持てるタイプではない」と語り、キャスティングが難しく、一時は挫折を感じたことがあったことを告白。しかし最終的には「俳優たちの素晴らしい演技があって作品が完成しました」と役者たちを大絶賛! キャスティングについてはHong Kong LEIとのインタビューでも触れています。是非こちらもお読みください。
下の写真は、作品の鑑賞に訪れたMIRRORとERRORのメンバー! 仲間である主演のアンソン・コンを激励し、 翌3日の一般公開を前に、熱量の高い夜となりました。
左からMIRRORのロックマン・ヨン(楊樂文)、フランキー・チャン(陳瑞輝)、アンソン・コン、アルトン・ウォン(王智德)。ERRORのホー・カイワ(何啟華)Courtesy of HKIFFS
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4月3日:『霧のごとく』(原題:大濛)
この日は日本で5月8日から上映予定の台湾の話題作『霧のごとく』(原題:大濛)の香港プレミア上映。会場には主演のウィル・オー(柯煒林)がサプライズで登場! オーディエンスを喜ばせました。
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『霧のごとく』は1950年代、戒厳令下の台湾が舞台。ひとりの少女が、反政府分子として処刑された兄の遺体を引き取るため、台北に向かうストーリーです。兄を探すまでに様々な困難に直面する彼女を助ける、人力車の車夫を好演したのがウィル・オー。兄を殺害された少女と、仲間を失った元軍人の車夫との一期一会の出会いや、逆境の中で芽生える友情を描き出す感動作です。監督は日本でもリメイク版が作られた映画『1秒先の彼女』(原題:消失的情人節)のチェン・ユーシュン(陳玉勲)。台湾のアカデミー賞とも称される金馬奨で最優秀作品賞を含む4部門で受賞した超話題作です。
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ウィル・オーも本作で最優秀主演男優賞にノミネート。台湾の暗い時代を描いたこの物語を、ただの悲劇として終わらせなかったのは、ウィルの実力によるところ大。日本上映にあたっての動画メッセージもいただいたので、Hong Kong LEIインスタも併せてご覧ください!
4月7日 :『Silent Friend』(中国語:寂靜的朋友)
この晩はハンガリーのイルディコー・エニェディが監督し、香港が誇る名優トニー・レオン(梁朝偉)が主演を務めた映画『Silent Friend』の香港プレミア上映。
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香港の宝、トニー・レオンの登壇とあり、上映前記者会見は満員満場! エニェディ監督をスマートにエスコートするジェントルマンなトニーの姿に、海外記者のハートも陥落。欧州のメディアから掛けられた質問に対応する、トニーの英語も見事でした! 的確かつ品のある語彙の選択、発音の美しさ……。その知性溢れる受け答えに、記者団は更にうっとり心酔。スマートさと知性を兼ね備えた、香港が世界に誇れるいい男、その健在さを見せつけてくれました。
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4月8日:『廚師發辦』(英題:The Dating Menu)
この日は美食と愛をテーマにした香港映画『廚師發辦』の世界初上映。監督・脚本のアモス・ウィー(黄浩然)、共同監督のフランキー・チャン(鍾宏杰)を始めとする制作陣とキャストのロー・ジャンイップ(盧鎮業)、レンシ・ヨン(楊偲泳)、レイチェル・レオン(梁雍婷)、クリスタル・チョン(張紋嘉)、キーレン・パン(彭秀慧)らが登場しました!
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出演者の多くも完成作品を観るのはこの晩が初めてとのこと。会場の一般客と出演俳優が同時にドキドキハラハラを共有という、特別な上映となりました。ちなみにこの作品、あらすじから受ける印象とはちょっと異なり、単なるラブコメに留まらぬ深い味わいアリ。ラスト数分の展開にも隠し味が! 上映の際は是非映画館へ!
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4月9日 :『大分瓶』(英題:Spare Queen)
この日はトミー・トム(湯仲星)監督の長編デビュー作となる『大分瓶』の世界初上映! 本作は、日本での公開も控える映画『ラブ・ライズ』(原題:我談的那場戀愛)の制作チームが手がけた最新作です。
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人気女優ステフィー・タン(鄧麗欣)やクリッシー・チャウ(周秀娜)ら豪華キャストが出演、テーマはなんとボウリング。ボウリングを「スポーツ」として観戦するということはあまりないかもしれませんが、そのルールの中に人生の真理がギュッと詰まっていることに、きっと驚かされるはず。
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スポーツへの情熱と現実、そして家族との絆と軋轢……様々な局面で揺れる主人公の姿が心を打つ、涙なしには見られない感動作です。プレミア当日は、男性ボウラー役を演じたMIRRORのアンソン・コンも登壇!
4月12日:『超風』(英題:Cyclone)
第50回香港国際映画祭のフィナーレを飾ったのはフィリップ・ユン(翁子光)監督の最新作『超風』のアジア・プレミア上映。
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リウ・ユーチャオ(劉語喬)、エドウィン・リ(李雨蓒)、ジェニー・スン(孫禾頤)が主演を務める本作品は、異郷の地でセックスワーカーとして生計を立てるトランスジェンダーの生活を描いています。外国人であり、差別されやすい職業に従事し、性的マイノリティーでもあることで、3重に社会の淵に追いやられている主人公の、自己と自由を求める旅とはーー? その映像美とパワフルなストーリーに会場からの拍手が鳴りやまなかったこの作品、50周年となる香港国際映画祭の有終の美を見事に飾りました。
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記者会見でフィリップ・ユン監督は国際映画祭支援プログラムからの助成金を受け、さらに自身でも出資したと明かした上で「お金のためではなく、香港らしい映画を撮りたかった」と作品への熱い思いを語りました。
上映後の舞台挨拶では、メインの出演俳優と並びインティマシー・コーディネイター(注・以下IC)も登壇。タイトな予算という制約の中でもICを起用し、その役割を公に発信。作品における「安全と表現の両立」、監督の倫理面における高い志、そして俳優に敬意を払う姿勢に、会場からは惜しみない拍手が沸き起こりました。
(注:ICとも呼ばれる。映画・テレビなどの製作において、身体的接触や露出を伴うシーンの撮影時に、俳優の尊厳と安全を守るため、事前の合意確認や現場での演出調整を行う専門職のこと)
ⒸLinda Hung-Hom
怒濤の勢いで駆け抜けた12日間。スクリーンから溢れ出すエネルギーと、会場を包む熱狂的な拍手に触れ、改めて香港、そして世界中の映画が持つ「底力」を肌で感じる期間となりました。
今回「プレミア上映マラソン」では社会の深淵を鋭く切り取る社会派ドラマから、日常の機微を軽やかに描くラブコメディー、そして心揺さぶるヒューマンドラマまで、まさに多様な珠玉の作品に触れることができました。プレミア上映された映画の中には、まだ一般公開が決定していない作品もあるとのこと。早期の一般公開、そして日本での上映が決まるよう、期待したいですね!
(人名のカタカナ表記は、基本、既存の作品で使用されている表記に従いました。表記に揺れがある場合や既存の表記が確認できない場合は、便宜上仮のフリガナを付しています。また、本文では敬称を省略しています。)
取材・文:紅磡リンダ(編集部)
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