2019/07/15
新米ママの香港子育てひとりごと
4月から本帰国になり、5年ぶりの日本での新生活が始まりました。
引っ越し初日。電気が夕方までになんとか通ったもののガスは出なかったので近くで夕飯を済ませよう、と1番近いこじんまりしたフレンチレストランに入ろうとしたら早速の入店拒否。赤ちゃんはダメとのこと。
噂で聞いていた日本の子連れへの厳しい洗礼を初日に受けました。美味しそうなお店だったのにな。
と、ふと。
そういえば産後半年の間で、香港で子供を連れていて「迷惑をかけて申し訳ない」とか「子連れで大丈夫なお店かな」などと考えたこともなかったことに気づきました。
振り返ると、レストランは親切な対応をしてくださるところばかり。率先して手伝ってくれたり、「何歳?かわいいね〜」などと温かいことばをかけてくれることの方が多かった印象です。(ローカルのお粥屋さんも、ホテルの三つ星中華も同じようにフレンドリーでした!)
この差は何だろう。
先日、日本でママ友と夕方の6時ころに電車の乗ったとき。彼女はベビーカーできていたこともあってかラッシュの電車にとても申し訳なさそうに乗り込み、周りの人にベビーカーが当たらないように気を配り、少しでも子供が泣くとすみません、すみません、と言っていて…
もちろん公共の場。混雑時は赤ちゃんにも周りの人にも気を配って乗るのがマナーですが、そんなに肩身の狭い思いをしながら電車に乗らないといけないのかな、と違和感を覚えました。
香港にいたころ、わたしもベビーカー移動のときはラッシュの時間帯は避けていましたが
ある日、夕方4時前だからまだラッシュ前だと思って電車で帰ろうとホームに向かうと突然黒山の人だかり。列車の故障があったらしく、電車が来ない状況が続いているようでした。
改札までも戻るにも戻れず、少しずつ動き出した電車に乗るしかないなと覚悟を決めて乗る直前で、前にいた中高年の男性がベビーカーを電車に乗せるのを手伝ってくださり、すし詰めの電車の中でも押されないように身体を張ってスペースを確保してくださりました。
これだけではなく、タクシーの乗り降りや、香港特有の段差の多い場所などでも通りすがりの方がスッときて手伝ってくれて助かったことが何度もありました。
うーん。やっぱりこの差は何なんだろう。
ベビーカー問題。
このキーワードで検索すると、いろんな意見があることがわかります。
混んでいるときにスペースを取って邪魔、危ないことをわかってて乗るな、ストレスフルな車内で泣きわめく声が迷惑、ベビーカー優先が当たり前って顔して乗ってる…などなど。
いろんな立場からの意見はどれも間違ってはいないと思うのですが、
「子どもは宝」
香港の人たちに根付いているこの考え方が日本でもあれば
子どもが居ようが居まいが、男性であろうが女性であろうが、たとえどの立場にいようとも然るべき行動や対応ができるのでは、と思いました。
香港人が日本の公共機関を使って驚くのは、日本人がお年寄りや子連れの人に席を譲らないこと、と聞いたことがあります。
わたしの子どもの頃は、田舎なこともあり隣近所との繋がりやおじいちゃんやおばあちゃんも近くに居てくれて、そのコミュニティで子どもなりに「小さな社会」を学ぶ機会がありました。
その中で、世の中にはいろんな立場の人が居て、困っている人がいたら助ける、手伝う、といったことも自然に身につけていった気がします。
都会ではそういうおつきあいも希薄ですよね。特定の人としか関わらなくなって、手伝ったり助ける機会も少なくなっているのかもしれません。
日本でも親だけでなく社会全体でこどもを育てよう、という動きもあるようですが
今はただ、ベビーカーに乗ってる子どもに「君はなんにも悪くない。堂々としていたまえ!」と心で唱え、母はそろりそろり電車に乗り込む日々です。
香港の他人に施す親切心と日本の防犯力を合わせたら、子連れママにとってかなり住みやすい街になりそうだなぁ。。。
「初めて息子と一緒に桜を見ることができました」
筆者プロフィール: 砂賀美希
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