2022/09/25

新学期が始まりましたね!皆様は夏休み、いかがお過ごしになりましたか? 我が家は3年ぶりに日本一時帰国を果たすことができました。香港も好きですが、日本もいいですね! 田舎で山道を行くと『熊出没危険』なんて標識が点在し、近くで葉の擦れる音がするたびに胸の高鳴りが最高潮に達します。スリル満点です。宿の人に聞くと、なんと『出ますよ。鍋にして美味しくいただいてます』とのこと。香港の山道には蛇が出、そして蛇を食す習慣がありますが、日本も山道グルメに関していい勝負のようです!

 

さて、1ヶ月の長きに渡り日本に帰っていたと言うこともありまして、今回はいつもとちょっと趣を変え、香港人からみたおかしな日本語漢字について書いてみようと思います。

 

日本が大好きな香港の友人とわたしとは、週に一回、日本語と広東語の交換レッスンをしていました。そんなある日、彼女がわたしに「ねぇ。ダイジョーブって表現、変だと思わない?」と聞いてきました。質問の意味をはかりかねたわたしは「広東語で言うところの、冇問題(無問題、モーマンタイ)ってことだよ。あとは、『唔要』と言いたい時にも使えるね。そういう時は『要りません』と言う表現も使えるよ」と答えました。すると彼女「それは知っているけど、漢字をよく見てみてよ。『大=Big 』『丈=Macho』『夫= Guy』じゃない?」というではありませんか。

 

大丈夫と書いてBig Macho Guy。。。え!?

 

母国語がゆえ、彼女にそう言われるまで『大丈夫』と言う表現について、漢字を分解して考えたことなんて一度もありませんでした。

調べてみると、もともと中国からやってきた表現で『立派な成人男子』、つまりBig Macho Guyとそう遠くない意味だったらしいのですが、日本ではそこから意味があちこちに派生して今のような使われ方になったとか。Big Macho Guyがついているから、なんでもオッケー、細かいことは気にすんな!ってところでしょうか。


SMSで届いた日本でもお馴染みのイオンカードの広告。香港でも日本語表現『大丈夫!』がだいぶ浸透してきているのでしょうか。

 

すると彼女「あと、その『要らない』と言いたい時に、『結構です』とも言うでしょ? あと、品質が良い時も『結構ですね』って。それも変。結構って、漢字よく見てみて? どこに『必要ない』なんて書いてある? どこが『良質』? これ、英語で言うとストラクチャー、つまり構造、ってことでしょ?」

 

母国語を教えると言うのは難しい、と痛感しました。正直そんなこと考えたこともありませんよ。もう『そういう表現ですから、丸ごと暗記しましょう』と澄ました顔をして逃げるしかありません。

 

そんなわたしに彼女はまだ続けます。「あとさ『お邪魔します』とかすごい表現よね? ちょっと人の家に上がるだけなのに “私はあなたにとって邪悪な魔物になります” と言うわけ? そんな人来たら、怖いわ。」

 

ごもっとも。そんなにへりくだらなくても良いですよね、ちょっとおうちに上がるくらいで……、ねぇ。

 

何も説明できることもなかったので、「あなたのいうことは面白いね。」とわたしがお茶を濁すと、またもや、「その『面白い』って表現もおかしいでしょ? 何が白いって言うの?」と! 「え……。何が白いって……。ツラ? フェイス?」思わずわたしが質問をしてしまったではないですか。もう全く日本語の先生失格です。

ちなみに『面白い』の広東語訳を調べたら『好笑』と出ました。見ているだけで楽しくなる表現ですね。

 

いつも香港での漢字表現は直球ストレートで『面白い』な、なんて見ていましたけど、逆から見れば、日本語の表現は漢字本来の意味からかなりぶっとんでしまっている、というわけですね!

 

そんなわたしの楽しい日本語広東語の交換レッスンは、この夏、彼女たち家族が豪州に移住したことによって続けられなくなってしまいました。

香港では国家安全法の施行に続き、厳重すぎると言っても過言でないコロナ対策を背景に大量の人口流出がおき、2022年8月のブルームバーグの記事によると、ここ1年で彼女達のように離港した人は実に12万人にも上るそうです。

これはわたしにとっては単なる数字ではなく『毎日顔を合わせていた友人達の何人もがこの新学期からいない』というとても寂しい現実です。

 

彼女という強力なアドバイザーがいなくなって、わたしはこのコラムを続けられるのだろうか……。そんな不安を抱えた私に彼女は「『大丈夫』よ!何かあったらチャットでもビデオ電話ででも聞いて!」と心強い声をかけてくれました。

 

今、Radwimpsの洋次郎くんが「君の大丈夫になりたい」と澄んだ声で歌うのを聞きながら、大きくてマッチョな男ではないけれど、彼らがわたしの心の中の『大丈夫』でいてくれているように、わたしも彼らの心の中の『大丈夫』でいたい、離れてもそんな友情が続くことを願うのでした。そして数年後、彼らの新居に『お邪魔』できたらいいな。

さ、これからも『面白い』コラムを書き続けるべく頑張るぞ! みなさまもお時間があるときで『結構』ですので、ぜひお付き合いをお願いしますね!

 

ではまた次回!


小林杏 (Anne Kobayashi)


東京都出身、青山学院大学仏文科卒。ニュージーランド、日本、フランス、英国での就業経験あり。ロンドンでの出産子育てを経て、2020年に来港。今まで住んできた土地のように、香港も愛おしい場所となりつつある今日この頃。趣味は読書、舞台芸術鑑賞とカンフー映画鑑賞。


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