2022/10/01

その瞬間は前触れもなく、突然訪れます。Mirrorのファン歴が長くなるとともに日常生活の中に占める彼らの比重は高まり、その瞬間も頻繁に訪れるようになりました。

それはMirrorのファンであるということを知り合いに告知すること。わたしが勝手に「鏡開き」と名付けた、いわばカミングアウトの瞬間です。会社に在籍していればそこそこの立場を得ていたであろう妙齢の自分。この年でアイドルにハマるって、どうなんだろう?と、客観的な自分に自省を促される瞬間でもあり、普段馬鹿なことばかりしている癖に、馬鹿にされるのは嫌だという自分勝手な意識が働く瞬間です。

香港人のMirrorファンも、鏡開きに注意を払っているという人は少なくありません。職業にもよるのでしょうが、職場でMirrorの話はしないと決めている方もいれば、同僚全員にファンを公言して、コンサートチケット獲得の手伝いをさせるという強者も。また、芸能人が頻繁に利用するサービス業に就いているファンの一人は、Mirrorがクライアントとして現れた場合、担当者として選抜されるチャンスを高めるために絶対に上司にはMirrorファンだと明かさないと話していました。

わたしにとっては昔からの友人に近況を聞かれる、というのはありがちな鏡開きのタイミング。先日、3年ぶりに日本に一時帰国した際には何度も鏡を開きました。日本では「推し活」という言葉が一般的に使われ、アイドル好きをポジティブに受け入れてくれるのが心地良いですね。20年来の元同僚に鏡開きをした際には、彼女もお返しに長年宝塚ファンだという告白をしてくれました。鏡開きは友情を深める機会にもなるのだと感激しきりでした。

先日、昔からの香港人の友人と話していた時は衝撃でした。今は飲食業をしているものの、元はプロのダンサーだった彼女。なんとデビュー前のMirrorのメンバーの数名と同じ舞台に立ったことがあると言うではありませんか! わたしが慌てて鏡開きを済ませ、以後、何かの機会があれば何卒よろしくとお伺いを立てていると、今度は別の友人(画家)が、デビュー前のMirrorメンバーにダンスを習っていたと告白してくれました。わたしの中で「友人」が「Mirrorの知り合い」というVIPポジションに昇格した瞬間です。

こちらが想定していないタイミングで起こる、突発性「鏡開き」も経験しました。

 

しのぶれど 色に出にけり 我が恋は ものや思ふと 人の問ふまで

平兼盛

 

この句が示す通り、恋をしていると意識せずとも恋心が行動や言動の端々に表れてしまうもの。時代が平安であれ令和であれ、対象が一般人であれアイドルであれ、恋する人の心の機微は変わらないのです。

大部分のMirrorファンと同じように、わたしはMirror好きの事を隠してはいませんが、ロゴ入りシャツやトートバッグを身に着けたりするような積極的な発信もしていません(このようなフォーマルな装いはイベント時限定です)。

 

(IG: mimomokumo)9月26日にお誕生日を迎えたばかりの Lokman(楊樂文)。ファンの正装は彼の情熱を表現したかのような赤。背中に入った漢字表記の名前がセクシー。
(IG shakuta_anko (爵田安子))近日公開の映画「過時・過節」で演じるクールな役柄を表現してか(してません)寒色ブルーのシャツが正装なのはEdan(呂爵安)。彼が好きなバケットハットも必須。
(IG: mimomokumo)9月21日にお誕生日を迎えたAlton(王智德)の正装は彼の明るい笑顔を表現したかのようなひまわり色。公式ぬいぐるみに腹筋が再現されていないのが疑問。

 

しかし、無意識に発信しているMirror大好きビームに気づいた人たちが、無防備なタイミングを突いて、思いもよらぬ形でMirrorが好きかと「鏡開き」を要請してくることがあるのです。

仕事関係のクライアントは、ある瞬間にわたしがMirrorファンではないかと疑問を抱き、そこからなんと12週間に渡ってわたしの発言からヒントを拾い集め、確信を持った時点でわたしに鏡開きの質問を投げかけてきました。わたしが肯定すると、このクライアントは自らの観察眼の鋭さに満足した様子。今では仕事だけでなく、Mirrorをはじめとする香港芸能話に花を咲かせる仲となりました。

先日、軽い手術をすることになった時の事です。わたしの担当になったのは、ちょっと英語が苦手な厳しそうな女医さんでした。言葉のコミュニケーションがとりにくく、軽いフラストレーションを感じつつ臨んだ手術。術後にほっとしていると、唐突に女医さんが「Mirror良いわよね」と、鏡開きモーメントがスタート! なんと彼女は、わたしが術中にヘッドフォンで聞いていた音楽を、音漏れだけでMirrorだと嗅ぎつけたのです。その後は片づけをこなす看護婦さんをよそに、わたしと女医さんはお互い堰を切ったようにMirrorの話題で盛り上がったのでした。推定60代の女医さんが推しのKeung To(姜濤)のことを愛称の「姜 B」(ぎょんびー)と呼んでいたことでわたしと彼女のコミュニケーションの障壁は完璧に取り払われたのでした。

Mirror(鏡)はまさに光を反射するもの。こちらから自発的に行った鏡開き、突発的に身に降りかかった鏡開き、どちらの鏡も開くことで既存の人間関係に光が当たり、新たな一面が可視化され、新しい関係を築くきっかけにを作ってくれるのです。ありがとう、Mirror!

 

 


紅磡リンダ(ほんはむ りんだ)
夫の転勤に伴い20年にわたる英国生活、広告代理店勤務、編集者稼業に終止符を打ち、2019年に香港に移住。
香港の状況が落ち着き、次ステップを模索し始めた折にMirror 沼に沈没。沼から鏡(ミラー)越しに見える、新しい香港を発見する毎日を送る。

Instagram 紅磡リンダ【星版】qedan_qedan


 

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