2024/05/08
こんにちは、キリです。
5月は、皆さんに知ってもらいたい貴重な展示会があるので、「キリ流香港散策」は今月すでにコラムを公開しましたが、もう一つ散歩をシェアしたいです!
香港史学会という団体が、石峽尾駅近くのJCCACで「欣賞裙褂展覽會 Traditional Chinese Wedding Outfit (Kwan Kwa) Show」を開催しました。
香港史学会の頭牌
展示会は入場無料です。土日の12:00-16:00は裙褂の試着、記念撮影もできます。全て無料です。
裙褂(kwan gwa)は、香港で花嫁が着る伝統的な婚礼衣装のことです。つまり、日本の白無垢と色打掛のような存在です。
時代は20世紀のはじめ。清国の旗袍(日本ではよく知られるチャイナドレス)を改良してデザインされた裙褂。
書き方のほうは、「褂」の見た目は「掛」に似ていますが、アクセントはちょっと違います。「褂」は上着を指し、「裙」はスカートを指します。合わせて「裙褂」です。上下が分かれている衣装です。
今は結婚しても、裙褂レンタルがメインですが、昔は「繍荘(しゅうそう/刺繍をする店)」で大金を払って職人を頼むことになっていたそうです。お金がない家庭では家で手作りすることもありました。ジッパーがまだできていない時代は、「花鈕(はなぼたん)」を使っていました。それは、今のチャイナドレスでもしばしば見られます。
1930年代の花鈕
繍花褂:民国時期の民間で1番古い褂で、家庭の手作りの場合もあります。
龍鳳褂:民国時期褂に龍と鳳の刺繍を入れ、金銀の糸で刺繍するのが流行っていました。
1960年代前、褂の真ん中のボタンには20センチの紐が2本付いているデザインが人気でした。それは「子孫帯」と言い、「子宝に恵まれる」の願いが含まれています。
褂の真ん中に花鈕と子孫帯
孔雀褂:1970年代、中国大陸は龍鳳が帝政を代表するという理由で使用を禁止しました。その代わりに孔雀が使われました。しかし、広州や香港は禁止していなかっただけでなく、刺繍の技術も発達しつつありました。
民国の頃から1950年代には伝統の色合わせは「上黒下赤」がメインでしたが、1970年代から上下赤が人気になってきました。
1950年代の紅黒褂全身
珠片褂:日本語で言えば、「ビーズ織」、「ビーズ刺繍」の意味です。「珠片」は「ビーズ」の意味です。香港の繍荘が1960年代からコストダウンのため、ビーズ刺繍のキラキラ裙褂が発展しました。今までの金銀糸よりずっと安いといいます。
金銀糸の使用によって、高級感が違います。もちろん、制作時間や値段も異なります。
簡単に言うと、金銀糸の面積が大きければ大きいほど高価です!
90%以上は「褂皇」(制作時間1年半以上)
85%以上は「褂后」(制作時間1年)
75%は「五福褂」(制作時間9か月)
50%は「疏金紅」(制作時間半月)
褂皇
疏金紅
近代(1970年以降)ミシン刺繍とビーズ織を混ぜて、シンプルなデザインが多いです。見た目は金銀ではなく、赤のイメージです。
このスタイルの裙褂は縁起の良い名前があります。「珠聯璧合」です。
展示会は昔のハンドメイド刺繍と今のミシン刺繍を共に展示します。龍の立体刺繍を触ってみたら、今の技術の素晴らしさがわかります。
ハンドメイド刺繍の孔雀
ミシン刺繍の龍
展示会は裙褂をはじめ、昔新婦が使っていた小物まで展示していました。日本は扇子と筥迫(はこせこ)のセットがあり、裙褂も専用カバンや礼金袋など、ありました(現代も使われているかどうか、わたしはよくわかりますん。隣の人がものをもってくれるはずなのに?)。
目玉展示品は以下です!
① キティちゃんコラボ裙褂
サンリオさんから正式なライセンスをもらい、作られたキティちゃんの裙褂。たしか昔話題になって、新聞紙で読んだ記憶があります。
現代物なので、ジッパーで着ます。花鈕はありません。
② 裙褂バービーちゃん
本格的な繍荘が作ったミニ裙褂を着せ替え人形のボディに着せています。こんな小さい裙褂を作るのは職人の技術の挑戦に違いありません。
入場の際、裙褂の葉書が配られます。無料なので、ご安心下さい。
葉書と記念写真
最後は、土日限定の無料裙褂体験と無料記念写真です。12:00-16:00しかできないので、ご注意下さい。
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香港史學會主辦、鴻運繡莊合辦
「承傳手藝:欣賞裙褂展覽會」
展 期:2024年5月3日至20日
開放時間:上午十一時至下午六時三十分(週六及假日延至七時)
地 點:石硤尾白田街30號賽馬會創意藝術中心 (JCCAC) L0藝廊
承傳手藝:欣賞裙褂展覽會(即日至5月20日)… – 香港史學會SOCIETY OF HONG KONG HISTORY | Facebook
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キリ
日本語教師で旅行作家。唎酒師と観光ガイド資格。特に日本が大好きで年に10回以上は訪れる。著書に『Kiri的東瀛文化觀察手帳』(2017)、『日本一人旅』(2019)、『爐峰櫻語』(2022)がある。香港の誠品商務三聯などの書店で購入可能。
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