2025/02/01
西暦の新年が明けてまだ1カ月もたたないのに、早くも農歴での新年(旧正月)がやってきています。ホリデー気分が抜けぬまま、また休暇に突入です。新年と言えばお決まりで質問されるのが、「2025年の抱負」。
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1:香港のお正月に欠かせない「揮春」。今年もMirrorのデザインが吉を運んでくれます。ⒸMakerVille
2:【広東語が必須の状況①】舞台劇。24年はAltonが素敵な舞台を見せてくれました。Ⓒhunghom_linda_qedan
わたしの抱負は何と言っても広東語の学習! 香港在住も6年が過ぎ、簡単な日常会話ぐらいは何とかできるようになったものの、必要なのは推し活に特化した広東語。Mirrorのイベントで、メンバーが何を話しているのかを即時に理解するための広東語です。翌日に出てくる動画やニュースを待てば、アプリを駆使して翻訳できるのはわかっているけれど、やっぱり推しの言葉を即時に理解したい、周囲の仲間と一緒に感情を分かちあいたい! 2025年クリスマスのメッセージを翻訳なしで理解することを目標に頑張ります!

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3:【広東語が必須の状況②】記者会見。至近距離なのに、意味が分からないもどかしさ。Ⓒhunghom_linda_qedan
4:【広東語が必須の状況③】コンサート中のトーク。周囲の盛り上がりに付いていけず涙。Ⓒhunghom_linda_qedan
ここで疑問を持たれたかたもいらっしゃるかもしれません。「Mirrorって、世界ツアーもしたんでしょ?世界にファンがいるのなら、広東語以外の情報も充実してるのでは?」と。その疑問はごもっとも。確かにMirrorのファンはアメリカ、イギリス、オーストラリアなど世界を網羅しています! ただ、これらの土地でもファンはほぼ100パーセント広東語話者。わたしや他の日本人鏡粉たちのように、広東語話者でないのにMirrorが好きだというのはかなりレア。残念ながら、広東語以外でのMirror情報は充実しているとは言い難い状況です。
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5:ロンドンでのコンサートのメイン言語は広東語。会場はまるで香港!Ⓒhunghom_linda_qedan
6:世界ツアーで配布された手幅と呼ばれる応援物。香港のアイデンティティー。Ⓒjenius_miro.can
海外の鏡粉(Mirror ファンの愛称)たちは香港からの移民やその子孫が多く、大多数は香港や中国の広東エリアにルーツを持つ広東語話者です。なのでMirror情報はほぼ広東語! なぜ移民は移民先で広東語を守れたのか。歴史書を片手に調べてみました。どうやら鍵を握るのは19世紀の「ゴールドラッシュ」。この時期、香港人は一攫千金を狙って金鉱のあるアメリカ(特にカリフォルニア州)やそれに続くオーストラリアにこぞって移住。移住先で香港をはじめとする中国の商品・サービスがなんでも揃うお店や、同郷の中国人同士が助け合って生活する相互扶助の団体が軒を並べるチャイナタウンを形成しました。これが広東語を守る役割を果たしたようです。同郷団体は、移住者のこどもたちの教育、職業あっせん、冠婚葬祭、ビジネスの立ち上げなど、移住者の生活のあらゆる面をサポートしました。つまり、広東語話者が外国に移住しても、現地語を話さず広東語だけで生活できるという環境を提供したのです。現にわたしの元・義父は香港出身の華僑ですが、英語力ほぼゼロ、広東語だけでイギリスで50余年生活しておりました。
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7:応援方法はロンドンでも香港式。推しのMVを流す車がコンサート会場に登場!Ⓒhunghom_linda_qedan
8:AKが食事をしたステーキハウスにお邪魔。こちらでも香港式儀式:公仔と記念写真。Ⓒjenius_miro.can
1945年の第二次世界大戦後は仕事を求めて、1960年代には大規模暴動後の香港の先行きに不安を感じて、1980年代には中国の香港主権回復決定を受けて、そして最近ではデモなどによる社会不安を受け、多くの香港人が海外に移住しました。それでも移住者は現地で広東語の生活を守ることができ、広東語の情報に触れられたため、めでたくMirrorのファンとなって海外ツアーを成功に導くことになったのです。(多少の誇張あり)
とは言え近年は普通語人気に押されて来たり、第2,3世代の若いジェネレーションは現地語の方が得意だったりと、長きに渡って守られてきた広東語文化は今、安泰とはいえない状況にあるようです。そんな中、今度はMirrorがきっかけとなって広東語を学ぶ、というトレンドが起きればいいなと思っています。
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9:英国に20数年住んでいたにも関わらず、マンチェスター市内は初体験。Ⓒhunghom_linda_qedan
10:あいにくの雨マンチェスターにも宣伝車が遠征!こちらはAlton。Ⓒhunghom_linda_qedan
一昔前、1980~90年代に世界中で香港のブームが起こりました。「恋する惑星」、「男たちの挽歌」「さらば、わが愛/覇王別姫」など香港映画が軒なみ世界中で大ヒットし、香港のスターに世界が憧れました。広東語留学も流行りました。この時期、フランス文化に憧れる人たちがフランス語を学ぶように、たくさんの人が広東語を学んだんです。Mirrorがそんな時代をまた創ってくれますように。世界がMirror、そして現在の香港文化の魅力に再び気づいて広東語を習得するトレンドが起きますように。という訳で、わたしは今年の抱負をひとつ追加します。今年は「Mirrorをはじめとする香港文化を世界に知ってもらうこと」を目指します。
今の香港の魅力をけん引してくれてありがとう、Mirror!
紅磡リンダ(ほんはむ りんだ)
20年にわたる英国生活、広告代理店勤務、編集者稼業に終止符を打ち、2019年に香港に移住。
移住とともに人生で初めてアイドルに目覚め、Mirror 沼に沈没。沼から鏡(ミラー)越しに見える、新しい香港を発見する毎日を送る。
Instagram 紅磡リンダ【星版】hunghom_linda_qedan
Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。
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