2025/05/31
映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦！ 九龍城砦』の世界を表した映画セットが、映画の舞台である九龍城砦跡地の九龍寨城公園で展示公開されています。香港最大規模の映画セットで、「九龍城寨：映画の旅（Kowloon Walled City：A Cinematic Journey）」展として今後３年間に渡り開催されます！ 1980年代の九龍城砦の雰囲気が体感できる展示です。今回は今香港で一番ホットな「九龍城寨：映画の旅」展を、前半に続き徹底的に解説します。これを読めば、より深く楽しめること間違いなしです！
前半はこちら。
では、まず簡単な見取り図のおさらいから。
会場は８つの展示室に分かれています。
１ページ目
１、伝統的な花牌
２、食料品店、整骨院
３、魚団子工場
４、歯科クリニック
２ページ目
５、城砦の光と影の屋上
６、秘密の路地
７、理髪店
８、七記冰室
５、城砦の光と影の屋上
九龍城砦の屋上は迷路のようにつながっていました。狭くも活気に満ちたこの空間では、住民たちが洗濯物を干したり、涼んだり、おしゃべりをしたり、また子どもたちが追いかけっこをしたりして遊んでいました。竹製の椅子に座り、屋上から見える街の灯りを見てくつろぐ人もいたそうです。
でも、この屋上から見える景色の中で一番独特だったのは、やはり轟音を響かせながら、建物の高さギリギリに飛んでいく飛行機だったことでしょう。
展示では、昼と夜の九龍城砦の暮らしを映し出す大きなスクリーンと共に、カイタック空港に向けて低空飛行する飛行機の轟音が聞こえます。ぜひ臨場感あふれる当時の生活空間を体感してください。かつてのカイタック空港の跡地周辺には現在、空港名を冠にした「カイタック・スポーツ・パーク・モール」と玉蟲色の巨大なスタジアム「カイタック・スタジアム」ができています。
映画では、この屋上が最後の決闘舞台となります。
６、秘密の路地
プラスチック成形工場（前回の展示では一部が公開されていました）
九龍城砦は自給自足のコミュニティーでした。狭い路地には仕立て屋、靴修理店、家電修理店、プラスチック成形工場などの小さなビジネスがひしめいていました。職人たちは自らの技術で生計を立て、家族経営の店は昼夜を問わず忙しく働いていました。住民たちは、狭苦しい住居の中で生活を築いていました。
昼間、子どもたちが遊び、露天商が物を売る路地は、夜になり明かりが灯ると、屋台から立ち上る、温かい料理のいい匂いが充満していました。
現在の香港でも、路地などに小さな屋台を発見することができます。
映画では、1980年代の城砦の混沌と無秩序を鮮やかに再現しています。そこに、どんなに困難な状況でも、活路を見いだし、あらゆる逆境に立ち向かう香港人の精神を見ることができるでしょう。皆さんはここに足を踏み入れて何を思うでしょうか？
７、理髪店
こちらは前回の展示でもみることができたセットです。
８、七記冰室
こちらも前回の展示でもみることができたセットです。
映画に登場する七記冰室は、キュウ・ジェンフ（喬靖夫）が演じる双剣使い「阿七」のお店です（店名は、店主の名にちなんでいます）。ロンギュンフォンの兄弟分である彼の店は、質素ですが、住民達が日々集う、賑やかな憩いの場所です。また脂身と赤身の層が絶妙な叉焼に目玉焼きの添えられた叉焼飯（チャーシュー飯）は、店の名物。主人公チャン･ロッグワンが、ここでロンギュンフォンに叉焼飯をご馳走してもらい、空腹のあまり急いで掻き込むシーンはとても有名になりました。
香港ではあちこちでおいしい叉焼飯が食べられますので、ぜひ皆さんもトライして見てくださいね。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。今回のような映画セットを作るセットデザイナーや職人たちは、セットを作るだけでなく、新しいものを使って古いものに見せるという年季や時代を感じさせる緻密な作業をしています。細部にわたり、香港愛が感じられる細かな小物の配慮や、丁寧に作られたことでリアリティーが増したセットは、映画のもうひとつの主役でもありました。皆さんも「九龍城寨: 映画の旅（Kowloon Walled City：A Cinematic Journey）」展を訪れたらぜひ細かいところまでしっかりじっくり見つめて映画の世界に浸ってみて下さい。
開催：2025年５月24日より３年間開催予定です。
営業時間：
2025年5月から8月までは9:00から19:00まで
2025年９月以降は9:00から18:00まで
現在は整理券を配布しています。
（2025年５月現在はかなり混雑している模様です。整理券を取得後１〜２時間待ちという話も。また１回のチケットで15分の入場となります。グッズ販売あり）
会場：Yamen, Kowloon Walled City Park / 九龍寨城公園衙門（標識に沿って進んでください）
ソンワォントン（宋皇臺）駅、B３出口から徒歩７分。駅の改札からB３出口までは徒歩10分程度。
入場料：無料
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参考資料
展示会ガイド
クレジット（写真含む）
Cultural and Creative Industries Development Agency（CCIDA）
Film Development Fund
香港政府観光局
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