2023/08/01

Mirrorのファン【鏡粉】をしていると、自然と香港人と行動することが多くなります。広東語を習ってはいませんが、日常的にネイティブの生きた広東語に触れている訳で、そう考えると語彙は豊かになっているかも、という気がします。ちなみにわたしは普段の生活では英語と日本語に甘えているので、Mirror のファンとの交流のみが広東語なんです。これは言語学的に面白い現象なのではないでしょうか。広東語下地ゼロの日本人が、Mirrorという媒体のみを通してどんな広東語を獲得してるのか、早速検証してみましょう。以下、いち日本人鏡粉の広東語の語彙・使用状況を7月の振り返りと共にご紹介します。【カッコ】内が広東語です。

7月はTiger（邱傲然）のお誕生日【生日】から始まりました。Tiger のファン【粉絲】である【小虎隊】は美的センスに優れた人が多く、誕生日には毎年おしゃれな展覧会を催します。今年はファッションビルのK11の複数階でそれぞれ異なるイベントを開催、もはやビルジャックの様を呈しておりました。卓越したデザインセンスと、アイディアで推しを支える彼女たちはまさに最上級【天花板】のファンと言えるでしょう。

Tigerのお誕生日はK11で。どの階にも思わずカメラを向けてしまいたくなるおしゃれなディスプレーが。©IG: hunghom_linda_qedan

翌週にはEdan （呂爵安）が出演する人気バラエティー番組【遊戲節目】「膠戰」のファンミーティング【見面會】に参加。アイドルらしさ【偶包】をかなぐり捨ててコメディアン【諧星】さながら体を張るEdan の姿を拝んできました。こういったイベントで多く見かけるのが、個人的に楽しむ写真撮影【飯拍】を趣味にするEdan ファンたち【爵屎】。バードウォッチャーも顔負けの重装備のカメラ【相機】にはいつも圧倒されます。イベントを楽しんだ後は、ファンクラブ会員での集合写真【大合照】にも参加。持参したEdan の名入りのバナー【手牌】と電飾バナー【燈牌】を掲げつつ、「笑って」【笑】や「顔を隠して～」【遮面】とのカメラマンの指示にも、最近は即座に従えるようになりました。

カメラの隙間（上）を狙って（下）のような写真を撮ります。望遠レンズが欲しくなるのも当然と言えましょう。©IG: hunghom_linda_qedan

続いてはAnson Lo（盧瀚霆、以下AL）のお誕生日イベント。今年も尖沙咀フェリー乗り場がAnson Lo一色に染まり【教主碼頭】と姿を変えました。【教主】はALのニックネーム、【碼頭】は「フェリー乗り場」の意味。ファンは毎年、ALのお誕生日にスターフェリーを無料乗り放題にし、乗り場付近を彼のポスターやビルボードでいっぱいにすることからこう呼ばれるのです。ALのテーマカラーのピンク【粉紅色】のTシャツを着たALのファン【神徒】で溢れるフェリーにはALのぬいぐるみ【公仔】たちもわんさか乗船。特筆すべきはぬいぐるみの衣装【娃衣】。最新曲のMVの衣装、デビュー当時の普段着、イベントでのカジュアルな服装など、神徒たちは自分の思入れのある【娃衣】を【公仔】にまとわせ、その姿を写真に収め【打卡】ます。フェリーは【公仔】のファッションショーさながらです。

おしゃれ番長ALの公仔はやっぱり衣装持ち。お誕生日イベントには様々な娃衣の公仔がお目見え。©︎IG: phoebelosophy

今年は7月～8月の２カ月の間にMirrorメンバー【成員】のうち4名がソロでコンサート【演唱會】を開催します。メンバー１人につき３，４公演行うので、複数回のチケット争奪戦【搶飛】に加わる必要アリ……。Mirrorのチケット購入【買飛】のハードルの高さは一般の方もご存じかもしれません。チケット販売はウェブサイト限定なのですが、販売会社のトップページに入り、そこから購入サイトへ入るのが至難の業。このポイントが戦の最前線となります。入れない事、就職氷河期の一流企業のごとし。戦に打ち勝つには、高スピードのネットアクセス、高機能の機器は最低条件。さらに、サイトへ入るため数時間にわたって【再試行】ボタンを押し続けるための敏速に動く指先、忍耐力【耐性】、売り切れかもとの不安に打ち勝つ精神力も必要です。職場で買飛作業をしている鏡粉は、背後に感じる上司の冷たい視線に打ち勝つ意志力も必須です。

コンサートの美しいビジュアル演出はJerの美声と相まって、ショーを盛り上げました。©IG: edan_alamode

最後部席【山頂】でも良いから１枚でも買えますようにとの願いを込めPCのキーボードを叩き続ける中、友人から入る進捗報告メッセージに並ぶのが「入れない」【入唔到】や「買えない」【買唔到】の文字列。そんな仲間たちとは「頑張って」【奸爸爹＊神徒は「奸爸爺」と表記することもあり】とお互い叱咤激励しながら、買飛作業を売り切れ【全部售罄】の表示が出るまで続けるのです。オンラインゲームが最近「eスポーツ」と呼ばれ、競技としての地位を確立しつつある今日この頃、買飛がスポーツと認められる日も遠くはないと思います。でも、どんなにハードな作業でも、ダフ屋【黄牛】から買うのはご法度、ダメ絶対です。

7月末現在、４名のうち２名の【演唱會】に参加しました。Jer（柳應廷）ののびやかな美声に包まれた時間、Anson Loの迫力あるダンスに魅了された時間、どちらも買飛の苦労を差し引いても後悔のないものでした。8月、残る2名、Keung To （姜濤）とEdanのコンサートが待ち遠しいです。

ダンスで魅せたAL。彼のコンサート衣装（とその露出具合）にも注目が集まりました。©IG: angie.hather

広東語の学びの機会を与えてくれて、ありがとう、Mirror!

紅磡リンダ（ほんはむ りんだ）
20年にわたる英国生活、広告代理店勤務、編集者稼業に終止符を打ち、2019年に香港に移住。
移住とともに人生で初めてアイドルに目覚め、Mirror 沼に沈没。沼から鏡（ミラー）越しに見える、新しい香港を発見する毎日を送る。

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