2022/06/15

コロナ規制も緩和され、6月3日の端午節には恒例のドラゴンボートレースがスタンレーやタイオーで開催されましたが、皆様も香港の風習に習い、ちまきを食べましたか?

規制緩和といえば4月から学校も再開し、カラオケもマッサージも麻雀パーラーも楽しめるようになりましたね。そして何よりも、わたしの大好きな映画も、映画館の営業が解禁になり、最近あちこちで映画の広告を目にするようになってきました!

そんなある日、長男と道を歩いていると、彼が道の向こうのバスを指差し『あ!バットマン!』と叫びました。え?どこ?


『蝙蝠侠』

赤いゴシック体の文字しか母の目には入りません。

バットマンがいる? あ!その横向いてる人?猫みたいな耳生やしてマントしてる変な人がバットマン? 蝙蝠(こうもり)って、そうかバットマンか!

『蝙蝠侠』って、わかりやすいんだか、わかりづらいんだかよくわかりませんけど、でも日本で小さい頃から「あいつの名前は蝙蝠マン」って言われて育っていたなら、わたしもこの広告を見てすぐにそれがバットマンとわかったでしょう。

正直言いまして、幼い頃のわたしはバットマンの『バット』とマイケルジャクソンが歌う「I’m Bad, I’m Bad 」の『バッド』と全然区別がついていませんでしたから、黒い衣装のあいつは『バッドマン』で悪者なんだと思っていました。若干、頭の中でダースベーダーとごっちゃになっていたことも否定しません。彼が蝙蝠の姿をしたヒーローだと気づいた時のわたしはだいぶ大人の階段を上ったあとでした。

そもそもあまり好印象ではない『蝙蝠』。特にコロナウィルスの第5波で社会が大混乱した直後の香港で、事の元凶ではないかと噂されている『蝙蝠』をヒーローにした映画を上映するのはどうなのだろうかと思ったわけなのですが、広告には『震撼大銀幕』って書いてありますね。えぇ、蝙蝠男が町中で暴れるのならば、大銀幕だけでなく私も震撼してしまうと思います。パタパタ羽を振って飛ぶたびにコロナウィルスが飛び散りそうで、息止めちゃいます。

さて、バットマンが蝙蝠侠なら、スパイダーマンは? と、ここで単純な疑問が浮かびませんか? そうです、答えはそのまま、『蜘蛛侠』です。なんだか忍者みたいな名前ですね。そしてそのスパイダーマンが属する『アベンジャーズ』は広東語では『復仇者』となっています。日本の年末に必ずテレビで見かけてしまう『忠臣蔵』のサブタイトルにうってつけですね。『忠臣蔵―47人の復仇者』みたいな。で、その中に一人『蜘蛛侠』なんていうキャラクターがいて、得意技は忍法壁歩き! ニンニン! 漢字で書かれると、なぜか西洋人でなくアジア人キャラクターを頭に描いてしまいます。

では次、蝙蝠侠と共に『ジャスティスリーグ』を組む『スーパーマン』はでどうでしょうか? はい、香港では『正義聯(連)合』の『超人』と書きます。『正義連合の超人』。80年代のスーパー戦隊ロボットアニメのタイトルみたいです。

ちなみに『正義連合』といえば、あの一際輝く女性!皆様もご覧になりましたでしょうか?スレンダーで身長180近くもある、元ミスイスラエルの女優ガル・ガドット主演2017年公開の『ワンダーウーマン』。彼女の神々しい姿が『ワンダーウーマン』のカタカナ名にピッタリだとわたしは思ったのですが、香港でのタイトルは『神奇女侠』でした!(ちなみに中国本土では『神力女超人』ジンリキオンナチョウジン!)

日本で『神奇女侠』などいうタイトルの映画広告を目にしたなら、『邪馬台国の卑弥呼』を想像してしまいそうです。でも香港在住の今でしたら…ワンダーウーマン、“神奇女侠”の名にぴったりくる女性に、わたしは『天后(ティンハウ)』を(勝手に)一押ししたいと思います。

海の神様、天后を祀った天后廟は、地図を見たところ香港内に軽く30以上はあります。スタンレー、レパルスベイ、油麻地など、あちこちでよく目にしますが、くすんだ茶色と金色をメインとした日本の神社仏閣と違い、赤を基調に青やら黄色やらの衣装を纏った神様達が、満面の笑顔だったり、ラーメンマン調の髭を蓄えたりと、なんだか楽しい気分になります。

先日、わたしの大好きな作家、星野博美さんの華南地方旅行記『謝謝 チャイニーズ』を読んで知ったのですが、実は天后は台湾からほど近い中国福建省湄洲島で960年に生まれた実在の人物でした。

日本の卑弥呼のようにスーパーパワーをもっていて、天気を予測したり、遭難した船を助けたりしたのだそうです。天后を信仰している人はここ香港のみならず、海に囲まれたお隣の台湾、マカオにも結構いるのだそうです。そして余談ですが、マカオの名前の由来というのは、この天后の別名、『媽祖(マーコッ)』をポルトガル人が土地の名前と勘違いしたからだとか。

はてさて今回は香港におけるスーパーヒーロー達の名前表記でしたがいかがでしたでしょうか。

わたしたち凡人は蝙蝠マンのように空を飛ぶことも、蜘蛛男のようにビルからビルへと飛び移ることも、超人のような怪力も、神奇女侠のような魔法の武器もありません。でも。会社で嫌なことがあっても、子どもがちっとも言うこと聞かなくても、道で知らないおじさんに広東語で怒られても、そんなことにはメゲず、湿度90%気温30度の中を汗をダラダラかきながら、コツコツと、そして時に適当さを交えながら頑張って生きているわたしたちは、十分スーパーヒーローのタイトルに値する、とわたしは思っています!

さ、皆さん、今日もスーパー入口付近で異臭を放つドリアンでも食べて頑張っていきましょう!

それではまた次回。

 


小林杏 (Anne Kobayashi)


東京都出身、青山学院大学仏文科卒。ニュージーランド、日本、フランス、英国での就業経験あり。ロンドンでの出産子育てを経て、2020年に来港。今まで住んできた土地のように、香港も愛おしい場所となりつつある今日この頃。趣味は読書、舞台芸術鑑賞とカンフー映画鑑賞。

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1 件の意見

  • Tomoko より:

    苦手な広東語をこうやって覚えたら楽しく覚えられそうです!多分もう覚えられました。 杏さんのイラストは見てるだけで楽しくて元気になります。超級英雄はがんばってる私だ!とっても励まされました。次回も楽しみにしています。

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