2026/05/14
1年半ぶりでございます。「最近、コラムのネタがなくてね〜」と友人に話したら、「常用漢字だけでも2,000字以上あるんだから、へこたれるな!」と喝を入れられた小林杏です。
昨年の夏は参議院選挙がありましたが、わたしは日本にいないので、選挙カーやウグイス嬢、たすきをかけた候補者の演説などを目にする機会は滅多にありません。しかし、ここ香港の薬局で、やけに候補者ポスターみたいなやつが目に飛び込んできました。

「無比男敏治、ムヒオ・トシハルに、皆様の温かいご支援と、清き一票をよろしくお願いいたします!!」
力強いパッケージから、声まで聞こえてくるようです。
「For Men」と、フェミニストには人気がなさそうな候補者な気もしますが、でも敏治は「爽快、清涼、クール!」に頑張っている模様。
箱を元に戻そうとすると、そんな敏治を影からそっと見守っている女性がいることに気づきました。

MYCOSAN。……舞子さん?
舞子さんは、フランス人実業家の父と、京都の芸妓の母の間に生まれた一人娘。幼い頃から、その美しさは群を抜き、道を行けば人々が振り返るほど。そんな彼女は、若い頃、モデル『MYCOSAN』として活躍しておりました。……なぜ「さん」づけなのか? などという細かいことは気にしないでください。
彼女の両親は「うちの大事な舞子に変な虫がついては困る」と、常々心配していたのですが、そこに「彼女を、変な虫刺されから守るのは、僕を置いて他にいない!」と現れたのが、無比男敏治だったわけです。そして「痒いところにも手がとどく」気の利いた男である敏治は、MYCOSANとご両親のハートを射止めた……。
さて、『無比男敏治』のオチですが、よく見るとパッケージには、『無比』で『男』の『敏』感な部分を『治』す、と書いてありました。実はこれ、日本では「夏は股間がかゆくなる」のCMでお馴染みの『デリケアM’s』という製品なんですね。
『MYCOSAN』の方は、おしとやかな女性像とは裏腹に、パッケージには「足についた真菌。滅殺!!」と書いてあり、水虫などに使うお薬なのだそうです。
薬局の痒み止めコーナーで、愛の物語の妄想が突っ走ったわたしですが、ヘアケアコーナーにも気になる商品があったので見に行きました。

拡大写真がこちら

女、貞子!
「白髪予防には貞子! 女は貞子で綺麗になる!」みたいなことが書いてある感じがします。
今まで「貞子」は、わたしの中では、ホラー・キャラでしかありませんでしたが、視点を変えてみれば……。確かに、映画『リング』で井戸とかテレビとかから這いずり出てくる貞子の髪、漆黒色! 最近、老いと共に白髪が気になっている身としては、貞子の髪の毛、めっちゃ豊かで黒くて、いいじゃん! 羨ましいじゃん!
調べてみました。
「女貞子」は、女、貞子ではなく、中国語で女貞(ジョテイ)の子(実)という意味でした。漢方として使われるこの女貞子には強壮、強精、白髪の改善など、さまざまな効能があるのだそうです。ちなみに女貞の日本語は、「トウネズミモチ」。唐(中国)のネズミモチということでしょう。なぜ、「ネズミ」なのかというと、実がネズミの糞に似ているからなんだとか。写真を見ると、確かにそうですね。
『リング』といえば、主演は松嶋菜々子でしたが、香港人は、日本人女性の名前に「菜」の字が入っているのが不思議なのだそうです。「なんで、女の子に野菜みたいな名前をつけるの?」と。
え?……菜々子も小松菜も白菜も同列ですか!? なんてこった。日本人が「菜」から「菜の花」のような愛らしさを連想するのに対し、香港人の皆さんは、八百屋の軒先に並んでいる緑を連想してしまうようです。
『菜』の文字から香港人が想像するのはこちら。葉っぱ系の野菜類です。
名前といえば、最後にもう一つ。

こちらは湾仔にあるデザート屋「晶晶甜品」で、英語表記は「CHiNG CHiNG desserts」。そりゃもう店の前で、うちのクレヨンしんちゃんみたいな小学生達が「ママー!! ちんちんデザート!!」と絶叫しないわけがありません。
入ってみると、出されたのは香港式デザートが百以上はあろうかという豊富なメニュー。それらはまるで、漢字「晶晶」が表すように、多種多彩の宝石がキラキラと光り輝くようでありました。子ども達も大喜びで、一緒に目にも口にも楽しいひと時を過ごしてきました。

5月。香港も暑く湿度の高い日が増えてきますが、まだまだ街歩きができる季節。ぜひ外に出て、面白い漢字を探してみてくださいね。おお、これは! というのがあった場合は、ぜひ、LEI編集部までご一報くださいませ!
小林杏 (Anne Kobayashi)
東京都出身、青山学院大学仏文科卒。ニュージーランド、日本、フランス、英国での就業経験あり。ロンドンでの出産子育てを経て、2020年に来港。今まで住んできた土地のように、香港も愛おしい場所となりつつある今日この頃。趣味は読書、舞台芸術鑑賞とカンフー映画鑑賞。
Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。
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