2023/06/06

時は6月、既に2023年も折り返し地点に入りましたが、皆さん、体調は如何お過ごしでしょうか。わたしの周りでは、5月から長期に渡って風邪をこじらせたり、COVIDに複数回、感染する方も……。
日本では、昔から「5月病」と言い、ゴールデンウィーク明けに不眠や食欲不振、めまいや頭痛、原因不明の疲労感など、心身のバランスを崩す方が多いと言われていますよね。学生にとっては、4月は新しい学校への進学、進級後のクラス替えがあり、大人にとっても就職や異動、新しい職場での奮闘など、普段以上のストレスがかかりやすい時期のため、蓄積した疲労が5月の連休明けに出やすいことが原因と言われています。
このような時期に起きる心身の不調は、環境への適応が問題となる、「適応障害」の側面が大きいですが、まさか香港でも似たような現象があるのか!? とふと疑問に思い調べてみました。「5月病」というのは日本特有の呼び方であり、同じような症状が、韓国では新年度の始まりである3月に、欧米では学期始まりの9月頃やクリスマス休暇明けの1月に多く報告されているようです。香港も学校の新学期は8月半ばから9月にかけて多いことを考えると、周りで勃発しているこの体調不良は、単に気候の変化ということになるでしょうか。

気候は人々の性格にも影響を与えますし、その結果、心の健康にも影響があることは、様々な研究結果から分かっています。「香港は花粉症の心配がないから4月が怖くない!」とか、「日本の冬の乾燥が辛くて冬は香港で過ごすようにしている」などと聞くと、やはり気候と気持ちの在り様は密接に関係しているんだなと実感します。

天気に伴う体調や気持ちの変化には、いくつかの原因があると言われています。以下、代表的な原因を挙げてみましょう。

【気温や湿度の変化】

わたしたちの身体は通常、気温が高くなると汗をかいて体温を下げ、寒い時には身体を小刻みに震えさせることで体温調整を行っています。しかし、高い湿度や急な温度変化によって交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、自律神経が乱れると、その変化に身体はついていくことが出来ず、身体や心にとって大きなストレスとなります。こうしたストレスが長期に渡ると、当然、心身に不調を来します。次にも述べますが、自律神経の不調は、気温の変化だけでなく、気圧の変化によっても引き起こされます。

【気圧の変化】

普段、生活していて感じることはありませんが、わたしたちの身体は常に大気から圧力を受けています。このような「気圧」に晒された中で、血流や内臓機能などのバランスを保っているので、気圧の変動と言うのは、わたしたちが意識している以上に大きな影響を体に与えています。例えば、飛行機の中でペットボトルを開けると吹きこぼれてしまうのは、地上の気圧から、気圧の低い場所に移動したことによります。これが、身体にも起こっていると考えると、台風の接近などによる気圧の乱れは、敏感な人にとっては、めまいや頭痛、肩こりなど、非常に不快で辛い症状を引き起こします。気圧の変化は内耳という場所で感じるため、特に内耳が敏感な人ほど、この気圧の変化を敏感に察知し、体調不良を起こしやすいようです。

【メラトニンやセロトニン物質の不足】

睡眠を誘発するホルモンであるメラトニンは、朝、しっかりと太陽に当たることで、夜に分泌量が増え睡眠を誘発します。また、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンも、朝の日光浴によって分泌を促すことができます。つまり、雨や曇りの日が続くと、太陽光をしっかりと浴びることが出来ないため、メラトニンやセロトニンの分泌に影響を与えるので、睡眠不足に陥ったり、気持ちが上がらずイライラした状態に陥り易いと考えられます。香港は、冬と言えども日照時間も長いですし、梅雨の時期もさほど長くはありませんが、変化に敏感な方は注意が必要です。

最近では、こうした天気によって引き起こされる身体の不調に対し、正式な医学用語ではないものの、「気象病」や「天気痛」と言う名称が用いられるようになりました。体調不良が続いたり、鬱々とした日が続く時、ご自身の生活習慣や、最近、起こった出来事を検討すると共に、今後は天気との関係も視野に入れてみる必要があるかもしれません。勿論、天気は自分の力ではどうすることもできませんが、心の関係と空模様を意識することで、自身の自律神経を整えるためにリラックスタイムを多く設けたり、適度な運動やストレッチを取り入れるなど、予防策を取ることが可能になります。そして、辛い時は無理をせず、医療機関を訪れることも大切です。



河合 まり絵

臨床心理士。日本ではスクールカウンセラーとして、不登校児童や別室登校児童、発達に偏りのある児童への心理的サポートや、精神科クリニックで、パニック障害、PTSD、うつ病、摂食障害などの個別カウンセリングを実施。リワーク外来では、精神疾患などで休職中の患者に対し集団療法を、また、復職後の企業内フォローアップ・カウンセリングを実施。刑務所内では、グループ矯正教育をするなど、教育、医療、産業、司法の分野で臨床経験を積む。香港に移住してからは、3児の子育てに追われるも、縁あって精神科クリニックに復職。

 

OT & P Healthcare/ Mind WorX Clinic
MindWorXはOT and P Healthcareが運営する精神科専門のクリニックです。
中環駅(セントラル)から徒歩2分の場所に位置しており、簡単な日本語を話せる医師と、日本人の臨床心理士が在籍しておりますので、薬の処方と共にカウンセリングを並行して受けることが可能です。投薬はしたくないけれど、カウンセリングを受けたいという方もご相談下さい。

以下のようなことでお困りの方は、是非、一度、ご相談下さい。
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Mind WorX Clinic
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