2022/08/20

このコラムの題名でもある、「しなやかな心」。今回は、わたしがこの題名に込めた思いを、「レジリエンス」という言葉と共に紹介したいと思います。
わたしが心理学に興味を持ち始めたのは、小学校高学年くらいだと思いますが、当時から、「人と人との違い」に強い興味を持っていました。そして「なぜ、同じ悲惨な境遇や悲しい出来事を経験しても、そこから回復できる人とそうでない人がいるのか」という事を考えるようになりました。その後、わたしのこの疑問を解く鍵は、大学で学んだレジリエンス研究(人間の発達にマイナスの影響を与えるであろう状況下でも、肯定的な対処法を用いて適応を可能にし、その状況を跳ね返し成長するために個人が発揮する能力の研究)にあることに気づきました。

お子さんがいる家庭では、コロナ禍において、学校から送られてくるお便りや資料などの中に、「Resilience」という単語を目にする機会が多かったのではないかと思います。日本語では、 「回復性」「弾力性」などと訳されることが多いレジリエンスですが、まさしく「しなやかな心」のことだなと思います。
では、この「レジリエンス」は、実際にどのような能力のことを指すのか、また、どのように高めることができるのかを具体的に見ていきたいと思います。

【他者に助けを求めることができる力】
苦しい状況や、困難な事が起こったとき、自分の問題を打ち明けられる存在がいる人は、レジリエンスが高いと言われています。問題解決のために、他者に意見を聞くといった、サポートを求める行動力も重要です。例えば、大切な人を亡くした人のためのサポートグループや、アルコール依存症のための自助グループを利用したり、心理カウンセラーに助けを求めたり出来る人は、レジリエンスが高い人と言えます。

【問題に積極的に取り組むことができる力】
困難な状況に陥ったとき、自分のおかれた状態、現在すべき行動や目標などについて、現実をしっかり把握して判断できる人は、レジリエンスが高いと言えます。
その為には、自分の感情について知り、受け入れることも大切ですが、自分がその問題にどう対処できるかを検討することも大切です。
もし、問題が大きすぎるのであれば、細分化してみましょう。サポートグループや自助グループへの参加など、定期的に行える活動に参加することも助けになります。達成できないことに目を向けるのではなく、「今日できること」を探してみましょう。目標や自分の気持ちが上向きになるようなことをメモし、よく目にする所に貼っておくことも助けとなります。

【未来を肯定的に捉えることができる力】
いま抱えている問題が未来にどう影響するか、肯定的に捉えることも、レジリエンスの高い人に共通して見られる特徴です。また、そういう人は、自分の能力や成長への信頼感、希望が高いため、困難な出来事が自分を成長させるという強い信念があります。
起こった出来事が未来を決める測りではありません。困難な状況を変えることは出来ないけれど、そのことに対する解釈と反応は変えることが出来ます。また、変化を人生の一部として受け入れることも重要です。ポジティブになることは簡単なことではありませんが、楽観的になることで良いことが起こる可能性はあります。過去のストレス状況において、どんな人や物事が助けとなったかを振り返り、そうした経験から何を学び、自分が強くなったかを自分で再確認することで、新しい困難な状況に効果的に対処する方法が見えてきます。

【自己をコントロールできる力】
レジリエンスが高い人は、自分が抱えている葛藤に影響されることなく、根気強く日常生活を送ることができます。自己コントロールとして、健康に関心を向けることもその一つです。
ストレスは心身共にダメージを与えるため、良質な睡眠やエクササイズなどに気を配ること、ヨガや瞑想などによって、自分自身のポジティブな側面や自尊感情を思い起こすことが重要です。アルコールや薬物などで痛みに蓋をしようとしないこと、感情を無視するのではなく、ストレスに対処するための、自分自身の「リソース(資源)」※に目を向けることが重要です。

台風の日のビクトリアハーバー。嵐の日でも運行するスターフェリーに、何か強さと安定感を感じたのと、水面に打ち付ける沢山の雨が弾ける様子が綺麗で、「弾力性」と表されるレジリエンスを彷彿とさせました。

「しなやかな心」、わたしは、この心の在り様こそが、最強の心の在り方だと思っています。イメージとしては、芯がありつつ、柳のようにたゆたうことができる、決して吹かれてしまったり、流されたりすることは無いけれど、強い圧力がかかっても、その流れに順応できる心、といったところでしょうか。
カウンセリングは、何を自分の「リソース(資源)」とみなし、いかにその能力を高めるかを検討する場でもあります。社会の物事のほとんどが白か黒かでは収まらず、複雑な状況を生き抜かなければならない現代人こそ、レジリエンスを高め、しなやかな心で生きていくことが必要とされているのではないでしょうか。そして年齢関係なく、それぞれの生きる世界でこのような生きる力を培うことができたらもっと生きやすくなると思います。
そうなるためのサポートをするのがわたしたちカウンセラーだと思っています。

※ここで言う「リソース(資源)」とは、個人が持つ能力や資質、特性だけでなく、個人を取り巻く環境や経験、可能性をも含めた活用可能なものを指します。


河合 まり絵

臨床心理士。日本ではスクールカウンセラーとして、不登校児童や別室登校児童、発達に偏りのある児童への心理的サポートや、精神科クリニックで、パニック障害、PTSD、うつ病、摂食障害などの個別カウンセリングを実施。リワーク外来では、精神疾患などで休職中の患者に対し集団療法を、また、復職後の企業内フォローアップ・カウンセリングを実施。刑務所内では、グループ矯正教育をするなど、教育、医療、産業、司法の分野で臨床経験を積む。香港に移住してからは、3児の子育てに追われるも、縁あって精神科クリニックに復職。

 

OT & P Healthcare/ Mind WorX Clinic
MindWorXはOT and P Healthcareが運営する精神科専門のクリニックです。
中環駅(セントラル)から徒歩2分の場所に位置しており、簡単な日本語を話せる医師と、日本人の臨床心理士が在籍しておりますので、薬の処方と共にカウンセリングを並行して受けることが可能です。投薬はしたくないけれど、カウンセリングを受けたいという方もご相談下さい。

以下のようなことでお困りの方は、是非、一度、ご相談下さい。
・夜、なかなか眠りにつけない、または、朝、早くに目が覚めてしまいすっきりしない
・不安や心配な気持ちがいつも頭を離れない
・過度に食べ過ぎてしまう、または、食欲がない
・子育てに疲れている
・コロナ禍でストレスが溜まっている
・夫や妻、パートナーや他者との関係に悩んでいる など

初回予約の際に日本語でのサポートが必要な方は、marie.kawai@otandp.comにemail を頂ければ、日本語での対応が可能です。

Mind WorX Clinic
OT&P – Internationally Accredited Medical Clinics in Hong Kong (otandp.com)
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中環徳己立街1號世紀廣場6樓
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